芹沢鴨は新撰組の筆頭局長です。芹沢介は柳宗悦民藝組の筆頭染織局長です。先日の”柳宗悦展”に引き続き、渋谷の松濤美術館で開催されている”芹沢介展”をみてきました。
芹澤介はワイフのお気に入りで、この展覧会も婦唱夫随だった(汗)。大震災前に行った、静岡市立芹沢介美術館のときもそうだった。芹沢介というと、沖縄の伝統的染色、紅型(びんがた)。それを基本に、さまざまな独創的な型絵染が生みだされていく。どれもが、明るく、楽しく、うつくしい。これが、嫌いという人は余程の変わりものだろう(笑)。
蒲田で工房を構えていたが、1956年に人間国宝に指定され、身辺が騒がしくなったので、翌年から10年余り、鎌倉市津村の農家の離れに仕事場をもち、静かな雰囲気の中で構想をねった。その頃の作品がいくつも展示されている。”津村小庵文帯地”、鎌倉の山々に囲まれてた離れの部屋に作務衣を着た男がねそべっている文様の帯地だ。”津村小庵文着尺”なんていうのもある。もちろん、定番、紅型いろは文屏風、四季文づくし屏風、沖縄笠、団扇文部屋着なども製作年からして、メイドインカマクラであろう。ちらしに採択された作品は、”みのけら図屏風”。庄内地方(たぶん)の農民が使う蓑がモチーフ。印象に残る作品だった。
ぼくは、暖簾(のれん)が好き。”なわのれん”、がある、居酒屋の暖簾ではない。大きな縄が結ばれている文様なのだ(爆)。ねじり文があったり、窓文では窓から人がのぞいているところだ。ついクスクス笑ってしまう。ユーモアがいっぱい。介工房の暖簾部会はお笑い部会。
そして、なななんと、ガラス絵、板絵(絵馬など)まで。介さんのコレクションかと思ったら、ご自分の作だそうだ。57年ごろから始め、数百点もあるらしい。とても魅惑的な作品ばかり。モチーフは静物、本、リンゴ、仏像、おもちゃ等、多岐にわたる。身近なものを、ガラスに描いた。きっと幼児が、白い紙にいたずら描きして嬉しがるように、彼の本来の仕事の合間に描いたのではないだろうか。”趣味”だったに違いない。もちろん、趣味の域は越えているが。
なお、これらの作品は、ご自身も染織家であり、芹澤介を師とあおぐ宗廣陽助さんのコレクションである。展示作品の裏で、どうでい、オレの眼は、と得意そうにしている宗廣さんの笑顔が目にみえるようだった。
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