アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

練習に付き合ってもらうレッスン

2018年10月26日 | ピアノ
昨日はヨガ前レッスンでしたが、なにしろその前の日に舟歌弾いて夜は当然飲んで(笑)遅くに帰ってきたもんで当然ピアノは弾けてなく、さて何を見てもらうのか…

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というと、日曜日に歌の合わせがあるのにぜんぜん弾けてないー!! というのが第一優先事項でしょう。

Sento nel core、いちおう音は拾った(つもり)、おゆき先生レッスンで「こう練習しよう」って指針はもらった(そして練習はしてない)。

ここはとにかく練習させてもらう一手。

先生には「Sento nel coreを今からなんとかして日曜日の合わせに備えないといけないんですけど昨日舟歌終わったところでほとんど練習できてないんです」
先生「それは大変。やりましょう」

それで、先生が歌パートを弾いてくれてとにかく合わせて弾いてみた。

すると、ちょっとややこしくなると「あれあれあれあれ」ってなって崩壊し、シンプルなところは弾けるけど、またややこしくなると、今の指使いナニ!? おかしいでしょう

部分で区切って中断し、おかしかったところをゆっくり確認。

「じゃもう一回。」

なんとか弾けたーちょっと危なかった。

「じゃもう一回やってみましょうか。」

ほんと、ひとりで練習しとけよって感じなんですけど、それをする時間がほんとになかったもんで、
それに、先生が歌パート弾くとかなりイイんですよ。けっこう本気で「歌って」くれてて、
伴奏弾いてても和音萌えします。

「今のところ弾きにくそうですねぇ…」「弾きにくいです!!」
で、改善プランを練ったり。

行きつ戻りつ。

そんなことしてると30分レッスンは「あっ」ちゅう間です。

じゃ、仕上げだ!! 「最初から『その気』でやってみましょう」

先生もムードたっぷり(ピアノで)歌ってくれて…先生、もしかして受験のときとかこれピアノじゃなくて歌ってませんか? 歌ってくれてもいいんですけど…

ま、ともかく今回はピアノで歌うSento nel coreですが通してみました。

とてもいい感じに進んで、「おっ、いいじゃない」と先生も私も思って、それでもう少しで終わるってときに

出ました!! 私の必殺「膝カックン」技(肝心のフラットを落としたりしてムードぶち壊すやつ)

「今のよかったのに…よかったのに…」(←先生爆笑)

いやーでも、30分でこんだけ真剣にやるとけっこう収束します。ひとりでこんな効率よくできないんで…練習に付き合ってもらうレッスンというのもいいもんです(先生はどう思ってるか知らんけど)

先生「週末ごとに何かしらイベントがあるようですし、木曜日のレッスンというのはちょうどいいですネ♪」
私「傾向と対策ですね!! 舟歌は、事故を恐れず先生がそばで濃いでくれてるイメージでいく方針でわりとうまくいったんですよ。大きめ事故はあったけどうまく流れてるところは乗り心地よく」
先生「それがなによりです(^^)」

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よく聞く曲、あまり聞かない曲

2018年10月25日 | ピアノ
世間一般でいう超有名ピアノ曲なら、たとえば月の光、子犬のワルツ、熱情ソナタ…とかそんな感じだけど、私がよく参加するようなピアノサークル業界(?)で高頻度の曲というのは多少傾向が違う。

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もちろん、世間一般でいう超有名曲は含まれるんですけどね。昨日もショパンのスケルツォ二番とか聞いたし。

昨日聞いた中で、
ブラームス 6つの小品より間奏曲Op.118-2
プーランク エディットピアフを讃えて
シューマン=リスト 献呈

は、かなりの高頻度ですね。じっくり聞いていると、人気の理由もなんとなくわかります。とにかく曲自体よくできていて魅力的で…かつ、大事なことですが手ごろな時間内に終わる曲で、なんとか挑戦してみようかという範囲の難易度(*)。

(*) 音楽的にどうこうではなくて、とにかく音を並べる難易度のことです。

何度も聞いているのに、それで飽きてしまうのではなくて、また別の人の演奏を聞くとなんか別の観点からの「素敵」が見つかるというか。

やっぱり、そういう力のある曲って自分でも弾いてみたいと思うんです。もうみんな弾いてるからいいや、ではなくて、自分もまた聞く人に「あぁこういう『素敵』もあった」と思ってもらえるかな、もらえたらいいなと思うから。

逆に、あまり練習会とかで聞いたことないという曲をやるのもおもしろい。

ひとつには、知られてはいるけどあまり弾かれない曲…昨日のでいうと、夜のガスパール(ラヴェル)とかアンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ(ショパン)とか。

