静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

ウクライナにルーツ持つ女性が「ミス日本グランプリ」選出  それに異を唱える純血論者の虚妄  「人種・民族」と「国籍」の共存へ意識を変えよう

2024-01-26 08:52:27 | 時評
* 1月22日に都内で行われた「第56回ミス日本コンテスト 2024」で、ウクライナから日本に国籍変更したモデル・椎野カロリーナさんがグランプリに輝いた。
  案の定SNSには「日本国籍とはいえ納得出来ない…日本らしい美しさとは?」「由緒正しいやまとなでしこの遺伝子を受け継ぐ候補者を尊重しないのか」のコメントを寄せる【否定派】の言葉が。
   一方「日本らしい美しさって、人種で決まるものでもないでしょう」「スポーツでも海外出身の日本人が活躍している。ミス日本も新たな一歩」の【賛成派】も。
★ 「ミス日本」の選考基準「3つの美」とは?
  ・「内面」の美:成長する意欲がある ・「外見」の美:美しさを磨く意欲がある  ・「行動」の美:社会貢献に貢献する意志がある

◎ 「ミス日本」コンテスト大会委員長の和田あいさんは「『日本を良くしたい』というすべての人が選考対象です」としています。
◆ 椎野さんの応募理由は「日本人として扱われずギャップに苦しんだ。それでも日本が大好きで、自分と同じような存在に光をあてるために応募した」ということです。
  和田さんによりますと「選考する中で、彼女は私たちよりも日本人だと感じました」としています。ただ、ミス日本協会は「詳しい説明が足りなかったことで、多くのみなさんを驚かせてしまいました。
  大変申し訳ありませんでした」とコメントしています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 様々なメディアで本件は取り上げられているが、昨日のTBSTV「Nスタ」に出演した歴史・時代小説家 今村翔吾氏の次の意見と私は全く同感だ。
 ≪大会委員長の和田さんがおっしゃるのは重々わかるんですけど、弁明する必要もないと僕は思います、はっきり言って。弁明するようなことでもないような気がしますし、
  例えば琉球の方であったり、アイヌの方であったりというのは、よく皆さんもご存知かもしれないけど、平安時代ぐらいまで遡れば、もっといろんな民族に分かれていた
  訳ですから、僕は批判する方のおっしゃる意味がわからないですね。≫

 今村氏の指摘は『ヤマト民族単一民族・純血論』の虚妄を指すもので、私も過去何度か触れている。僅か150年余り前の明治維新直前まで、日本列島にはアイヌ民族
(北海道)と琉球民族(沖縄県)が共存しており、現在の領土は本州島・四国島・九州島を支配していたヤマトがこれら二つの異民族を征服して拡大したものである。
  単一民族の主張が如何にウソでデマゴーグに過ぎない事か? これを学校教育でどのように正しく客観的に教えているのか??? どうやら教えていそうにない。

 本件には此の単純な純血論の虚妄に終わらない、もう一つ大事な論点がある。それは「国籍」と「人種・民族・言語・文化」の間の関係である。
「国籍」とは文字通り、どの「クニ」に所属しているかを示す札であり、本人が望めば申請し、認められたら其の「クニ」の一員と認められる。そこに元の民族は無縁だ。
<生まれて自動的に取得した日本国籍の方が、申請して取得する外国人の日本国籍より尊い・価値が違う>というものではない。世界中どこにもそのような定めは無い。
ひとたび国籍を得たら、他の元から居た人達と同じ権利義務を得る。これは世界共通の普遍的約束事である。ここに抽象的な「~らしさ」「由緒正しい~」は無関係だ。
 この点も、日本の学校ではどのように教えてきたのか? 恐らく何も触れずにきた?  とすれば、とんでもない無作為の罪であり、差別の源泉がここにある。


*私事で恐縮だが、少年期からアメリカに住む二人の息子に或る時、聞いてみた。『米国籍を取る気はあるの?』答えは二人とも『No』だった。とっくに有資格者だが・・。
 取らない理由は『自分はアメリカ人になりたいとは思わない。ここで死のうとは思えない』だった。二重国籍を認める米国籍をもてば何かと現世的には有利なのに、である。

 かたや、ミス日本に選ばれた椎野カロリーナさんは、ウクライナ国籍を捨ててまで「自分は日本人になりたい」から国籍の取得に踏み切った。
国籍とは自由な個人の意思で選ぶ対象ではなく<日本列島に生まれた自分に別の選択は無い>と理由なく思い込む人は、外国人の日本国籍を取得する決意が理解できない。
例えば大相撲の白鵬、プロテニスの大坂なおみ。日本人として生きてゆこうと決断した人だが、未だに差別感情は消えていない。何と罪深い仕打ちだろうか。


 此の無理解に加え、肌の色・瞳の色が違う、体格が違う人への生理的恐怖感がある。一方、同じ東洋で印度・白人系ではない場合は、近似していることへの警戒感が募る。
この恐怖感/警戒感が生理的な差別感情のエネルギーになり【ヤマト純血幻想】を拡大再生産しているのである。 実に愚かしい児戯ではないか!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナにルーツ持つ女性が「ミス日本グランプリ」選出  それに異を唱える純血論者の虚妄  「人種・民族」と「国籍」の共存へ意識を変えよう

