ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態や生息環境を研究し保全活動をしていますが、様々な昆虫や美しい日本の四季
自然風景の写真も撮っています。

奥四万湖

2017-04-30 16:51:49 | 風景写真/湖沼

 奥四万湖は、群馬県中之条町四万温泉の最奥にある、四万川が四万川ダムによって堰き止められてできた人造湖で、透明度の高いコバルトブルーの湖水が美しい。また、奥四万湖には「浮島」と呼ばれている特有な景観がある。ただし、浮いているわけではない。いわゆる中州で、雪解け水等が流れ込んで水位が上がることで見られる。新緑の時が一番美しいが、それは、農作業のためにダムから放水するまでの期間限定の光景である。

 奥四万湖には、昨年5月15日に訪れて撮影し、過去のブログ記事に掲載(参照)しているように、昨年は曇り空であったため、柔らかい光がまわって、新緑の浮島全体はそれなりに美しい光景として残せたと思っているが、今回は、その時に不満足な結果に終わっていた光景の撮り直しである。
 ゴールデンウイーク初日の29日、午前中は自宅PCで仕事を片付け、16時半に出発。30日に出ても良いのだが、早起きが辛いので前日に現地入りし、得意の車中泊とした。現地近くの駐車場には20時半に到着。とりあえず寝て、明朝4時からセッティング開始。今回は快晴。今のところ無風で条件は良いが、気温4℃で寒い。厚手のコートを着ていても動かないから寒い。湖面の色の変化を見ながら、さざ波がない瞬間を狙って撮り続けた。4時半に最初のシャッターを切り、最後は7時半。少し雲でも浮いていてくれたら、もっと良かったのだが、昨年とは、雰囲気の違った絵になったので目的は達成した。
 今回は、木々が芽吹いたばかりで、まだ新緑には早かった。浮島は、昨年と違って朝日が差し込んで輝く瞬間もあったが、昨年の写真を上回る美しさではなかったので、この奥四万湖遠征は、以下の2枚が成果である。現地は8時に引き上げ、11時に帰宅した。

参照(当ブログ記事)

  1. 奥四万湖/浮島
  2. 奥四万湖/青の絶景

お願い:写真は、正確にお伝えすべく、1024*683 Pixelsおよび 582*800 Pixelsで掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

奥四万湖の写真

奥四万湖
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/8秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:群馬県中之条町 2017.4.30 5:32)

奥四万湖の写真

奥四万湖
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.2 2.5秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:群馬県中之条町 2017.4.39)

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越後の春

2017-04-27 23:08:51 | 風景写真/春

 越後の春の風景を3点掲載した。いずれも2015年に撮影したものである。
 この春も新潟方面に遠征を計画し、未だ撮影していない「儀明の棚田と桜」を収めようと思っていたが、天候や他の被写体との関係で、残念ながらキャンセルとなってしまったので、過去の撮影を現像し直して掲載した。

 まもなくゴールデンウイークになるが、私はカレンダー通りの休み。それでも大型連休であるから有意義に使いたい、まずは、昨年に訪れた場所においてのリベンジ。次に、知人のご厚意によって初訪問となる場所での風景と昆虫の撮影。そして、信州でのチョウの撮影を予定している。すべてが、思い通りの結果になるよう祈るばかりである。

お願い:写真は、正確にお伝えすべく、すべて1024*683 Pixelsで掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F10 1/100秒 ISO 100 +1EV(撮影地:新潟県十日町市 2015.4.25)

美人林の写真

美人林
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F10 1/5秒 ISO 100 +1EV(撮影地:新潟県十日町市 2015.4.25)

中子の桜の写真

中子の桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F10 1/60秒 ISO 100 +1EV(撮影地:新潟県津南町 2015.4.25)

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ムカシトンボの羽化(まとめ)