この群れもなかなか魅力的ではあるのですが、たいてい、知られているのにあまり弾かれないには何かわけがあるとしたもんで、時間が長いとか、譜読みが超めんどいとか、なんだかただ弾いてもサマにならないとか、だから心してかからないと危険な気がします。

実際、夜のガスパールとか一生弾けませんが、でも昭和のピアノ教室でよく聞いたモーツァルトのピアノソナタなんかもこのジャンルといえますし、よく探すと温故知新的なおもしろい演奏ができるかも。

そして、ほとんどの人がほんとに聞いたことないレア曲、昨日のでいうと
スクリャービンの前奏曲で無調のやつとか、
シマノフスキの「4つのポーランド舞曲」とか、
アルカンのエスキスとか。

このジャンルの演奏をする場合は、「ねぇ、こんな曲あるんだよ? 素敵でしょ??」という、「○○勝手に普及委員会」の気分で弾くし、聞くほうも「へぇ!!」「ほぉ」というふうになりやすい。もっとも、聞いても「何?? 今の」となる場合もあり、それはあんまりブットビすぎてるとみんなついて来れないからね。

昨日のエスキス(くさぴあさん演奏)はわりと「へぇーいい曲」って思ってもらってたんじゃないかな。曲の終わり方はちょっと不思議な感じで「え? そうなの??」とか思ったかもしれないけど(^^;;

今後の選曲も、この三ジャンル
・みんなよく弾く名曲
・知ってるけどあまり聞かない温故知新曲
・あんまり知られてない曲
をバランスよく混ぜていくのがおもしろいかなと思ってます。

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ファツィオリでショパン舟歌を弾くと

2018年10月24日 | ピアノ
今日はファツィオリでショパン舟歌を弾いてきました!!

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初めてこのピアノを弾いてみたときは、高級感ある深い鳴りにビビって、まともに弾けなかったんだけど、そのころに比べるとずいぶんいろんなピアノも(高いのも含めて)弾いてみてるし、ちゃんと楽しんで弾けるようになりました。

っていうか、このピアノ好きだなぁ…弾きやすいし、鳴り方も幸せ♪
「幸せは音の消え際に宿る」派としましては、
ピアノがいいだけじゃなくて、そのピアノがどういう響きのホールに置かれているかというのもひとつ重要なポイントですんで、先日のベーゼンドルファーはほら、ピアノは申し分なかったんですけど、今日のファツィオリのほうがホールが素晴らしい分、総合的な幸せ度は上かもしれませんね。どのみちたいへん贅沢です。

こういう贅沢なことをするにはやはり平日です(人気のホールは土日余計取りにくい)。

はやく定年したい。。

ということはともかく(^^;;

弾き終えて、くさぴあさんに会うと、「なかなかよかったじゃない」。
私が「このピアノ好き♪」というと「うん、楽しそうに弾いてるように聞こえた」

それで、今日の録音: ショパン「舟歌」@ファツィオリ

くさぴあさんのいうところでは、
今日の船も手漕ぎボートには違いないんだけど、「さびれた公園にあるペンキの剥げた」のではなくて、
木に彫刻とかの装飾が入ってちょっと品格が上がって貴族の方たちが乗って遊んでいるような舟で、
なかなか気持ちよく漕いでいくんだけど
ときどき水草にオールをとられてひっかかると、
まぁひっかかってもすっとふりほどいて先に行けばいいやというところもあるし、
こんなところでひっかかったらダメでしょうというのもある

…とのことでした。ファツィオリで弾いたら、舟もちょっと高級感(?)が出て乗り心地がupしたらしいんですよ。

それで、そのダメな引っかかり方のところが、必ずしも難しくてどうしても弾けないところというわけでもないようなので、さらに練習していって改善していけばもっといい感じにもなるんじゃないか。とも言ってくれました。

今年は長々と舟歌やってきて、今回で一区切りつけるつもりではあったのですが、これで終わりにしようとは思っていません。今日のプログラムのコメントにも書いたんですけど

--------
弾きたい曲はあまたあれど「これを弾かないうちは死ねない」曲を一つだけ挙げればショパン舟歌。そしたら、「これからの人生、今が一番若いんだから」今、手をつけるしかないでしょう。ということで今年は舟歌元年。
--------

ときどきまた引っ張り出しては部分的に磨いてみて様子を見る、とか気長にやっていきたいと思います。

今日は、ピアノがよかっただけあって、ほかの人の演奏も素敵なのが多かったです。特に、ショパンピアノソナタ第三番第四楽章を弾いた方の、私の舟歌と同様、今年ずっと引きずりながらすこーしずつすこーしずつ進歩してきたのがここへ来てとても良い演奏になったので、共に成長してきた的な(^^;; しみじみしてしまいました。