2024-01-26 08:49:40 | 時評
* 1月22日に都内で行われた「第56回ミス日本コンテスト 2024」で、ウクライナから日本に国籍変更したモデル・椎野カロリーナさんがグランプリに輝いた。
  案の定SNSには「日本国籍とはいえ納得出来ない…日本らしい美しさとは?」「由緒正しいやまとなでしこの遺伝子を受け継ぐ候補者を尊重しないのか」のコメントを寄せる【否定派】の言葉が。
   一方「日本らしい美しさって、人種で決まるものでもないでしょう」「スポーツでも海外出身の日本人が活躍している。ミス日本も新たな一歩」の【賛成派】も。
★ 「ミス日本」の選考基準「3つの美」とは?
  ・「内面」の美:成長する意欲がある ・「外見」の美:美しさを磨く意欲がある  ・「行動」の美:社会貢献に貢献する意志がある

◎ 「ミス日本」コンテスト大会委員長の和田あいさんは「『日本を良くしたい』というすべての人が選考対象です」としています。
◆ 椎野さんの応募理由は「日本人として扱われずギャップに苦しんだ。それでも日本が大好きで、自分と同じような存在に光をあてるために応募した」ということです。
  和田さんによりますと「選考する中で、彼女は私たちよりも日本人だと感じました」としています。ただ、ミス日本協会は「詳しい説明が足りなかったことで、多くのみなさんを驚かせてしまいました。
  大変申し訳ありませんでした」とコメントしています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 様々なメディアで本件は取り上げられているが、昨日のTBSTV「Nスタ」に出演した歴史・時代小説家 今村翔吾氏の次の意見と私は全く同感だ。
 ≪大会委員長の和田さんがおっしゃるのは重々わかるんですけど、弁明する必要もないと僕は思います、はっきり言って。弁明するようなことでもないような気がしますし、
  例えば琉球の方であったり、アイヌの方であったりというのは、よく皆さんもご存知かもしれないけど、平安時代ぐらいまで遡れば、もっといろんな民族に分かれていた
  訳ですから、僕は批判する方のおっしゃる意味がわからないですね。≫

 今村氏の指摘は『ヤマト民族単一民族・純血論』の虚妄を指すもので、私も過去何度か触れている。僅か150年余り前の明治維新直前まで、日本列島にはアイヌ民族
(北海道)と琉球民族(沖縄県)が共存しており、現在の領土は本州島・四国島・九州島を支配していたヤマトがこれら二つの異民族を征服して拡大したものである。
  単一民族の主張が如何にウソでデマゴーグに過ぎない事か? これを学校教育でどのように正しく客観的に教えているのか??? どうやら教えていそうにない。

 本件には此の単純な純血論の虚妄に終わらない、もう一つ大事な論点がある。それは「国籍」と「人種・民族・言語・文化」の間の関係である。
「国籍」とは文字通り、どの「クニ」に所属しているかを示す札であり、本人が望めば申請し、認められたら其の「クニ」の一員と認められる。そこに元の民族は無縁だ。
<生まれて自動的に取得した日本国籍の方が、申請して取得する外国人の日本国籍より尊い・価値が違う>というものではない。世界中どこにもそのような定めは無い。
ひとたび国籍を得たら、他の元から居た人達と同じ権利義務を得る。これは世界共通の普遍的約束事である。ここに抽象的な「~らしさ」「由緒正しい~」は無関係だ。
 この点も、日本の学校ではどのように教えてきたのか? 恐らく何も触れずにきた?  とすれば、とんでもない無作為の罪であり、差別の源泉がここにある。


*私事で恐縮だが、少年期からアメリカに住む二人の息子に或る時、聞いてみた。『米国籍を取る気はあるの?』答えは二人とも『No』だった。とっくに有資格者だが・・。
 取らない理由は『自分はアメリカ人になりたいとは思わない。ここで死のうとは思えない』だった。二重国籍を認める米国籍をもてば何かと現世的には有利なのに、である。

 かたや、ミス日本に選ばれた椎野カロリーナさんは、ウクライナ国籍を捨ててまで「自分は日本人になりたい」から国籍の取得に踏み切った。
国籍とは自由な個人の意思で選ぶ対象ではなく<日本列島に生まれた自分に別の選択は無い>と理由なく思い込む人は、外国人の日本国籍を取得する決意が理解できない。
例えば大相撲の白鵬、プロテニスの大坂なおみ。日本人として生きてゆこうと決断した人だが、未だに差別感情は消えていない。何と罪深い仕打ちだろうか。


 此の無理解に加え、肌の色・瞳の色が違う、体格が違う人への生理的恐怖感がある。一方、同じ東洋で印度・白人系ではない場合は、近似していることへの警戒感が募る。
この恐怖感/警戒感が生理的な差別感情のエネルギーになり【ヤマト純血幻想】を拡大再生産しているのである。 実に愚かしい児戯ではないか!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする