ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態や生息環境を研究し保全活動をしていますが、様々な昆虫や美しい日本の四季
自然風景の写真も撮っています。

東京に生息するヒメボタル

2009-07-22 19:50:12 | ホタル


 東京奥多摩には、ヒメボタルが生息している。この5年ほど毎年観察に訪れているが、ようやく満足できる写真が撮影できた。(画像は、クリックすると大きなサイズで見ることが出来る。)

 これは、オリンパスOM-2とキャノンEOS-3、それぞれ3カットずつ撮ったものの1枚。フィルムは、ISO1600のネガカラーを用いた。合成や多重露光ではなく、長時間露光で撮影。この時は、暗闇の峠に一人でツキノワグマにも遭遇。恐怖と戦いながらも、じっくりと腰を据えたことで、杉林の斜面を明滅しながら飛び交うヒメボタルを捉えることができた。

 群生地に比べれば数は少ないが、東京都にもヒメボタルが生息しているということ、その光景を紹介することには大きな意味があると思う。



 こちらのヒメボタルの写真は、先日、山梨県で撮影したものである。ここはまさに乱舞で、「光のナイアガラ」ともいうべき光景が、雑木林の斜面に広がっている。

東京にそだつホタル>東京ゲンジボタル研究所/古河義仁
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デジタルで撮影したホタル飛翔風景写真に脱帽

2009-07-20 20:45:21 | その他


 上の写真は、友人がデジタルカメラで撮影したヒメボタルの飛翔風景である。

 デジタルカメラでホタルの写真を撮影する場合、一般的に背景と数十秒のコマ撮りした光跡をPCで合成する方法が行われているが、これは、写真の時間連続性やホタルの生態という観点から、私は否定的な考えを持っている。デジタルカメラでも、銀塩(フィルム)カメラと同じ方法で撮影すべきだと思っているが、私の友人は、その方法でホタルを撮り続けている。写真の撮影データもWeb上で公開しており、紹介した写真では以下のようになっている。

Canon EOS 40D Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4 ZE  6分 f1.4 ISO400

 これは、フィルムを凌ぐ実にすばらしい写真だと思う。デジタルでホタル飛翔風景写真を撮影する際は、是非、見習っていただきたい。

ホームページは、こちら。昆虫フォトギャラリー

東京にそだつホタル>東京ゲンジボタル研究所/古河義仁
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クロマドボタル(成虫)の発光

2009-07-19 00:17:13 | ホタル
 山梨県にヒメボタル観察に行ってきた。

 3連休の初日とあって、中央道は大渋滞。国立インターチェンジから乗ったものの、歩いた方が速いくらいのノロノロで、これが上野原まで続いた。ETCを搭載していない私は正規料金を支払うのだから、優先して通して欲しいくらいだが、致し方ない。目的のインターチェンジまで3時間近くかかったが、何とか到着。

 周囲を散策した後、17時半に目的地の山の麓へ行き、車を止める。ここからは、徒歩で登山道を登る。息を切らして登ること15分。これまで雑木林の下草が背丈ほど伸びていたのが、ここから急に20~30cmになる。ヒメボタルの生息地である。立っているのもやっとの急勾配。登山道脇の木にもたれかかりながら、その時を待つ。運悪く、雨だ。森の中にいるから滴もほとんど落ちてこないが、できれば止んで欲しい・・・。

 19時10分。1匹のヒメボタルが発光を開始する。19時半、しだいに発光するヒメボタルが増え、ヒメボタルに取り囲まれる状態だ。昨年に引き続き、素晴らしい光景を見ることが出来た。漆黒の森の中に無数のゴールドの点滅。先週に訪れた奥多摩とは、また違ったすばらしさだ。

 ヒメボタルを観察している途中で、とても重要な発見があった。何と、クロマドボタルの成虫が発光していたのである。クロマドボタルの幼虫が発光することは広く知られているが、クロマドボタルの成虫が発光を確認したのは、私にとって今回が初めてである。

 クロマドボタル成虫の発光は、ゲンジボタルやヘイケボタル、或いはヒメボタルの成虫の発光とは異なり、規則的な明滅はしない。幼虫の発光同様に数秒間光り続けるが、時折強く発光する。昼行性のクロマドボタルは、光を雌雄のコミュニケーションツールとしていない。発光は威嚇なのだろうか?これからの研究課題である。

東京にそだつホタル>東京ゲンジボタル研究所/古河義仁
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恐怖のヒメボタル観察

2009-07-12 01:31:42 | ホタル
 11日~12日は岩手県までヒメボタル観察に行く予定を立てていたが、まだ発生の初期段階で数が少ないことから、今年は見送ることにした。少々残念な気もするが、代わりに先週訪れた東京奥多摩のヒメボタル生息地に再び行って来た。

 ホタルの観察は、ほとんど親友と一緒のことが多いのだが、今日は別行動。つまり一人である。自殺の名所でもある渓谷沿いの道を進んだ後、細い砂利道の林道を2kmほど登ると峠だ。そこから急勾配の登山道を数十メートル上がったところがポイントになる。

 もちろん明るい時間(18時)に到着。懐中電灯は持たずに、ポイントでひたすら待つ。気温18℃、無風、天候は曇り。19時半。時折、星も見える。先週よりも暗いなと思うと、1匹のヒメボタルが登山道脇の茂みで光る。また1匹。次第に発光するヒメボタルの数が増え、20時には、およそ50匹のヒメボタルが谷を登り始めた。