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ピアノも、もっとアンサンブル! 2018

2018年10月23日 | ピアノ
サロンエスプリで行われる、
「アンサンブル、プロを混ぜときゃ、なんとかなる」精神の具現化、
ピアノも、もっとアンサンブル! 2018
の日程が近づいてまいりました。

    にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←毎年まいとし泥縄技に磨きがかかります

「だいたい」プログラムが固まってきたので掲載します。
聞きにいらっしゃる方は前日までにお知らせください。入場無料ですが「がやがやタイム」(飲食しながら演奏聞く)までいらっしゃる場合は一品持ちより推奨です(^^)

2018年11月11日(日) 13:00 ~ @サロンエスプリ

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オープニング: よってたかってエックレス
一楽章 アンダンテ(バイオリン)+きーちゃん(ピアノ)
二楽章 きーちゃん(バイオリン)+くさぴあ(ピアノ)
三楽章 スケルツオ(バイオリン)+ばっかいず世話係(ピアノ)
四楽章 ania(コントラバス)+スケルツオ(ピアノ)

●第一部
ania+スケルツオ
ボッテシーニ 夢

きーちゃん
モンティ チャルダッシュ with中川V先生

U+友人
シューベルト アルペジョーネソナタ第1楽章

Syuka
サンサーンス 序奏とロンドカプリチオーソ with中川V先生

スケルツオ
サンサーンス 動物の謝肉祭より
「象」「水族館」「耳の長い登場人物」「ピアニスト」「化石」with中川P先生

shuku
ブラームス バイオリンソナタ第1番第1楽章 with中川V先生

●第二部
アンダンテ
Scarlatti "Sento nel core(私は心に感じる)" with 海実さん

きーちゃん
シューベルト 音楽に寄す with海実さん

くさぴあ
シューマン
Frauenliebe und leben Op.42より第2曲 Er, der Herrlichste von allen with海実さん

スケルツオ
シューマン 詩人の恋より
「美しい月、5月に」「若者が娘を愛す」with海実さん

ピアノ即興詩人かわせひろし

●第三部
アンダンテ
エックレス ソナタ(全楽章) with 中川Vn先生

tomtom&kanakana
グルック メロディ
ドヴォルザーク 我が母の教え給いし歌
チャイコフスキー メロディ

エヌメット
シューベルト 「しぼめる花変奏曲」with中川Vn先生

shuku
ラフマニノフ 組曲第2番より「ロマンス」 with中川P先生

スケルツオ
フォーレ バイオリンソナタ第1番Op13第4楽章 with中川V先生


【以下、がやがやタイム】(15:30 ~くらい)
ania+スケルツオ
モーツァルト ソナタK.304 第2楽章

ばっかいず世話係+きーちゃん
グリーグ ホルベアの時代より「プレリュード」

Syuka+だれか
ドビュッシー「小組曲」より小舟にて

Duo 昭和の乙女 (エヌメット+くさぴあ) クロンケ/ 小組曲より

Duo はとさぶれ~ず☆ (mari+くさぴあ) クレメンティ(C.V.Hulse 2台編曲) / ソナチネ Op36-3 第一楽章

ほか
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今年は、オープニングが「よってたかってエックレス」企画という、ずいぶんなエックレス推しになってるので、そもそもエックレスって誰なのよということを調べておこうと思ったんだけど、ぐぐってもほとんど情報なくて、自分のブログがヒットしちゃうくらいという始末(^^;;

過去記事: くどい和音に萌えるんです(エックレスのソナタ)

この記事のコメント欄にあるshigさん情報がいちばん詳しいくらいのもんです。

それでわかったことには、とにかくそんな時代なのでね、ピアノ前提で五線譜の伴奏が書かれていたわけじゃないので、私が持ってる楽譜は「テキトー」な編曲なんですよね。だから別に「くどい和音」が絶対だったわけではないんだけど、もうそれで聞きなれちゃったので、どうにもそこから離れられません。刷り込みって、あるでしょ。


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「うつ病九段」のすごいところ

2018年10月22日 | 生活
「うつ病」自体は珍しくもなんともない病気で、身近にいる(いた)という人も多いだろう。

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会社でもいます。そういう休職の人。私は根つめて仕事したことないからたぶん大丈夫だと思うんだけど…

「うつ病」のイメージとは程遠い人でも、やっぱりあんまりな環境にあるとうつ病(それもひどいやつ)になるんだ!! ということで衝撃的だった本が「うつ病九段 プロ棋士が将棋をなくした一年間(先崎学)」

直接知ってるわけじゃないから勝手なイメージだけど、人生の楽しみ方をいろいろ知ってて、結婚もしてて、仕事も順調で、つきあいも広そうで、本を書けばおもしろく、しゃべってもおもしろい、先崎学九段がこんなにひどいうつ病になるなんて。

