◇前回大会の雪辱、南アで--秋田市在住、加藤隆生さん(21)
06年にドイツで開かれた知的障害者のサッカー選手権「INAS-FIDサッカー選手権」に日本代表ゴールキーパーとして出場。8月の南アフリカ大会の代表選手にも選出され、再び世界の舞台に挑む。
同選手権はFIFAワールドカップと同じ年に開かれ、世界4ブロックの代表16チームが出場する。ルールは国際サッカー連盟(FIFA)が定めるものと同じで、ピッチの広さも競技時間も変わらない「もう一つのワールドカップ」だ。
サッカーを始めたのは3歳ごろ。サッカーをしていた3歳年上の兄の練習についていったのがきっかけだった。地元の小中学校のスポーツ少年団やサッカー部で練習を重ねた。
読み書きが苦手だったため秋田大付属養護学校に進学する一方で、前年まで兄が所属した強豪・秋田商高サッカー部の練習に参加させてもらった。卒業後は秋田市の介護施設に勤めながら、週数回勤務後や週末にサッカーを続けている。
県特別支援学校体育連盟のチームの他に一般の三つのチームに参加。フィールドプレーヤーとしても活躍する。
「一生付き合っていけるスポーツ。厳しくやるのも良いし、楽しくやるのも良い。どういう形でも続けていると思う」と話す。
知的障害のサッカー選手権の存在を知ったのは日韓共催のワールドカップがあった02年。深夜に「ちょっと、こんなのがあるよ」と親に呼ばれてテレビを見たところ、その試合が放映されていた。翌年には選抜を経て、代表チームの合宿にも参加するようになった。
06年のドイツ大会で日本代表は2勝4敗の10位。「相手は体格が良く、容赦なく当たってくる。身体能力が高く、日本との差の大きさを感じた」という。
今までに浴びたことのない歓声とブーイング。指示も伝わらず、緊張で一度キャッチしたボールをこぼすこともあった。ロシア戦では優位に試合を進めたが、PKで失点し0-1で負けた。その後現地での練習中に左足首をねんざし、勝った2試合には途中交代と不出場と悔しさが残る。
一方で「現実派」を自認。雪辱を目指す南アフリカ大会だが、出場する実感はまだわかない。「1試合でも多く勝てたらと思う」
==============
■人物略歴
◇かとう・たかお
88年12月30日、秋田市(旧雄和町)生まれ。180センチ、66キロ。好きなサッカー選手は元日本代表GKの川口能活選手。趣味は車いじりで愛車は「フォルクスワーゲンタイプ1」。仙台までカーレースを見に行くことも。
毎日新聞 2010年5月1日 地方版
06年にドイツで開かれた知的障害者のサッカー選手権「INAS-FIDサッカー選手権」に日本代表ゴールキーパーとして出場。8月の南アフリカ大会の代表選手にも選出され、再び世界の舞台に挑む。
同選手権はFIFAワールドカップと同じ年に開かれ、世界4ブロックの代表16チームが出場する。ルールは国際サッカー連盟(FIFA)が定めるものと同じで、ピッチの広さも競技時間も変わらない「もう一つのワールドカップ」だ。
サッカーを始めたのは3歳ごろ。サッカーをしていた3歳年上の兄の練習についていったのがきっかけだった。地元の小中学校のスポーツ少年団やサッカー部で練習を重ねた。
読み書きが苦手だったため秋田大付属養護学校に進学する一方で、前年まで兄が所属した強豪・秋田商高サッカー部の練習に参加させてもらった。卒業後は秋田市の介護施設に勤めながら、週数回勤務後や週末にサッカーを続けている。
県特別支援学校体育連盟のチームの他に一般の三つのチームに参加。フィールドプレーヤーとしても活躍する。
「一生付き合っていけるスポーツ。厳しくやるのも良いし、楽しくやるのも良い。どういう形でも続けていると思う」と話す。
知的障害のサッカー選手権の存在を知ったのは日韓共催のワールドカップがあった02年。深夜に「ちょっと、こんなのがあるよ」と親に呼ばれてテレビを見たところ、その試合が放映されていた。翌年には選抜を経て、代表チームの合宿にも参加するようになった。
06年のドイツ大会で日本代表は2勝4敗の10位。「相手は体格が良く、容赦なく当たってくる。身体能力が高く、日本との差の大きさを感じた」という。
今までに浴びたことのない歓声とブーイング。指示も伝わらず、緊張で一度キャッチしたボールをこぼすこともあった。ロシア戦では優位に試合を進めたが、PKで失点し0-1で負けた。その後現地での練習中に左足首をねんざし、勝った2試合には途中交代と不出場と悔しさが残る。
一方で「現実派」を自認。雪辱を目指す南アフリカ大会だが、出場する実感はまだわかない。「1試合でも多く勝てたらと思う」
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■人物略歴
◇かとう・たかお
88年12月30日、秋田市(旧雄和町)生まれ。180センチ、66キロ。好きなサッカー選手は元日本代表GKの川口能活選手。趣味は車いじりで愛車は「フォルクスワーゲンタイプ1」。仙台までカーレースを見に行くことも。
毎日新聞 2010年5月1日 地方版