 ヒメボタルの発光色は、黄金色に見えるときもあれば、黄緑色に見える時もある。湿度による光の屈折の影響やヒメボタルとの距離も関係ない。ヒメボタル自身が発光色を変化させているとしか思えないのであるが、確かではない。急斜面の杉林を登ったり降りたり、或いは登山道を行き来するものもいる。かなりのスピードで斜面を降りていくものを追いかけるように後に続くもの、時には垂直に飛ぶものもいる。規則正しいリズムで発光していたかと思えば、光り続けながら下草めがけて下降したり、何匹もがバラバラに発光していたかと思うと、同期明滅する場合もある。15分ほどたつと、まったくいなくなる時もある。またしばらくたつと1匹の光が見え始め、またあちらこちらで発光する。何とも興味深い。

 観察途中、不思議な体験があった。山側の斜面の数メートル先でサ~と音がする。一箇所ではなく、音に奥行きがある。昨年、山梨にヒメボタル観察に行った時に、やはり数メートル先でサ~と音がした。この時は雨の音だったが、今日は違う。風の音でもない。1~2分でその音はパタリと止んだ。この音は、その20分後に再び聞こえたが、その後は聞くことはなかった。一体、何だったんだろうか?
 こんな山奥に一人というのは、何とも心細い。今日は、フクロウも鵺も鳴かない、とても静まりかえった夜だ。

 21時半。発光するヒメボタルの数が減ってきた。また、しばらくすれば光るだろう、せめて22時までし居ようと思った瞬間、背後の山側の茂みからガサ、ガサ、ガサと大きな音が聞こえてきた。
最初、人が歩いてきたのかと思ったが、そんな訳がない。イノシシか?いや、それにしては、下草を踏みしめる音が大きい。音の長さから、足のでかい奴だ。一体、何だ・・・?
「ツキノワグマの出没が確認されていますので、十分ご注意ください。」峠に建てられた看板を思い出した。やばい。その足音は、次第に近づいてくる。今度は向きを変え、左方向にノシノシと動いている。
「こっちには来るな!」心で叫びながら、身動き出来ないでいた。「まじで、やばい。」とりあえず、逃げるしかない。セットしていたカメラ2台を三脚ごと担いで、登山道を降りた。
 結局、暗闇なのでその姿を見ることはなかったが、過去の経験から鹿やイノシシとは違う。やはり熊か?ホタル観察どころではない恐怖の一時であった。


東京にそだつホタル>東京ゲンジボタル研究所/古河義仁
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ヒメボタル観察

2009-07-05 02:10:59 | ホタル
 4日に東京都内に生息するヒメボタルの観察に行ってきた。(上記の写真は、2006年に撮影したものである。)

 美しい渓流沿いの細い道を3.5km程進み、そこからさらに細い砂利道の林道を2kmほど登ると峠に着く。峠から急な登山道を少し登った所がヒメボタル生息地である。急斜面には、よく管理された杉林がみごとに続いている。例年では、7月7日~10日の間1,2日間をピークとして、その前後3日ほどがヒメボタルの発生期間である。たった1週間しか見ることも観察することもできない。昨年は、7月5日時点では発生していなかった。私は会社員であるため、休日の土日しか来ることが出来ない。今年は運良く、6月の土曜日は4回とも天候がよく、ゲンジボタルの観察が出来たので、ヒメボタルが飛ぶことを祈るばかりである。18時に現地に到着したが、気温は20℃で結構涼しい。ただ、谷から吹き上げてくる風もなく、たいへん穏やかである。
 さて、どうだろう。19時半。まだ光らない。曇っているためか、結構明るい。いつもならそろそろ光り出す頃なのであるが・・・ヒメボタルは、ゲンジボタル以上に明かりに敏感だ。

 20時。ようやくヒメボタルが光り出した。例年よりも数日早い発生である。数はそれほど多くはないが、谷から徐々に上がってくる。気温18℃。無風。急斜面の杉林の下草の上を黄金色のフラッシュ発光が、近づいてくる。ゲンジボタルと比べてヒメボタルは、また格別である。ヒメボタルの発光も同調しているように思われる一瞬がある。斜面を登る時や横に移動する時は比較的ゆっくりだが、斜面を降りる時は、かなり早いスピードである。僅かな下降気流に乗るのだろうか。
21時。とても静かである。ゲンジボタルの観察時は、せせらぎの音が絶えず聞こえているが、ここは静寂そのものである。友人と私以外誰も来ることはない。暗黒と静寂の中に黄金色の明滅が行き交う。何とも不思議な時が流れる。鵺(ヌエ)の鳴く夜は恐ろしい・・・横溝正史の小説の一節だが、時折、トラツグミの「ヒョー」という鳴き声が、不気味に響いてくるだけだ。


 22時。靄が立ちこめ、より一層幻想的な空間を演出してくれる。これまで地上すれすれを飛び交っていたヒメボタルは、飛翔高度を上げ、中には垂直方向に飛び始めるものもいる。とても興味深い行動である。22時半。ヒメボタルは発光を止め、それぞれ下草の中に隠れてしまった。
 帰りがけ、沢ではまだゲンジボタルが飛び交っており、その光りの大きさと優雅さに圧倒されたが、ヒメボタルはまた格別である。

 今年撮影した写真は、こちら ヒメボタル写真
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