そごう美術館の歌川国芳展を初日にみてきたが、”ヒーローの妖怪退治”のコーナーで、”源頼光の四天王土蜘蛛退治之図”など土蜘蛛関係がいくつか展示されていた。そして、歴史物語の項では”里見八犬伝”が。これらは、いずれも七月大歌舞伎で取り上げられていた題材である。国芳展の感想文より、まずこちらを先に書いておかねばと思った。舞台写真も入った筋書を買っているので、それらを中心に覚書として、記事にしておこう。
蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)
これは、サブタイトルにもついていたが市川猿之助・六変化相勤め申し候が一番のみもの。
物の怪に憑りつかれた源頼光(門之助)は病に伏している。家臣の坂田金時(右近)と碓井貞光(獅童)が宿直をして、館の警護にあたっている。そこへ、現れた童の熨斗丸(猿之助)が、寝所を伺う、二人に気付かれ、糸を繰り出し、姿を消す。そのあと、薬売り、番頭新造、座頭と次々に現れては去っていく。そこに頼光と傾城薄雲が共に現れて逢瀬を楽しむが、この傾城の正体こそ実は葛城山に棲む女郎蜘蛛の精だったのだ。それを察した頼光が膝丸の名刀を斬りつける。騒ぎを聞きつけ、渡辺綱(巳之助)と卜部理武(喜猿)が駆け付ける。女郎蜘蛛の精は消え去る。
そして、場が女郎蜘蛛の棲家へと移る。女郎蜘蛛と対決する頼光ら。激しい戦いで、なかなか決着がつかない、そこへ、待ってました!海老蔵!(笑)。四天王の一人、平井保昌が登場。えいやあーと、見事に退治するのであった!
お見事早変わり、六変化の猿之助
獅童と右近に対し、蜘蛛の糸を吐く薬売り彦作(猿之助)
門之助(源頼光)
隈取の似合う役者、海老蔵(平井保昌)。
さあ、大詰
海老蔵(平井保昌)と猿之助(女郎蜘蛛の精)の名勝負
これぞ歌舞伎のフィナーレ!華やかな舞台と歌舞伎役者を見るだけでも十分、おつりがくる!回りの外国人観客もとても喜んでいた。
そして、もひとつ、南総里見八犬伝。
安房国を治めていた里見家の息女伏姫は、愛犬八房と共に富山山中で暮らしていましたが、誤って家臣に銃で撃たれて絶命。すると八つの水晶の珠が空中に飛び散ります。この珠を持つ八犬士の一人で里見家再興を目指す犬塚信乃は、公方に献上した名刀村雨丸が偽物だというあらぬ罪を着せられます。追手の犬飼現八も実は八犬士なのですが、互いにそれとは知らず二人は芳流閣の大屋根で死闘を繰り広げます。行方知れずとなった村雨丸は、円塚山で犬山道節の手に渡り、引き寄せられるように八犬士たちが姿を現し…。曲亭馬琴の名作より、大立廻りやだんまりなど見せ場のあふれる舞台をご覧に入れます。(筋書から)
右近(犬飼現八)と獅童(犬塚信乃)
獅童(犬塚信乃) この舞台が”がんどう返し”で次の舞台に変わるがみもの!
笑三郎(浜路)と松江(網干左母二郎)
勢揃い
筋書の表紙絵は宮廻正明(みやさこまさあき)の”守破離(舞)”
これで、松竹七月大歌舞伎、先に報告致しました与話情浮名横櫛を含めまして、昼の部の三演目すべての感想文を終えさせていただきまする。八月は勘九郎、七之助、橋之助。また、立ち見になりそうですな(汗)。
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