学校での学習や生活に困難のある障害児をタブレット端末などのIT機器を使って支援する「魔法のプロジェクト2016 魔法の種」(ソフトバンク、エデュアス、東京大学先端科学技術研究センター主催)の事例報告会が21日、同センター(目黒区)であった。
「読み書きや計算ができない」「重度障害でコミュニケーションができない」――。2009年に始まったこのプロジェクトは、そんな困難を抱える全国の小中高校や特別支援学校の児童生徒と教員の2人1組を対象に毎年、参加者を公募。「iPad」などの情報端末を1年間貸し出し、学習や生活支援に生かす研究をしてきた。これまでにのべ約400組が参加し、16年からは新たに教職をめざす大学生と大学院生も入った。
報告会には全国から約350人が参加した。どんなアプリをどう与えたら効果的だったか、学校の定期考査ではどんな配慮をしたか、など具体的な26事例が発表された。そのほかの事例もポスター展示された。
障害者差別解消法が昨年4月に施行されたが、試験での配慮はもちろん、情報端末の持ち込みも受け入れてもらえない学校もある。報告した教師の一人は「『前例がないのでできるかわからない』という言葉が聞こえない社会に早くなってほしい」と話した。
17年度の募集詳細は「魔法のプロジェクト」のサイト(http://maho-prj.org/)で。締め切りは2月28日。
児童・生徒の事例などが報告された=目黒区の東大先端科学技術研究センター
2017年1月23日 朝日新聞