アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

ワクチンとトロッコ問題

2021年10月09日 | 生活
「トロッコ問題」ってご存知でしょうか。

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このまま何もアクションを取らないと5人が死ぬ、というシチュエーションがあったとして、
自分があるアクションを取ることで、1人が死ぬ、というシチュエーションに変更することができる。と仮定します。

あなたは、このアクションを取りますか? 取りませんか?

元々死ぬはずだった5人の中から4人が助かるということであれば、迷う人はあんまりいないと思います。4人、助けられるならアクションを取りたいですよね。

では、あなたがアクション(レバーを引いてトロッコの進路を変える)を取ったときに死ぬ1人が、元々の5人とは違う人だったらどうでしょうか。
5人を助けたことについては感謝されるかもしれませんが、あなたがアクションを取ったことによって、元々死ぬはずじゃなかった1人が死ぬ。これって殺人なの!?

リスクのあるワクチンを接種することは、このシチュエーションに似ています。(さしあたり、新型コロナの話ではなく、思考実験として)
ある国において、国民へのワクチン接種を行わないと、ある感染症で1万人が亡くなるとします。
一方、国民全員にワクチンを接種すると、感染症での死亡は1000人に抑えられますが、ワクチンによって1000人が亡くなってしまうとします。

1万人が亡くなるより、合計2000人が亡くなるほうがましなような気はします。
接種を行わない場合に亡くなるはずだった1万人の中で、8000人が助かり、1000人はやはり感染症で、1000人がワクチンによって亡くなるとしたら、5人のうち4人が助かるのと似た嬉しさといってよさそうです。

でも、ワクチンで亡くなる1000人が、元々、感染症で亡くなる1万人とは違う人だったらどうなんでしょうか? …これは、トロッコ問題に似ています。

私が「副反応疑い集計がカオス」で引用した厚労省の第4回 医薬品等行政評価・監視委員会 議事録の、直前のところはこんなふうになっていました。
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○佐藤委員 一応100万人接種当たり16.2件ということが仮にワクチン接種による死亡だと仮定した場合に、そのような死亡のリスクというのはベネフィットに照らして許容し得るのかということについてお答えいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○山口予防接種室ワクチン対策専門官 佐藤先生、ありがとうございます。
先生御指摘のとおり、潜在的にさらなる死亡例があるといったような可能性がある一方で、副反応疑い報告制度自体が、まず医療機関の方等が副反応を少しでも疑った場合に広く御報告いただいているといったようなシステムでございます。このため、報告医の先生も実際には因果関係が疑われないといったような場合も含め報告が上がってきているといった状況でございます。
こうした背景を踏まえまして、先生からいただいた御質問の内容に関しましては、現在、接種後の死亡と報告されている事例の多くがワクチンの接種との因果関係があることを前提ということで御質問いただいているかなというように認識したしておりますけれども、現時点においては報告されている死亡事例についてはワクチンとの因果関係から否定できないと専門家に評価されたものはなく、御質問の前提として若干ずれているところもあるのかもしれないというように認識しています。
また、一方で、先生御指摘のとおり、潜在的にそういった死亡事例というのが広がっている可能性等も当然審議会の委員も認識しておりまして、そういった総合的な状況を踏まえまして、副反応合同部会におきまして死亡例の報告状況を含め最新の状況に基づいて御審議をいただいております。直近の合同部会におきましても、現時点においてワクチンの接種体制に直ちに影響を与えるほどの重大な懸念は認められず、引き続き情報収集するとともに、新型コロナワクチンの接種を継続していくことということでお諮りしお認めいただいたというように承知しております。
○佐藤委員 すみません、それでは、回答になっていません。端的にお答えください。100万人接種当たり16.2件の死亡が仮に真実だったときにこのリスクは許容できるのか、できないのかをお答えください
○林予防接種室長 御質問ありがとうございます。予防接種室長の林でございます。
恐縮ではございますけれども、その仮定というのが、もしそうであった場合にというところの確からしさということをしっかりと考えた上でお答えしないといけないとは思っております。ずっとこの副反応部会が始まるとき、この新型コロナワクチンについて議論が始まるときから議論していることなのですけれども、たくさんの方に接種をさせていただきますと偶発的にその日、その翌日、その翌々日、亡くなる方の数というのは相当無視できない数になるということが接種の始まる前から議論されてまいりました。そういったことから考えて、これまで議論してきている中では、それら全てが新型コロナワクチンの接種による死亡であるというような仮定を置いて議論するということはなかなか難しい状況ではないかというように思います。
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そしてここから、前の記事で引用した「そういうことをおっしゃるのなら、なおさら日本薬剤学会が提言した個別の因果関係を問わない接種者と非接種者を比べたときの死亡リスクを比較する体制をきちんと取るべきなのですよね。」というところにつながっています。