2017-04-23 18:41:14 | トンボ/ムカシトンボ科

 ムカシトンボの羽化を撮影するために、東京都多摩西部の山中を訪れた。ムカシトンボの羽化の撮影は、2つ前の記事で紹介したように一週間前の4月16日に撮影済であるが、今回は上陸ヤゴを撮影した標高の高い別の生息地であり、羽化までの有効積算温度の検証が大きな目的である。また羽化が行われているならば、前回は時間がなく、飛び立つまで見届けることができなかったので、体が色づいて飛び立つまでの観察もしたい。
 現地には、上陸ヤゴと羽化を一緒に観察した知人S氏と待ち合わせて、午前8時に到着。気温は9℃。なかなか見つけることができなかったが、上陸ヤゴを見つけた川原に日が当たり始めた10時、前日に羽化したオスの個体を発見。前日は午後から雨が降ったために飛ばずにそのまま止まっていたのだろう。羽化場所は、流れから約5mの距離で地上からは15cmほどの高さであった。
 11時を過ぎた頃、目の前を飛びながら通りずぎていったムカシトンボを発見。どこでいつ羽化したかは不明。更に、すこし離れた所で羽化したメスの個体も発見。羽化殻につかまっており、しばらくすると飛び立った。最初に発見したオスの個体も11時25分に飛び立ち、杉林の中へと消えていった。これら飛び立ったムカシトンボは、およそ2~3週間後から繁殖行動を始める。

 さて、「ムカシトンボの羽化までの有効積算温度」は、様々な地域における羽化日とその一ヶ月前の気象データに基づいて計算すると、有効積算温度(成長零点2℃)は230日度という値になった。そして、本年の各地の羽化状況と実際に観察した結果から、有効積算温度に達した後、最高気温が連続して20℃を超えた後に羽化することが分かった。
 そこで、有効積算温度から逆算して3月15日前後に上陸するという仮説をたてて、今回の観察地における有効積算温度を実際に計算してみると、230日度を超えたのは4月21日(230.8)で、昨日は238.9日度であり、実際に本日、羽化が確認できた。

 以上のことから、東京地方における「ムカシトンボの羽化」についてまとめてみると、以下のようになる。あくまでも、東京の多摩西部における観察と机上計算によるものである。

  1. ムカシトンボのヤゴは、気温・水温に関係なく、日長時間が概ね12時間になると上陸をする。
  2. 上陸後の有効積算温度(成長零点2℃)は、230日度である。
  3. 有効積算温度に達した後、最高気温が連続して20℃を超えた後に羽化する。
  4. 羽化時の気温は概ね10℃以上で、風が弱い日である。
  5. 日当たりの良い場所で、地上から15cm程の高さに定位し羽化する。
  6. 流れからの距離は、数十センチから数メートルと、個体によってまちまちである。

参照

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ムカシトンボの羽化(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F4.5 1/800秒 ISO 200(2017.4.23 10:25)

ムカシトンボの羽化(オス)
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / 絞り優先AE F11 1/100秒 ISO 200 -2/3EV(2017.4.23 10:23)

ムカシトンボの羽化(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 200 +1/3EV(2017.4.23 10:40)

ムカシトンボ / メス(羽化場所とは違う所で撮影)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F10 1/250秒 ISO 500 +1EV(2017.4.23 11:13)

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山桜

2017-04-22 17:05:11 | 風景写真/桜

 ヤマザクラ Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) H.Ohba, 1992)は、バラ科サクラ属の落葉広葉樹である。日本の代表的な桜で、宮城県以西の山地の日照条件のよい場所に広く自生している。土壌の浅い岩礫地や尾根筋に生育していることが多い。ヤマザクラの一群は、オオシマザクラやオオヤマザクラ、カスミザクラなどの基本種が12種ほどあり、更にそこから変性した自生種が100種類くらいあると言われている。ちなみに、有名な奈良の吉野山の桜は、ほとんどがヤマザクラである。里桜(染井吉野、彼岸桜等)は、花が咲いた後から葉が出てくるが、ヤマザクラは開花と同時に葉が出るのが特徴である。花色は淡白な色彩だが、赤色の新葉によって、山桜全体が色濃く見える。
 現在でお花見と言えば「桜(ソメイヨシノ)であるが、平安時代以前は、花と言えば梅であり、花見の対象が桜になったのは平安時代以降になってからと言われている。当初は、貴族によって、江戸中期からは庶民にまで定着し、桜の美しさを愛でていたと思われる。そして、その桜は「山桜」が主であった。

