真実一路くんのひとり言

だれがやっても同じやとあきらめず、一歩ずつ
長いものには巻かれず、真実を大切にして。

原油高騰なぜ?   再録

2008-06-03 | 政治

 生活への影響、市民ら警戒・原油高

 「一体どこまで上がるのか」――。米国の原油先物相場が年明け早々、過去最高値を更新し、市民からは暮らしへの一段の影響を心配する声が聞かれた。北海道などでは灯油の盗難事件も多発。原油高が生活に落とす影は濃さを増している。
 3日、東京都千代田区に子供2人と車でスポーツ観戦に訪れたさいたま市の主婦(39)は「ガソリンはもっと値上がりするはず」と危機感を募らせる。最近では20リットルずつ小刻みに給油しているといい、「値上がり前に満タンにした方がいいかも」と気をもむ。 (1月4日NIKKEI NETから)
ー生活に直撃です、なぜ原油高騰なのか知りたいです。

 5年間で3倍以上にー原油高騰なぜ? 

 ニューヨーク商業取引所の原油先物相場で、原油価格の世界的指標になっているアメリカ産の標準油種WTIが昨年の11月20日の1バレル=99.29ドルのこれまでの最高値を超えて、2日、一時的に初の100ドルをつけました。過去1年で70%強の急騰、5年間では3倍以上、80年~90年代には、ほぼ10~20ドル台であったのに比べると想像を絶するような値上がりです。

 現在、原油価格は市場で決まります。日本がもっとも多く輸入しているのは中東産原油です。しかし、グローバル化が進んだ今日、東京市場で取引される中東産原油の価格もWTIの値動きに連動します。
 実は、原油価格は70年代まで、石油輸出機構(OPEC)が決め、固定されていました。ところが、70年代の2次のオイルショックで原油価格が上昇し、OPEC諸国以外の国でも原油の開発と生産がふえました。それに伴って、OPECの比重が低下した結果、原油価格決定の主導権はOPECから市場に移っていったのです。そのために、原油価格は市場の思惑で激しく変動するようになりました。

 価格高騰は投機によって

 原油価格は多くの要因が絡み合っての変動します。しかし、最近の急騰の最大の要因は原油が投機目的で取引されていることにあります。
 世界の原油需要は、日量8500バレルとされています。ところが、毎日、その何倍もが取引されています。実際に必要ではないのに、「売り」「買い」の価格差で利ざやを稼ごうとする投機が目的で取引されるのです。
 世界的な低金利の中で大金融機関や大資産家などの間では、「金余り」現象が続いて、そのお金が投機資金となり、原油市場に流れ込んでいるのです。それに加えて証券市場から逃げ出した投機資金が原油や金属、穀物などの商品市場に流れ、高騰しているのです。

 たしかに、アメリカやブラジル、ロシア、インド、中国などでの消費は増えていますが、供給が足りないわけではありません。
 原油価格が市場で決まるとはいえ、投機に走る傾向をますます強めている現在の市場にいっさい任せっきりでは、実際の需給関係からかけ離れた激変をさけることはできません。

 投機の規制と対策を
 
 昨年、ドイツのハイリゲンダム・サミットでは議長国のドイツが投機規制を主張し、EU諸国政府や欧州労連の強力な支持を受けましたが、日本政府はアメリカと共に規制に反対しました。
 昨年12月の国会でも、日本共産党の吉井英勝議員が、「原油高騰で一番被害を受けている日本が率先して、投機規制の国際協調の枠組みづくりをすべきだ」と政府の姿勢をただしたのに対し、甘利経済産業相は、「原油高騰の主因はヘッジファンドの投機にある」と認めながら、「(市場)直接手を突っ込むことは自由主義経済の原則論をまげかねない」と消極的です。 

 政府もやっと原油高対策を発表したけれど、実効性が必要です。

※WTI=ウエスト・テキサス・インターメディエート(西テキサス産中質油)の略。テキサス州西部やニューメキシコ州東南部で生産される硫黄分の少ない原油で、ガソリンや灯油などの白油を採るのに適しています。l生産量は日量40万~50万バレルほどで多くはないが、その価格は世界の指標になっています。

※バレル=胴のふくらんだ樽が語源で容積単位に使われる。原油に使われる場合は1バレル=159リットルで、18リットル入り灯油缶で約9缶に相当します。


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