そして、もう一つ、ほんとうに「税金のムダ使い」はないのだろうか?
政府が「聖域」にしてきた軍事費だ。毎年5兆円近い軍事費を支出している。
最大規模のムダ使いとなるのが、在日米軍再編に総額3兆円以上におよぶ経費が投入されようとしていることだ。欧州でも米軍再編が進んでいるが、ほとんど米側負担だ。ところが日本の場合は、85%以上が日本の負担だ。この費用にはグアムへの米海兵隊新基地建設費用7千億円も含まれている。いくら「日米同盟強化」といえども、よその国の新基地建設だ。そこまで面倒見る必要があるのか。庶民には、とても理解できない。
日本政府は1978年度以来、日米安保条約上も支出の義務のない米軍への「思いやり予算」総計5兆円も投入してきた。07年度でみると2千3百七十億円。これは中小企業対策費千6百25億円より5割も多い異常なもの。
軍事費で、もう一つだけムダをあげると、旧ソ連の「侵攻」を想定した装備が今なお温存されていることだ。現在の陸上自衛隊の主力戦車は「90式」だ。もともとソ連が日本に侵攻するという想定で開発されたものだが、実際に配備されたのは、ソ連が崩壊した1991年からだ。07年度も9両を購入する計画。これまでの総計で324両、本体の購入価格だけでも約3千億円だ。90式戦車は重さ50トン。通常の道路や橋を渡ることができず、鉄道輸送も困難。空輸はできない。まさに時代遅れの代物の配備を続けているとしか思えない。
この「聖域」、軍事費にこそ、メスを入れて欲しいと願うのは私だけであろうか。
定率減税廃止による大増税は1兆7千億円、投入されようとしている米軍再編経費・国内分は約2兆3千億円。総裁選の福田康夫候補も、麻生太郎候補も「地方の再生・振興」、「地域間格差の解消」をいうがグアム米軍基地建設費約7千億円は地方交付税削減に匹敵するものだ。
「高齢化社会のために」「社会保障のために」とかいっぱい口実をならべて、消費税が導入され、引き上げられてきたが、なんのことはない高齢者や障害者をはじめする弱者・庶民に痛みをおしつけてきたのではないのか。そして、またぞろ、「福祉目的」とか「年金財源」にとかだ。アメリカや財界に顔を向けた政治ではなく、庶民に顔をむけた政治を!だ。
消費税増税に頼らなくとも、「軍事費」やゆきすぎた大企業・大資産家減税の「聖域」にメスをいれることが民意に応える一歩だと思う。