ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

折爪岳のヒメボタル

2017-07-17 22:38:07 | ヒメボタル

 折爪岳のヒメボタルを紹介したい。本ブログでは、昆虫の記事に関しては撮影地の表記をしていないが、今回は、広く知られた場所であり、また、ヒメボタルと自然環境の保全・保護のために、あえて場所を表記して紹介することにした。
 折爪岳は、岩手県二戸市、九戸郡軽米町、同郡九戸村を山域に持つ標高852.2mの山であり、東北でも有数のヒメボタル生息地となっている。7月上旬から中旬頃には、山頂から中腹にかけて、総数100万匹とも言われるヒメボタルが飛び交うことで知られている。

 折爪岳のヒメボタルには、2006年、2008年、2010年と訪れているが、いずれも良い写真がが撮れていなかったため、今回、7年ぶりに行くことにした。
 16日、朝4時半に自宅を出発し、途中で親友を乗せて650km先の岩手へ向かった。東京は晴れであったが、岩手県に入ると猛烈な雨。十和田方面は、雨で通行止めになるほどである。九戸ICを降りて折爪岳に到着すると、雨は小降りになったが、今度は台風であるかのような強風。そして濃霧。宿泊する山の家で、とりあえず待機である。
 雨が止み霧も薄くなった18時半。撮影ポイントでスタンバイする。風は時折強く吹くが、ヒメボタルは光ってくれることを願うしかない。森の中が暗くなった19時44分。ようやくヒメボタルが光り始めた。前日は、大乱舞であったようだが、この日は風が吹いていることと気温が低めであることから、多くの数が飛翔することはなかった。それよりも、車のヘッドライトが発光と飛翔の妨げになっていた。本来は通行止めになるのだが、この日は悪天候であったため通行止めにしていなかったのだ。車のライトが当たると一斉に発光を止めてしまい、しばらく発光しない。こんな状況が続けば、大きな影響がある。私も車で来たが、通ったのは14時半。帰るのは翌朝である。車で来る場合は、ホタルが光り出す時間より前に来ること、そして光り終わってから帰ることが必要だ。これは、どの場所でも同じで、ゲンジボタル、ヘイケボタルでも同様である。これは、マナーではなく鉄則である。鑑賞者には厳守頂きたい。勿論、手に懐中電灯を持ってもいけない。明るい時間から、ホタルが舞う場所で待機していれば、懐中電灯はいらない。

 天候と車のライトという悪条件が重なったが、十分な観察はできた。また、他地域を含めたヒメボタルの写真において、昨今多く見かける「光の絨毯」のような作り上げたものではなく、品位のある「折爪岳のヒメボタル」の風景を描くことができたと思う。(ほとんどのヒメボタルは飛翔することなく、同じ葉上で発光しているだけであることが写真からも分かる。)

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、すべて1024*683 Pixelsで掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

折爪岳のヒメボタルの写真

ヒメボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 14分多重 ISO 1600(撮影地:折爪岳/2017.7.16)

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

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2 コメント

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そのとき (DaiSaito)
2018-06-09 03:21:59
私は茨城に住むものですが、偶然にも、7/15-16は折爪岳にいました。
前日の15日はまさにフィーバー状態でしたが、車のゲート解放と共に強制終了…。
ハイビームで「朝」がくるのがいつも同じ時間だから、ヒメボタルも1時間に濃縮して活動するのが習慣づいてるのかな?なんて思ったりして。

そして、古河先生がいらっしゃった16日は… 寒かったですね!
霧が出て写真的には雰囲気出るなぁって思いつつも、あまりヒメボタルが飛んでいない森の中でずっと待機していました。
3人の若いグループが強力なランタンで森中を照らしてまわって、その数分後に「おらぁーー!」って叫び声が聞こえたでしょうか?

すみません、あの声、私です。あまりにも驚愕の行動をされて、思わず(汗)

去年は、折爪岳のときだけでなく、美ヶ原の霧氷のときもご一緒させていただいてたようです。
王ヶ頭側ではなく山本小屋側にいました。
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折爪 (ホタル)
2018-06-09 10:17:22
DaiSaitoさん、コメントありがとうございます。
両方とも同じ日におなじような場所におられたとのこと、お会いはしておりませんが、嬉しく思います。
今年は、二泊三日で折爪岳に行ってきます。
悲しい思いをできるだけ少なくするよう、それまでの間に、ホタルにとって「人工の明りは禁物!」ということを叫び続けていきます。
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