馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

どこかヘルニア

2017-03-27 | 急性腹症

先の分娩後の腸間膜裂、空腸壊死、腹膜炎、の手術の最中に、

もう予定日を過ぎている繁殖雌馬が疝痛だという連絡。

夜8時。来院したら血液はさほど悪くないが、正常ではない。

子宮捻転はなさそう。

「開けましょうか・・・・」

開腹したら、空腸の一部がどこかへ入り込んでいた。

馬の右側に立っていたのを、左側へ移って引張ったら、すぐ抜けてきた。

こういう症例では抜けてしまうと、どこへ入り込んでいたかわからなくなる。

網嚢孔か、腸間膜か、あるいは・・・・・

まして妊娠末期の馬なので、腹腔内を隅から隅へ検査できない。

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締め付けられていた空腸は、しばらくすると色調は回復したが、肥厚はとれそうにない。

切除・吻合することを決断した。

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空腸と回腸で端端吻合した。

回腸を吻合に使ってはいけない、という馬外科医も居るようだが、私はあまり気にしない。

それに妊娠末期の馬では、回盲部を引き出せないので、空腸盲腸吻合は難しい。

翌日、朝から飲み食いできるようになり、夕方、退院していった。

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なんだ このちゃいろいのは

たぶん鯨の腰椎だな。