礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

見たことがなく読めるわけがない漢字

2012-06-26 05:34:20 | 日記

◎見たことがなく読めるわけがない漢字

 数回前に、「誰にも読めない漢字熟語」について書いた。今回はその続編。ネタ本は、その時と同じく、岩垂憲徳『漢字声音談』(清水書院、一九四三)に、付録として付いている「熟字音正誤」。
 おそらく、ワードやテキストでは出せない漢字だと思うので、その字形は「説明」によって示す。一応、『角川中漢字辞典』に載っていないもの、あるいは、載っていたとしても、読み方が異なっているものを紹介してみた。なお、字形を説明するのが難しいものは、割愛せざるをえなかった。

ヘンが由、ツクリが頁         〈テキ〉
行という字のツクリのみ       〈チョク〉
穴カンムリに條             〈チョウ〉
呉という字の口の部分が日     〈ショク〉
クニガマエに子             〈ケン〉
ウカンムリに必             〈フク〉  『角川漢和中辞典』の読みは〈ヒツ〉
クサカンムリに爪が二つ横並び    〈ラ〉
生の下に母               〈イク〉
言ベンに卒                〈ショク〉 『角川』の読みは〈スイ〉
穴カンムリに爪             〈ア〉
牛ヘンに字               〈ジ〉
穴カンムリに巾             〈シン〉
マダレの中に何もなし         〈ケン〉  『角川』の読みは〈ゲン〉
叔の下に衣               〈ドク〉   『角川』の読みは〈トク・ソク〉
クサカンムリに取            〈サン〉  『角川』の読みは〈シュウ〉
石ヘンに津のツクリの部分      〈ロツ〉
骨ヘンに九                〈イ〉
口が四つ(上に二つ、下に二つ)     〈セン〉

 まだまだたくさんあるが、本日はここまで。
 ちなみに、『漢字声音談』という本は、戦時中に出た本であるが、まったく戦時色が感じられない不思議な本である。すでに、「敗色」が濃くなっていた当時、どういう読者が、どういう気持ちでこの本を手にしていたのだろうか。

今日の名言 2012・6・26

◎日本の国語問題は、早晩何とかせられねばならぬ問題である

 音声学者の大西雅雄の言葉。その著書『日本基本漢字』(三省堂、1941)の「小序」の冒頭にある。この言葉に続けて、「その内でも、漢字整理の事は焦眉の急務である」と訴えている。大西は、綿密な調査を踏まえた上で、日本では漢字は3000字あれば足りると主張する。大西によれば、日本で使われる漢字のうち、91%は、3000字に収まるという。 

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