礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

敗戦直前に発刊された生活社の「日本叢書」

2013-05-01 06:54:49 | 日記

◎敗戦直前に発刊された生活社の「日本叢書」

 一九四五年(昭和二〇)の四月、すなわち敗戦の四カ月前に、その第一冊が刊行された生活社の「日本叢書」というシリーズがある。何冊目まで出たのかは明らかでないが、国立国会図書館のデータを見ると、九六冊目まで出ていることは間違いないようだ。
 今、机上に、その第二冊、古畑種基著『血液型』(一九四五年四月二〇日発行、五〇銭)がある。表紙も含めて三二ページという貧弱な冊子である。すでに紙は、茶色に変色している。
 表紙の見返しが第二ページ。ここから、二段組みの本文が始まり、三一ページまで。三二ページ、つまり裏表紙には、叢書刊行の趣旨と奥付とがある。その叢書刊行の趣旨の全文を引用してみよう(この文章には、「叢書刊行の趣旨」などのタイトルはついていない)。

 われわれを生み育ててくれた日本 この日本のよいところをもつとよく知り よくないところはおたがいに反省し すぐれたものの数々をしつかりと身につけ どんなときにも ゆるがず ひるまず 大きく強く伸びて行く もととなり力となる そんな本をつくりたい

 あきらかにこれは、「敗戦」を意識して書いている。書肆は、敗戦となったそのときでも、「ゆるがず ひるまず 大きく強く伸びて行く もととなり力となる」ような本を目指したのであろう。そして事実、このシリーズは、敗戦という現実に直面した日本人に対し、そうした力を与えることになったのである。【この話、続く】

今日のクイズ 2013・5・1

◎「日本叢書」の第一冊は、中谷宇吉郎の『霜柱と凍上』(1945年4月)ですが、国会図書館の検索システムでこの書名を検索しますと、「見つかりませんでした」と返ってきます。この理由は、次のうちどれでしょう。

1 蔵書がない。
2 蔵書はあるが、劣化が激しく、公開されていない。
3 蔵書はあるが、間違ったタイトルで登録されている。
4 その他。

【昨日のクイズの正解】 2 迫水久常 ■〈サコミズ・ヒサツネ〉と読みます。二・二六事件の際は、総理大臣秘書官として、岡田啓介首相の救出に奔走しました。

今日の名言 2013・5・1

◎どんなときにも ゆるがず ひるまず 大きく強く伸びて行く

 生活社の「日本叢書」の叢書刊行の趣旨より。古畑種基著『血液型』(1945年4月)32ページより。

* どういうわけか、4月29日のアクセスは、歴代1位でした。アクセス数は、前日の実に5倍。理由はわかりません。ちなみに、その日のコラムは、「かつてない悪条件の戦争をなぜ始めたか(鈴木貫太郎)」でした。

付記・『霜柱と凍上』の国会図書館のデータですが、すでに正しい書名に訂正されています(2016・9・3確認)。

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