……PART5「十三人の刺客ふたたび」はこちら。
さて、庄内で多くの映画が撮影されているのは、セディックという制作会社が旧羽黒町に広大な土地を所有し、“映画村”として運営しているからだ。平成7年に創立されたこの会社がどうしてこれだけの土地を、しかも庄内に求めたかはわからない。誰か知ってたら教えてくれ。
それはともかく、きっかけになったのが「ジャンゴ」であることは確実。どんな映画だったかというと……
身びいきで(わたしだって庄内で撮影されている映画は応援したい)言うわけではないが、これはなかなかの作品だった。
という豪華メンツに加え、桃井かおり、木村佳乃、小栗旬、松重豊、石橋蓮司が村人、そしてさすらいのガンマンが伊藤英明ときたもんだ。どんだけ集めたら気がすむんだ。おまけにクエンティン・タランティーノや香取慎吾が特別出演。三池崇史や、セディックの剛腕ぶりが光る。
全篇が英語で収録される意図がいまひとつわからなかったのだが、佐藤浩市が「平家物語」を破り捨てて「これからはこれでいく」とシェイクスピアの「ヘンリー六世」を持ち出したことで謎はとけた。
なぜかイタリアでマカロニ・ウエスタンとしてアメリカ西部の物語が(英語で)展開されたように、日本でも母語を捨て、英語でスキヤキ・ウエスタンを構築しようという目的の他に、三池と脚本のNAKA雅MURAは、シェイクスピアのような因縁の物語をつむいで見せたかったのだ。だから保安官役の香川照之の道化ぶりは思いきりシェイクスピア。なるほど、なるほど。
目もくらむキャストのなかでは、常にタバコをくわえて登場する木村佳乃の鉄火女ぶりがおいしい。血まみれであらわれる佐藤浩市と、(なにしろ庄内だから)いきなり雪が舞うなかを日本刀をぎらつかせて走る伊勢谷友介の紅白の対比が笑える。
俳優たちにとっては地獄のような撮影だったらしいが、三池が庄内を気に入ってくれて「十三人の刺客」をここで撮ると決めてくれたことはうれしい。またしても、ハードな撮影になることだろうが。
……そしてどうやら、この人が原作で、この人が監督し、この人が主演する映画のエキストラ募集が開始されたと例の業者から情報提供。おー。
PART7「宇宙戦艦ヤマト」につづく。