太田記念美術館はいつになく静かだった。いつも必ずみかける外国人がいないのだ。大震災の影響はここにも出ていた。その代わり、ゆっくりと鑑賞することができた。
”大江戸ファッション事始め”というメインテーマである。今まで、浮世絵を漫然とみていたが、なるほどと、江戸ファッションの勉強をさせてもらった。5つのサブテーマがある。
1)四季の装い/シーン別 着物の着こなし
節句を区切りに4回衣装替えする。花見に合わせて、ご自慢の小袖を着て、夏は浴衣姿で涼み、そして秋模様の小袖でお月見、冬は地味になりすぎず、頭巾や小物でアクセントと、おしゃれな江戸の娘さん。いろいろなシーン、たとえば炬燵の炭を入れるところなどもみられる楽しい展示。
2)江戸のファッションリーダー
さてだれでしょう、歌舞伎役者。役者さんは現代のデザイナーやモデル顔負けの存在だったようだ。そして遊女。常に流行の最先端だったらしい。浮世絵師の目にとまるわけです。高級遊女と一般の娘さんの普段着との比較図もあった。やっぱり花魁さんは相当金をかけている。
3)模様にこめられた美意識・小紋、縞、格子
いろんな文様が。蝙蝠と三筋、竹と兎、弁慶格子、さめ小紋、三筋格子、三升紋(団十郎の定紋)など。そうそう、蜘蛛の巣と巣にひっかかった蝶や葉の模様(渓斎英泉/ゐと名物鹿子美人あわ勢)。松園さんの”焔”の着物の模様はこれがヒントかな。
4)小物大好き/こだわりを競う
櫛、簪、襟、帯、頭巾や、手ぬぐい、下駄にいたるまで、普段のおしゃれに気をつかった江戸の娘さん。現代の娘さんの普段着に比べると雲泥の差です。
喜多川歌麿 当世美人三遊芸妓(芸者の被る、黒い袖頭巾と茶屋の女の黒い掛衿がポイント)
5)江戸の化粧と結髪
お化粧する場面がたくさん出てきて興味しんしん(汗)。髪洗いしている図も面白い。半身になて長い髪を、ふのりを湯にひたし、うどんこを髪にすりつけ揉んだ。月に1,2度の洗髪とのこと。歌麿の化粧二美人も一生懸命化粧している様子がよく出ていた。現代の娘さんは電車の中でお化粧します。
なかなな楽しい浮世絵展覧会だった。そして、原宿から恵比寿に行き、山種美術館に行ったのだった。これが、またすばらしい浮世絵展だった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます