静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

1500年の伝統「京都・西陣織」・・まもなく消滅するか  職人技の伝承を真に阻む要因とは?

2024-03-15 15:38:28 | トーク・ネットTalk Net
▼【東洋経済オンライン】世界も憧れる「日本の伝統工芸」の"最大の危機": 加藤 航
 * 京都の織屋は平安時代より1500年の歴史があり、これは世界の絹織物の代表産地であるイタリアのミラノの800年、フランスのリヨンの600年と比べても圧倒的な伝統を誇る。
 「1ミリの1000分の1」の絹の繊維をまとめて糸とし、美しい模様を作るためその糸を何百種類に染め上げ、経糸と横糸の組み合わせを変更しながら、織り機を数万回動かすことで、世界最高峰の絹織物が完成する。
  ご存じの方も多いかと思うが、この経糸と横糸の組み合わせの数万回の変更を「紙に穴をあけて管理・運用」したのがコンピューターの起源だ。自動織機が普及した現代においても、工程や模様が極めて複雑な
  西陣織帯の製作では、職人が織機につきっきりで作業が進む。完全な手織り機で作業を進める工程も多い。   *西陣織・織元、誉田屋源兵衛(こんだやげんべえ)の十代目山口源兵衛氏

* 源兵衛氏*によれば、着物や西陣織の産業としての実態は極めて厳しい。過去30年、日本の着物市場全体は5分の1へ、高級な「帯」が主力である西陣織の市場は10分の1にまで落ち込んでいる。
  これほどまでの技術と伝統を持ち、世界的に高い評価を得ているにもかかわらず、京都・西陣織は産業として、その存続までもが危機的な状況にあるのが現状だ。
【職人の後継者育成における「4つの課題」】  
【課題1】「技術の継承に残された時間」が少ない  「織元の職人の平均年齢は70代」と言われるまで高齢化が進んでいる。   
【課題2】徹底された分業制のため「多数の後継人」が必要  職人は細分化された一つの工程を極める専門工であり、それぞれの作業場も隔離されている。   
【課題3】「教えられた経験」がないので、教えることが難しい  「高齢の職人は誰かに教えられた経験がないので、誰かに教えることが難しい」という問題もある。
【課題4】世代間で「共通言語」が異なる
     職人たちは「湿度は土に水を垂らしたときの水の広がりで計っている」「メートル法ではなく尺寸で仕事をしている」など、伝える側と伝えられる側の世代間でのギャップもかなり大きい。
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 製造工程の合理化・機械化視点からみると、上記の4課題のうち【2~4】は工程の言語化と作業手順体系作りしかない。そこに限りなくシステム思考を盛り込むのは無論、
各職人の手わざを映像化してAIに学習させ、可能な限りロボット化させる努力が思い浮かぶ。これなくして【課題1】は克服できまい。  さて源兵衛氏は如何に?

 だが、考えてみれば、これらの属人的経験値伝承を進める上で、真の障害は電子化の限界の前に、寧ろ日本では強い「伝統尊重」の情緒的抵抗かもしれない。
コメント
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