気ままに

大船での気ままな生活日誌

はじまりは国芳/江戸スピリットのゆくえ

2012-11-11 11:09:06 | Weblog
横浜美術館で11月3日から始まった、この展覧会を楽しみにしていた。何故なら”はじまりは国芳”で、そのあと、ぼくの好きな弟子筋、(主なところを挙げると)、芳年、年方、清方、深水と続き、”おわりは巴水”まで総出演するというのだから、もう絶対、見逃すわけにはいかないのだ。

もう少し詳しく、紹介すると、さらに、こんなビッグネームが、国芳一家だったのかと驚かされる。展示構成とそれぞれの章に現れる画家たちの名の一覧をお示ししよう。清水の次郎長一家にも負けない子分衆でしょう(笑)。実際、国芳は親分肌で、たくさんの直弟子たちが集まったようだ。

第1章:歌川国芳と幕末明治の絵師たち
   (歌川国芳、歌川芳虎、歌川芳艶、歌川芳藤、落合芳幾ほか)
第2章:歌川国芳と日本画の系譜
   (河鍋暁斎、月岡芳年、水野年方、鏑木清方、鰭崎英朋ほか)
第3章:歌川国芳と洋風表現:五姓田芳柳とその一派
    (五姓田芳柳、五姓田義松、渡辺幽香ほか)
第4章:郷土会の画家たちと新版画運動
   (鏑木清方、寺島紫明、伊東深水、川瀬巴水、笠松紫浪ほか)
 
(以上はホームページより)

国芳については、今年は没後150年ということもあって、六本木での国芳展をはじめ、いくつかの展覧会が開催され、ぼくも観に行っているので、ここでも再会作品が多かった。国芳といえば、武者絵、役者絵、美人画、そして天保の改革で役者や遊女が描けなくなれば、(うるせいことを言う奴らだ、じゃあ俺が変わろと)子供絵や猫や金魚を擬人化したり、判じ絵を描いたり、江戸市民から喝采を受けた。

何でも目を光らせている人だから、当時、入ってきた洋画からもヒントを得た絵も描いている。たとえば、”近江の国の勇婦於兼”。馬が洋風だし、背景の山もアルプスのよう。こういう芽から、明治の洋画家、五姓田芳柳一派が育っていくのだ。

国芳 近江の国の勇婦於兼

渡辺幽香 幼児図


月岡芳年は、国芳の一番弟子といってもいい存在で、やはり、師匠同様、幅広い分野で活躍した。現在、原宿でも芳年展が開催中で、前期展を、とくに血みどろ絵を中心に鑑賞してきたが(汗)、その一番の絵は後期展示になっていた。それが、ここで展示されていたので、もう浮世絵太田記念美術館の後期展は行かなくてもいいかと思う(爆)。もちろん美人画にも、とてもいいものがあり、これらが年方、清方へと脈々とつながっていくのだ。

芳年 いたそう


芳年の弟子、年方の絵は観る機会が少ないので、いくつかみられよかった。清方の、”先師の面影”で年方の真面目そうな人柄を知ることができる。清方の肖像画は深水が描いているが、そっくりであった。清方の展示作品は、浜美所蔵と清方記念館所蔵のものが多く、馴染みのものだった。後期展には、”刺青の女”など、ぼくの好きな福富コレクションが入ってくるので、楽しみだ。

清方 春のななくさ

清方 遊女

深水 清方先生肖像


そして、清方の弟子筋による新版画の時代。深水らお馴染みの作品がずらり。小早川清、山川秀峰も。川瀬巴水、寺島紫明までみられ、大満足の展覧会であった。後期はお正月明けにでも行くことにしよう。

小早川清 ほろ酔い


川瀬巴水 木場の夕暮




歌川国芳 ”宮本武蔵の鯨退治”



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 朝の富士 夕の富士 | トップ | 11月11日のはじまり »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事