それにしても、うつ病になる人って、オーバーワークから生活が回らなくなって、「だんだん」気持ちも落ちていくようなことが多いのかと思っていたけど、この本によれば、先崎さんのうつ病は「この日から」とハッキリいえるくらいの突然。

47回目の誕生日に、ひと仕事終えていつものボクシングジムへ行き、帰りに家族で食事をして幸せなひととき、ビール2、3杯飲んで、要するにとても元気に楽しく、生活に余裕のある一日を過ごして…そしてその翌日。

起きている時は常に頭が重く気分が暗い

という状態に落ち込んだ。ふつうなら一日の中で、楽しい時間と嫌な時間が両方あるとか、休めば疲れが取れるとか、いろいろな変化があるだろうけどそれがない。常にどんより。そして寝入りが悪い、朝の四時には目が覚めてしまうという睡眠リズムの乱れからさらにどんどん悪化していく。

そして不安…不安がない人というのもいなくて、いろいろそれぞれに抱えているだろうけど、具体的な対象のない、得体の知れない不安。そして決断力が鈍り、集中もできなくなり、将棋で勝てないのはもちろん、「昼食を食べに行く」というような簡単なこともできない。脳内には死のイメージが駆け巡り、衝動的に飛び込みたくなるのが自分でもわかるから怖くて電車にも乗れない。

しかしここで幸運だったのは、先崎のお兄さんが有能な精神科医だったこと。早速、入院準備から本人の説得から、なんとか自殺しないうちに病院につっこんだのはGJとしかいいようがない。

治療の初動で最も重要なのは自殺防止だが、そのほかにも、本人の病識というのもいまいちだから、すっぱり仕事の整理をさせるのも一苦労なんだなということは読んでいてよくわかった。先崎も、こんな状態なのに最初は1、2ヶ月で復帰できるつもりで予定を組もうとするんだから…

典型的な、そして相当重症のうつ病になり、一年くらいかけて徐々に回復した、という話であればおそらく全国にいくらでも溢れているのだろうけど、この本のすごいところは2つある。

・先崎の文章力がものすごく優れていること
・脳みその働きの状況が的確にわかるように書かれていること

文章力が優れていることは、これまで何冊ものエッセイ本を(楽しく)読んで知っていたけれど、ほとんどゾンビ状態だった時期(もちろんメモなど取ってない)も含めて思い出しながらこんなに生き生きと…いや状態はちっとも生き生きしてないんだけどゾンビ状態であったことを生々しく書けるというのはすごい。

入院直後はほんとうに最悪な状況だったらしいけど、10日ほど経ってようやく、シャワーを浴び、「そのかすかな心地よい感覚にすごく懐かしいものを感じた」。続いて、昼食では「ちょっとだけ美味しいと感じた」。それまではまったく味がしなくて流し込んでいたから。そののち横になっていると、なんの脈絡もなく頭の奥から「エロ動画が観たい」というサインが送られてきたそうなので、ほんとにこれが人間(?)に戻った瞬間だったのだろう。

入院して10日でいちおう人間に戻るんなら、回復も早そうに思うけれどこれがちゃんと一年かかってしまう長い道のりになるのだ。なにしろ、ようやく活字が読めるようになったとはいえ、見出し程度の長さのものなら「読める」けど中身はわからない、四コマ漫画ですらストーリー(というほどのものじゃないが)がわからないし何がおもしろいかもわからないという状態なんだから…ここからプロとして将棋を指せるまではそれはずいぶんな距離があっても不思議はない。

そこで「脳みその働きの状況が的確にわかるように書かれていること」なんだけど、ふつうの人の闘病記だったら、いろんな面の回復がただ主観的な記録にしかならないところ、この「うつ病九段」の中では「実に類型的な七手詰がまったく詰まない」という状態から始まって、どのくらい将棋が指せるようになったかが具体的に書かれていて、ほんとうに薄皮を一枚いちまい剥いでいくようにじわじわと回復してくる様子がほとんど定量的といってもいいくらいにわかる。

回復の終盤戦、奨励会員相手に30秒将棋を指し、二十数手詰をちゃんと読みきって勝ったところとか、読んでいるほうもヤッター!! ここまでキター!! などと思ってしまう。

復帰を強く願うあまり、将棋の面では真面目に闘病というよりずいぶん無理して指しているようにみえるけれど、全体としてみて病状が後戻りすることなく、順調にプロ(お兄さん)の見立てどおり一年で回復したのは、いちおう将棋以外の面では「うつ病を治す心得(睡眠と散歩)」を守ったからだろうか。


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