障害者への理解促したい アンドリュー・パーソンズ氏(38)
五輪に引き続き9月に開催されるリオデジャネイロ・パラリンピック。障害者スポーツの祭典にとっても夏冬通じて南米で初開催となり、普及と理解促進が期待される。ブラジルのパラリンピック委員会会長で、国際パラリンピック委員会副会長のアンドリュー・パーソンズ氏(38)がリオデジャネイロ市内で取材に応じ、大会の理念、抱負を語った。【構成・藤野智成】
2012年ロンドン大会には過去最多の164カ国・地域から選手4237人が出場した。リオ大会では、それを上回る170カ国・地域以上からの選手の出場を目指している。ロンドン大会は入場券も過去最多の270万枚を完売したが、リオ大会では300万枚のチケット販売を目標としており、達成には自信を持っている。
ブラジルはリオ大会での国・地域別金メダル数で5位を目標にしている。00年シドニー大会では24位(6個)だった。その後、宝くじの売り上げを財源とした強化支援も始まり、長期的な選手育成にも取り組み、04年アテネ大会で14位(14個)、08年北京大会で9位(16個)、ロンドン大会では、過去最高の7位(21個)となった。
ブラジル国内では、「変化」と名付けた障害者スポーツ普及のプログラムが展開されている。リオ市内の学校を中心に、競技を紹介する資料を配ったり、実際に子供を競技会場に招いたり、理解を促している。幼いころから、義足などへの知識を持つことが大事だ。
パラリンピックの自国開催が決まったことで、サンパウロ市内の障害者専用のナショナルトレーニングセンターの整備も進んだ。リオ大会を通じて、競技の知名度が上がり、もっと民間企業からの支援を増やしたい。
リオ大会が終われば、次は東京が舞台となる。私は東京五輪の準備状況を確認する国際オリンピック委員会の調整委員会のメンバーにも入っている。日本を訪れるたびに感じるのは、日本の関係者が、常に五輪と共にパラリンピックの成功を強調すること。非常に印象的だ。日本には車いすテニスの国枝慎吾さん、陸上の佐藤真海さんら、すばらしい選手がたくさんいる。20年東京パラリンピックは史上最高の大会となると、今から確信している。
毎日新聞 2016年1月1日 東京朝刊