 今年になって初めての「桜」写真であるが、撮影を予定している桜は、まだ咲いていないため、過去に撮影した山桜の写真を選別して現像し直した。
 参加しているFacebookのコミュニティに山桜(写真1及び2)の写真を投稿したところ、「名もない山桜をスカウトして、プロデュースしてデビューさせた・・・」こんな嬉しいお言葉を頂戴した。有名な景勝地では、全ての条件を揃えて、更にプラスαの要素を加えなければ、誰が撮っても同じ写真になってしまうが、自分が見つけて惚れ込んだ被写体の最上の美を表現した結果は、オンリーワンの作品になる。とは言っても、定番写真ですら満足に撮れないのだから、メジャー・デビューさせるのは夢のまた夢である。
 GW期間中に見頃と天候が合えば、これまでに訪れたことのない場所の桜風景を撮る予定である。

参照:一本桜

お願い:写真は、正確にお伝えすべく、すべて1024*683 Pixelsで掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

山桜の写真

山桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/30秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:東京都奥多摩町 2014.4.19 6:50)

山桜の写真

山桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/40秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:東京都八王子市 2015.4.12 6:23)

山桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/10秒 ISO 100(撮影地:東京都あきる野市 2016.4.16 7:43)

中綱湖の写真

オオヤマザクラ(中綱湖)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 30秒 ISO 100 CPLフィルター使用(撮影地:長野県白馬村 2015.5.3 4:33)

中綱湖の写真

オオヤマザクラ(中綱湖)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 0.3秒 ISO 100 CPLフィルター使用(撮影地:長野県白馬村 2015.5.3 5:27)

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ムカシトンボの羽化

2017-04-16 17:58:49 | トンボ/ムカシトンボ科

 ムカシトンボの羽化を撮影することができた。今回の撮影は、4月2日に「ムカシトンボの上陸ヤゴ」を観察した場所とは同じ地域であるが、標高が低い生息地においてである。
 この場所には、前日も知人S氏と訪れ探索したが、ムカシトンボの羽化は見られなかった。今日は知人S氏とT氏と共に訪れ、8時頃より手分けをして探索。9時過ぎにT氏が既に羽化を開始しているヤゴ2頭を発見。どちらも日当たりが良い岸辺で、流れからはおよそ1mしか離れておらず、地上からは15cmほどの位置。2頭間の距離は1.5mほどで、1頭は枯れ枝(写真1~5)に、もう1頭は、落ちたスギの枯葉(写真6~10)につかまっての羽化である。おそらく9時頃に定位したものと思われる。
 午後から愛車の定期点検とタイヤ交換の予定があったため、11時で現地を引き上げなければならず、最後まで見届けることができなかったが、この後、昼過ぎ、遅くとも15時までには翅も固まって飛び立っていくとのことである。
 ムカシトンボの撮影においては、若齢ヤゴ、上陸ヤゴ、羽化、静止、飛翔、産卵と撮影できた。(参照:ムカシトンボ)残すは、交尾態の撮影である。

 さて、前回、「ムカシトンボの羽化までの有効積算温度について」記事にし、机上計算から有効積算温度は230日度であると記述した。今回の撮影地においては、ヤゴがいつ上陸したかは定かではないが、仮に一か月前の3月15日に上陸したと仮定して、昨日までの有効積算温度を気象データから計算すると、234.5日度であった。そして、連続して最高気温が20℃を超えて3日目であった。
 知人の観察では、昨年の羽化は一週間ほど早かったとのことであるので、昨年も同じ3月15日に上陸したと仮定して有効積算温度を計算すると、230日度を超えたのは4月9日であり、やはり最高気温が連続して20℃を超えて3日目であった。有効積算温度に達し、最高気温が連続して20℃を超えた数日後が羽化のポイントになるのかも知れない。
 では、4月2日に上陸ヤゴを観察した場所の羽化はいつのなるのか?前回の記事では、上陸日を3月20日、4月1日、4月10日と仮定して、過去の平均気温から計算したが、今回の生息地と同じ3月15日に上陸したと仮定して、本年の生息地の平均気温から実際に計算してみると、昨日での有効積算温度は、まだ184.4日度しかない。今後、昨日と同じ平均気温が推移したと過程して計算すると、230日度を超えるのは4月23日になる。仕事柄、毎日通って確かめることはできないが、次に週末には、できれば検証のために現地を訪れたいと思う。

参照:オヤヂのご近所仲間日記「ムカシトンボ羽化」 / フィールドワーク撮影記「2017/4/16(日)のフィールドワーク

お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ムカシトンボの羽化の写真

ムカシトンボの羽化
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/100秒 ISO 3200(撮影地:東京都 2017.4.16 9:18)

ムカシトンボの羽化の写真

ムカシトンボの羽化
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1200秒 ISO 3200 -2/3EV(撮影地:東京都 2017.4.16 9:35)

ムカシトンボの羽化の写真

ムカシトンボの羽化
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 3200 -2/3EV(撮影地:東京都 2017.4.16 9:36)

ムカシトンボの羽化の写真

ムカシトンボの羽化
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F7.1 1/320秒 ISO 200 -1EV(撮影地:東京都 2017.4.16 9:47)

ムカシトンボの羽化の写真

ムカシトンボの羽化
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F4.5 1/4003秒 ISO 200(撮影地:東京都 2017.4.16 10:25)

ムカシトンボの羽化の写真

ムカシトンボの羽化
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 1/640秒 ISO 200 -1/3EV(撮影地:東京都 2017.4.16 10:02)

ムカシトンボの羽化の写真

ムカシトンボの羽化
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / 絞り優先AE F9.0 1/125秒 ISO 200 -1/3EV(撮影地:東京都 2017.4.16 10:17)

ムカシトンボの羽化の写真

ムカシトンボの羽化
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/250秒 ISO 200 -1/3EV(撮影地:東京都 2017.4.16 10:39)

ムカシトンボの羽化の写真

ムカシトンボの羽化
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F4.5 1/320秒 ISO 200 -1/3EV(撮影地:東京都 2017.4.16 10:42)

ムカシトンボの羽化の写真

ムカシトンボの羽化
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F4.5 1/500秒 ISO 200 -2/3EV(撮影地:東京都 2017.4.16 10:47)

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ムカシトンボの羽化までの有効積算温度について

2017-04-05 16:17:22 | トンボ/ムカシトンボ科

 先日、観察したムカシトンボの上陸ヤゴが、いつ羽化するのかを予想するために有効積算温度を算出してみた。

 変温動物である昆虫の発育速度は、生息している環境温度に比例し、温度が低いと長く、高いと短くなるが、発育には有効な一定の温度(有効な温度の時間積分)が必要である。発育に最低必要な温度の限界点(発育が進まなくなる温度)は発育零点と呼ばれており、発育零点以下では発育が進まないことになる。この発育零点を差し引いた温度を積算したものが有効積算温度と呼ばれ、発育に有効な温度として(日度)で表されるが、発育零点と有効積算温度は、各種昆虫の種類や個体群ごとに固有の値を持つので、これらの値と平均気温の季節変化から、ある土地における成虫の出現時期などを推定することができるのである。
 ゲンジボタルの幼虫は、蛹になるために水中から陸に上がることが知られているが、前蛹を経て蛹化し羽化するまでの発育には、やはり温度が関係しており、筆者の研究では、発育零点8.02℃、有効積算温度408.4日度という結果が出ている。では、ムカシトンボについては、どうなのだろうか。

 まず、ムカシトンボのヤゴが上陸してから羽化するまでの期間と気温について、東京都内の生息地における過去のデータを集め、羽化までの期間の逆数を求めて発育速度を計算し、これと期間中の平均気温との関係を図にすると、グラフ1.のような関係が得られる。このデータに回帰直線を当てはめて横軸との交点の気温を求めると、それは気温の低下によって発育が遅くなり、ついに発育速度がゼロ、つまり発育できなくなる限界の気温(発育零点)を推定できる。これをもとに回帰直線分析を行い、発育零点と有効積算温度を得た。

ムカシトンボの上陸ヤゴにおける発育速度と平均気温の関係

グラフ1.ムカシトンボの上陸ヤゴにおける発育速度と平均気温の関係

①ムカシトンボのヤゴの上陸後から羽化までの日数と温度との間には、相関係数(r)が0.99であることから、高い相関関係が認められる。
②回帰直線式 y=0.0037x-0.0074(r=0.9954)  x=気温、y=発育速度(発育日数の逆数)
③この回帰直線式から、発育零点が2℃であることが求められる。(ただし、あくまでも現地の平均気温から算出した机上での計算である。)

