30日に開かれた「水戸黄門漫遊マラソン」には2キロと5キロのコースに知的障害者約140人が参加した。スタートからゴールまで、健常者に交じって同じコースを走った。障害者のスポーツ大会を主催するNPO法人「蛍の会」代表で、今回の大会に運営面で協力した水戸市本町、沢畑清子さん(59)は「ノーマライゼーションを象徴する大会に育ってほしい」と期待する。
沢畑さんが「蛍の会」を設立したのは長男俊允(としのぶ)さん(38)の知的障害がきっかけ。3歳ごろに発達の遅れを感じ、その後知的障害と判明した。俊允さんは特別支援学校でサッカー部に所属していたが、1997年に卒業した後は社会福祉事業団での仕事と自宅を往復する日々で、運動する機会がめっきり減った。
「知的障害者が思い切り体を動かせる環境をつくりたい」。沢畑さんは2002年に「蛍の会」を設立し、活動を始めた。年1回の駅伝大会、個人で競うロードレース大会のほか、月2回のサッカー教室を開いている。
昨秋、大会主催団体の一つ、市陸上競技協会から「障害者ランナーを受け入れたい」と持ちかけられ、「健常者と一緒に走ることができるのなら」と引き受けた。これまで開いてきたロードレースに代わる大会だと位置付け、参加を呼び掛けたところ、5キロ97人▽2キロ41人の計138人がエントリーしてくれた。ほかに沢畑さんを通さず参加した障害者もいたという。
当日は緊急の場合にいち早く対応するよう、ゼッケンの色を変えてもらったが、健常者と交じって同じスタート位置に立ち、それぞれのペースで駆け抜けた。約40人は親族などの伴走つきだが、俊允さんは一人。「楽しかった。大勢で走るといつもと違う」と俊允さん。大勢の健常者と一緒に走るのは久しぶりだった。同市千波町、柳田貫智さん(22)は姉の夫・翼さん(25)の伴走つきで5キロに参加。スタート前、手を振りながら「負けたくない。完走したい」と笑顔で語った。
沢畑さんは「懸命にゴールを目指す姿は健常者も障害者も変わらない。障害者だけの大会も大事だが、健常者と同じ声援を受けてスポーツを楽しむ機会をもっとつくってほしい」と求めている。
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