佐藤委員の「端的にお答えください」はほぼトロッコ問題で、こんなのに答えようがありませんから、いやそんなに死んでるって言いきれるわけじゃないし…と林室長がいってて、「じゃあわかるようにすべきじゃないんですか」という話でした。

冒頭に書いたのは、単純化した思考実験としてのワクチン問題ですが、現実はもっとずっとずっと複雑です。誰が死ぬかとか何人死ぬかとか予めわかってるわけじゃないので、わからないから困るというかわからないからまだしも救いがあるような、そんな感じです。

でも、ひとつ重要な違いは、思考実験と違って現実の「国民」は均一でないということです。人にはいろんな特徴がありますが、わかりやすく年齢だけとってみても、感染症で死亡する確率がまったく違うわけです。10代までの人(日本在住)が、新型コロナに感染して死ぬのは、億万長者になるよりずっと難しいですから、そもそもトロッコ問題「かもしれない」ものに乗っかる意味がありません。

そういえば昔、インフルエンザワクチンの集団接種がありましたね。学校で、ぞろぞろ並んで注射受けるんです。受けるとか受けないとかいう選択肢があるとは考えられていない時代でした。あれはもともと、別に子どもがインフルエンザにかかってもたいていは大したことないのですが、集団でいるところの子どもたちに手っ取り早くがっつりワクチンしておけば、社会の中の流行を止められるんじゃないかという発想によって行われたのでしたね。

それが、まぁあの場合、インフルエンザワクチンはかなり安全性が確立されたものなので、打った子どもがどうかなったという話はほとんどありませんでしたが、膨大なコストがかかるものですし(痛いし)、そのあげく流行はそれで止まったりしませんでしたので、諦めて個人防衛(不安な人自身が、重症化リスクを下げるために打つ)に方向転換がされたのでした。

新型コロナワクチンの話に戻すと、元々社会防衛というか集団免疫が可能かも? という考えがあって、子どもも含めて接種率を上げていくという話になっていたわけですが(感染症リスクが少ない子どもも、利他的にワクチンを打つことで、家族や、社会を守れるという考え方)、ワクチン先進国であった諸外国の例から、単に接種率を上げても集団免疫は無理っぽいということがだんだんわかってきて、子どもが何のために打つのかはあいまいになってきました。ここで、「まだ」の子どもたちだけでも除外しなくてはいけないかどうかを判断するには、透明性の高い把握が必要です。

報告バイアスとその解消について、私とほぼ同趣旨で書かれた記事を見つけたので、私の「はしょった」説明の補足のため、リンクを貼っておきます。
コロナワクチン接種者は脳卒中と心筋梗塞による死亡激減は本当か?
コロナワクチン接種後の死亡、因果関係を調べる最も簡単な方法

透明性の高い把握については、個人でできることには限りがあります。ただし、個人としては「判断」できるほどの材料がない場合、低リスクの人は「様子見」をすることができます。特に、新型コロナについて低リスクの人、具体的にいうと、若くて持病のない人は。


「どのくらいの率で報告されているのか」を推測することはたいへん難しいので(というか、誰も知らない)、とりあえず報告されているものを検索できるサイトのリンクを貼ります。
副反応データベース
これは、個人が運営しているサイトですが、内容は単に厚労省資料で、それを検索できるようにしたものです。関心のある年齢層のものなどを一覧できます。確認したいときは「元」にあたれるボタンがついた親切設計です。(現在、9月初めくらいまでの症例が載っている)

たとえば、「ファイザー」「19歳まで」「重い」で検索すると現在15件あり、
5件が「未回復」、1件が「死亡」です。


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コメント (2)
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