有効積算温度は一般に次式で表される。
(T - t0) D = K
T :発育期間中の平均温度
t0 :発育零点
D :経過日数
K :有効積算温度

 この式に基づいて東京都内におけるムカシトンボの生息地の過去データから、上陸後から羽化までの有効積算温度を計算すると、有効積算温度は230日度となった。 上陸後からの日々の平均気温から発育零点である2℃を差し引き、その値を毎日足していった温度が230℃を超えると羽化が始まるということになる。
 そこで先日観察したムカシトンボの上陸ヤゴが3月20日、4月1日、4月10日に上陸した場合において、平均気温の推移が2016年、2014年、2012年と同様の場合を想定して、有効積算温度が230日度を超える日を計算し、グラフにした。赤い が羽化日である。(グラフ2~3)ちなみに、2014年は、5月11日~17日にオスの飛翔とメスの産卵を観察しており、2012年は、ここ数年で4月の平均気温が最も低くかった年である。

ムカシトンボの上陸から羽化日までの推移

グラフ2.ムカシトンボの上陸から羽化日までの推移(平均気温が2016年と同様の場合)

ムカシトンボの上陸から羽化日までの推移

グラフ3.ムカシトンボの上陸から羽化日までの推移(平均気温が2014年と同様の場合)

ムカシトンボの上陸から羽化日までの推移

グラフ4.ムカシトンボの上陸から羽化日までの推移(平均気温が2012年と同様の場合)

 グラフからは、3月20日頃に上陸していれば、4月19日から25日の間に、4月1日に上陸した場合は、4月19日から29日の間に、4月10日にに上陸した場合は、 5月1日から3日の間に羽化するという結果が得られた。ただし、実際の過去の羽化観察では、最高気温が20℃を越えていなければ羽化は行われないようであるから、これらを参考に本年のムカシトンボの羽化の 観察と撮影を進めたいと思う。
 尚、発育零点と有効積算温度は地域差や個体群ごとに違った値をもっているとも思われるので、すべてにおいて本記事の値が当てはまるものではい。

追記

ヤゴの上陸時期についても検討する必要があるが、ゲンジボタルの幼虫と同様と考えるのであれば、日長時間が一番大きく関与していると思われる。これについても地域や個体群ごとに、体内時計の設定時間が決まっていると思われる。

参考資料及び文献

  1. ホタルの発生に及ぼす温暖化の影響について(ホタルの羽化と積算温度について -発育零点と有効積算温度について)/古河義仁
  2. 卵と幼虫の発育ゼロ点と有効積算温度を用いた アキアカネ保全に有効な中干し実施日の検討
    齋藤四海智 先崎悠介 米澤千夏 千葉克己 神宮字寛/農業農村工学会論文集 IDRE Journal No. 304 (85-1), pp.Ⅰ_37-Ⅰ_46 (2017.6)
  3. 日本産昆虫、ダニの発育零点と有効積算温度定数/桐谷 圭治/農環研報31,1-74(2012)

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ムカシトンボの上陸ヤゴの写真

ムカシトンボの上陸ヤゴ(終齢幼虫)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/60秒 ISO 400 -1/3EV ストロボ使用(撮影地:東京都内 2017.4.2)

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ムカシトンボの上陸ヤゴ

2017-04-02 19:52:28 | トンボ/ムカシトンボ科

 ムカシトンボの上陸ヤゴ・・・ほとんどのトンボ類のヤゴ(終齢幼虫)は、水中から草木につかまりながら水上に出て、数十分から数時間後には羽化を始めるが、生きた化石と言われるムカシトンボ Epiophlebia superstes (Selys, 1889)のヤゴ(終齢幼虫)は、羽化の前およそ一ヵ月の間、陸上で過ごすという特異な生活をしている。今回、知人のS氏と都内の生息地を訪れて、その生態の不思議に迫った。尚、生息地を示す情報や上陸した場所の周囲の状況写真等の掲載は控えたいと思う。

