鳩山首相をめぐる政治献金疑惑はますます謎めくばかり。新しい事実が明らかにされるたびに“くう くう くる くる”と話が変わって疑惑が疑惑を呼び、国民への不信感を増幅させるようなものだ。
偽装献金の原資として、鳩山首相自身が鳩山家の資産管理会社から年間5000万円ほどを引き出していたことが明らかになっていたが、母親からも鳩山氏のもとに月約1500万円、年間で1億8000万円が渡っていたという。献金の偽装は、いったい何のためか、何のために巨額の資金を使ったのか、不明のままだ。ー知らないはずはなく鳩山首相は、国民に真相を語るべしなのだが…。
鳩山氏の資金管理団体「友愛政経懇話会」への偽装献金は、亡くなった“故人”などの名義で届け出ていたのが2005~08年の4年間でのべ193件、総額2177万8000円にのぼる。名前を記載しなくてもよい5万円以下の小口の匿名献金も、大半が偽装されたと見られ、04~08年の5年間のその総額は約1億8000万円にのぼる。
さらに、04~08年に開催した資金集めのパーティー収入も、1億円以上が偽装されたと見られている。これらを合計して偽装は3億円を突破する見込みで、資金管理団体の会計担当だった元公設第1秘書や、会計責任者だった元政策秘書が追及を受けている。
偽装された献金の原資について、鳩山氏は自己資金だったとし、元公設秘書が鳩山家の資産管理会社「六幸商会」の鳩山氏の口座から、年に5000万円ほど引き出すのを認めてきたと説明した。政治家本人の上限額1000万円までは献金として、残りは借入金として処理したという。
それでも不足する分を埋め合わせたと見られているのが、母親からの巨額の資金。年間1億8000万円、04~08年の5年間で9億円にのぼる母親からの資金提供について元秘書は「貸付金」だったと。
ところがこの9億円について鳩山氏の側は利息も払わず、返済の期限も設定していなかったことが明らかになっている。資金が実質的に贈与なら、贈与税を払っていなかったことで脱税の疑いだ。また、資金管理団体への寄付だったとしても、個人の寄付は年間150万円までという政治資金規正法の量的制限違反の寄付をしていたことになる。
巨額の資金がいったい何に使われたのか、資金管理団体の献金を偽装したのは何のためなのか、徹底した解明が不可欠。鳩山首相は自己資金以外が偽装献金の原資になったことは否定し、母親の資金提供も知らなかったとしており、不可解そのものだ。
だいたい、政治資金収支報告書を偽ったという点では、犯罪事実は明らか。政治資金規正法は、政治家が政治資金を公表し国民の「不断の監視と批判」のもとに置くことを定めているのだ。元秘書に責任を押し付け、人ごとのように知らなかったではとても通用しない。
首相は、「恵まれた家庭で育ったもので」と言い訳したことがある。しかし政治資金規正法が個人の献金についても上限を定めているのは、金の力で政治が左右されてはならないため。首相がまともな説明を避け続けるなら国民との乖離は避けられない。
メディアもなぜか甘い。疑惑を払うことができず、真実を語ることのできないこういう人物が首相に居座ることこそ国民として恥ずかしい。“金を積んでのぼりつめた”と…。
74%が偽装献金説明納得できず 共同通信全国世論調査
共同通信社が28、29両日に行った全国電話世論調査によると、鳩山由紀夫首相の偽装献金問題に関する説明を「納得できない」とした回答は、約1カ月前の前回調査の同様な設問と比べ6・9ポイント増の74・9%に上った。行政刷新会議が来年度予算編成に向け導入した事業仕分けの手法については「評価する」が77・3%。内閣支持率は前回61・8%からほぼ横ばいの63・7%だった。(全文はコチラ)
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