<遊去の話>

「遊去の部屋」「遊来遊去の雑記帳」に掲載した記事と過去の出来事についての話です。「遊去のブログ」は現在進行形で記します。

ナマズ

2017-08-15 17:32:02 | 「遊来遊去の雑記帳」
「ナマズが4匹」                         2002.2.8
 1月の初め、いつもの散歩道でナマズを取る人に会いました。水槽付きのトラックに乗っていたから「業者」かも知れません。何をしているのか尋ねると水槽を指差しました。覗いてみると中には60㎝くらいのナマズがいました。こんな小さな川にも大きなのがいるんだなあと驚きました。投網で取っているとのことです。「7匹いたのに4匹逃げやがった。」と言いながら川を覗き込んでいましたが、私は、4匹は助かったかと思いました。
 翌日から散歩の時にはいつも川を覗き込むのが習慣になりました。大きなナマズを1匹と死んだナマズを1匹見つけました。たまに2匹見ることもありました。ところが今日4匹が一箇所にかたまっているところを確認しました。全員無事だったかとほっとしました。

「ナマズはどうして?」                        2002.3.17
 冬の間、ずっとナマズを観察していましたが、たいてい4,5匹が一箇所にかたまってじっとしています。じっとしているのは寒さのせいだと思いますが、一箇所にかたまるのはどうしてなのか気になっていました。まさか家族というわけでもないだろうし、集まれば寒さが凌げるというわけでもないでしょう。何しろ水の中にいるのですから。
 いつものように、土手の上からナマズの一団を眺めていたら、ふと、ある考えがひらめきました。ナマズはきっと深いところが好きなのだ。深ければ深いほど気持ちが落ち着くので、みんなだんだん深いところに集まってくる。それで自然に一番深いところに人気が集中し、そこにみんながかたまるというわけだ。
 今日は暖かい日になったのでナマズも動きはじめました。夏になっても寒いときと同じようにかたまっているかどうか楽しみです。

「ナマズ、再び。」                2002.11.24
 半年ぶりでナマズが戻ってきました。今年の一月にいつもの川で見て以来ずっと毎日会うのを楽しみにしていましたが、4月になって田に水が入ると川が濁りはじめ、それに水量も増えたのでナマズは全く見ることができなくなりました。冬の間は深みに集まってじっとしていましたが、これも水の冷たい間だけで水がぬるむと葦の根元などに移動するのだろうと思っていたので、それを確かめようと気候が暖かくなるのを楽しみに待っていました。そこへ思いがけず田の水が入ってきたのです。まあ、よくあることですが、こうなったら稲刈りの終わるまで待つしか手はありませんでした。
 9月になって稲刈りが済むと川の水量がぐんと減りました。水もきれいになりました。やはり例の深みには何もいません。これで良し。あとは戻って来るのを待つだけだ。
10月半ばになって大きなナマズが一匹戻ってきました。水中の大きな石の横で上流の方に頭を向けてじっとしています。いよいよ移動が始まったかと思いましたが翌日には影も形もありませんでした。それから4,5日してまた現れましたが、翌日にはまた消えて、2,3日してまた現れるということを繰り返していました。それでも11月の初めには2匹が身体を寄せ合っているのを見ることができました。そして今日はとうとう3匹になりました。これからだんだん集まってきそうな気配です。どのくらいの集団になるか楽しみです。
ところがその一方で私には気掛かりなことがありました。ナマズ捕りです。ナマズがたくさん集まるとそれを取ろうと投網を持った人が今年もまたやって来るかも知れないのです。ナマズが集まれば、まさに一網打尽です。取るのも勝手ならそれを邪魔するのも勝手なようですが、人間中心の世の中ではそういうこともできません。実際、ナマズを捕る捕らないの問題を、当のナマズを抜きにして人間が決めるということ自体おかしな話なのですが、それをおかしいとは思わないところに問題の根深さを感じます。何かいい方法はないものかと複雑な気持ちでながめていますが、当の本人たちは無愛想を決め込んで流れの底でじっとしています。

P.S これを書いてから4,5日が過ぎてしまいました。昨日は4匹、今朝は7匹に増えました。

★コメント
 あれから15年も経ったのか。日付を入れておいて良かったと思います。今は引っ越したのでそれ以来この川の土手を散歩することはなくなりました。約30年間暮らしていたのですが、初めの20年間はまだインターネットの時代ではなかったので「投稿」ということはしていません。それでその頃の出来事は日記にポツリポツリ書いてあるだけです。投稿の記事にせよ、日記にせよ、書いておいて良かったと思います。詳しい内容はその時点でないと思い出せないことばかりです。記録してなければ、思い出せることはわずかですから、人生を振り返ったとき「大して何もなかったな」ということにもなりかねません。これも文字の発明あってこそのことですが、漢字テストも大いに貢献しているかもしれません。
 ところで、ナマズを取っていた人はナマズをどうしていたのかなと思います。日本ではナマズの料理というのはあまり聞きません。魚屋でも見たことがないし、気になります。
2017.8.15

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« コロちゃん<ベッドメーキング> | トップ | リンの話 »

「遊来遊去の雑記帳」」カテゴリの最新記事