 ムカシトンボは、日本固有種で北海道、本州(千葉県以外)、四国、九州に分布しているが、日本以外ではヒマラヤムカシトンボ (Epiophlebia laidlawi Tillyard,1921)がヒマラヤ山脈周辺に(Epiophlebia sinensis Li&Nel,2012)が中国黒竜江省に、また2012年に新種として報告された(Epiophlebia diana sp.n.)が四川省西部の山岳地帯に分布するのみで、他の国や地域には分布していない、トンボ目の中でもたいへん特異なグループである。
 その生態も他のトンボ類とは違っている。生息域は主に山地の渓流だが、ヤゴ(幼虫)の期間が長く、5~8年を要すると考えられている。また特筆すべきことは、羽化の1ヶ月ほど前に上陸し、湿った落ち葉や石の下などで生活するのである。この間に鰓呼吸から気門、つまり空気呼吸への切り替えを行っていると考えられている。
 これまで、成虫の写真では、オスのホバリングやメスの産卵の撮影を行い、水中の若齢幼虫の写真は撮っていたが、上陸ヤゴと羽化の様子は未撮影であった。そこで、いつも撮影を行ってきた生息地へ行ってみることにした。

 東京都内のある支流の源流部は、比較的生息密度が高く、生育ポイントも分かっているのだが、岸辺の石を1つ1つどかしても、なかなかムカシトンボの上陸ヤゴは見つからない。次に、そこから離れた別のポイントで探してみることにした。最初のポイントに比べて、ひじょうに日当たりが良く、平坦な岸辺が広い。流れから3mくらい離れたところの、拳二つ分の浮石をひっくり返したところ、その下にムカシトンボの上陸ヤゴが1頭、土の上にいるのを発見。その場から1m先の別の浮石でも発見した。こちらは、握り拳より少し大きめで、石の裏にへばり付いていた。
 (撮影しやすいようにしたが、撮影後は、元の環境に戻したのは言うまでもない。)

 目的は達成したが、このヤゴが、いつ上陸したのかが分からない。成熟した成虫が飛び回り、産卵が行われるのが5月の中旬頃であるから、逆算すれば上陸したばかりであると考えられるが、本日撮影した上陸ヤゴの写真では、翅の付け根部分である前胸部に白い筋が入っているのが分かる。これは、翅芽が発達してきていることを示している。つまり、上陸してからある程度、日数が経過していることさす。産卵が観察できる日当たりの悪い場所においては、上陸ヤゴが発見できなかったことからも、同じ生息地においても、日当たり(気温)の条件によって、上陸時期に差があるのかもしれない。
 また、興味深いのは、冷たい水の中で7年ほどを過ごしたヤゴが、上陸の時期をどうやって見極めているのかということである。ゲンジボタルの幼虫の上陸には日長時間が関与しているので、 ムカシトンボのヤゴも体内時計で計っているのかもしれない。ある日長時間になったら上陸すると決められていて、その時期は、上陸後の気温によって日本各地の生息地毎に差があるのではないかと思われる。今回、訪れた場所は標高が高く、麓においても、まだ梅が満開という状況であり、当然ながら気温が低かった。ただし、日当たりによっては、その差も大きい。今後、検証する必要がある課題だ。

 上陸後から羽化までの日数は、ホタル同様に有効積算温度で決定されるということであるから、今度は、未撮影である「羽化」のシーンを狙って訪ねてみたい。

参照:ムカシトンボ

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ムカシトンボの上陸ヤゴの写真

ムカシトンボの上陸ヤゴ(終齢幼虫)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/60秒 ISO 400 -1/3EV(撮影地:東京都内 2017.4.2)

ムカシトンボの上陸ヤゴの写真

ムカシトンボの上陸ヤゴ(終齢幼虫)
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / 絞り優先AE F6.3 1/20秒 ISO 500 -1/3EV(撮影地:東京都内 2017.4.2)

ムカシトンボの上陸ヤゴの写真

ムカシトンボの上陸ヤゴ(石の裏にへばり付いていた個体)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 500 -1/3EV(撮影地:東京都内 2017.4.2)

ムカシトンボの上陸ヤゴの写真

ムカシトンボの上陸ヤゴ(石の裏にへばり付いていた個体)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 500 -1/3EV(撮影地:東京都内 2017.4.2)

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