<遊去の話>

「遊去の部屋」「遊来遊去の雑記帳」に掲載した記事と過去の出来事についての話です。「遊去のブログ」は現在進行形で記します。

「甲羅干し」

2020-11-30 16:51:57 | 「遊来遊去の雑記帳」
甲羅干し       <2003.6.15>
 天気のいい日には川でカメが甲羅を干しているのをよく見かけます。四月、五月にも見られますが暑くなってくる方が多いように思います。昨日は曇っていましたが、水面から頭を出している石の上に大きなスッポンが上がっていました。甲羅の長さは30cm以上あるでしょう。この辺りにはこういう大物が少なくとも3匹はいます。七月になるとこれらが出揃って甲羅干しをするのです。ちょうどいい具合に水面から少し顔を出した石があちこちにあるし、茂みの周りの水際にできる小さな河原もいい休憩所になっています。ここには大小5,6匹が押し合うように集まっているのでそれぞれをよく観察することができます。常に首を伸ばして辺りに対する警戒を怠らないもの、その上に半分乗り上げた形のまま寝ているもの、体半分を水の中に浸けていつでも真っ先に逃げられるようにしているもの、反対に、ただひたすらだらっとしてだらしないだけのものもいます。カメにもいろんな個性があるようで、それらが入り混じっているのを見るのはいいものです。それが自然な姿なのでしょう。その平和な様子を見ながら、自分も帰って昼寝しようと思いました。
 帰りがけにラズベリー(木苺)を見つけました。よく熟しています。いくつか取って食べてみましたが、甘酸っぱい野生の味でした。これからしばらくは散歩もデザート付きになりそうです。コロにも一つ取ってあげましたが、ちょっと匂いを嗅いだだけですぐ向こうを向いてしまいました。コロにはどうでもよかったみたいです。

★コメント
 この光景は今でもしっかりと覚えています。これを見るためには体を屈めて慎重に川岸に近づかなくてはなりません。そしてよく茂った草の間からそっと見るのです。ところがコロはそんなことにはお構いなく平気で体を見せて土手の上を歩くにも拘らず、コロの場合にはカメたちも平気です。どうなっているのでしょうか。これはカメたちが私とコロの違いを認識しているからでしょうが、人の場合も、この辺りの川ではカメに悪さをすることはないと思います。それなのに何を恐れているのでしょうか。
 ここを散歩することがなくなって10年ほどが過ぎました。それはコロが死んでからの年月ということになります。15年間もこの辺りを散歩したのはまさしくコロがいたからです。つくづくコロの存在は大きいなあと思います。今、コロは完全に私の中にいます。無意識のうちに「コロ」と呟いてしまうことがあるので外に出かけたときには気をつけています。それに比べるとリン、クリ、ポンの影は薄いです。リンの話は書きましたが、クリの場合は途中で止まっています。ポンは行方不明になったので最後がどうなったのか気がかりです。
 平和な情景には、私の場合、生き物がいます。それも雑然としているのが好きです。整然とした形に向かうのが文明の傾向だとすると私はそちらに背を向けているのかもしれません。うちの畑も増々雑然としてきました。最近ではハクビシンまでやってきてあちこち掘り返しています。まだほんの一瞬しか見ていませんが、まさか自分の家の庭にハクビシンが来るとは思いませんでした。しっかりと眺められる機会のあることを楽しみにしています。
2020年11月30日
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