<遊去の話>

「遊去の部屋」「遊来遊去の雑記帳」に掲載した記事と過去の出来事についての話です。「遊去のブログ」は現在進行形で記します。

おかしな飛行

2021-02-27 13:51:21 | 「遊来遊去の雑記帳」
おかしな飛行       <2003.8.1>
 夏場になってからカミキリ虫が飛んでいるのをよく見かけるようになりました。一応、飛んでいるとはいうものの、本当に自分の行きたい方向へ向かって飛んでいるのかどうか疑いたくなるような飛び方です。硬い羽を左右に開き、その後ろで薄い羽をしきりに羽ばたかせるのですが、前に進んでいたかと思うと途中から横滑りするように斜め前方に逸れていったりします。それも体は正面を向いていますから意図したものではないでしょう。前に進もうとしているのだけれど、どうも左右のバランスがうまく取れないために横に曲がってしまうという感じです。
 本人は一生懸命やっているつもりでしょうが、見ている私からすれば、それは至極当然のように思えます。何と言っても、あの格好。腹が垂れているのです。確かに、カミキリ虫は細長い体型をしています。それで肩のところに付いている羽を動かすと胸部は浮上するのですが、後ろに延びた腹部は垂れ下がってしまい、ちょうど立ち泳ぎをしているような格好になるのです。カミキリ虫はもう少し腹筋を鍛えるべきだと思います。
 空を飛ぶことができるというのは生物界ではスーパースターです。カッコヨクなくてはなりません。少なくともスーパーマンのように体を水平に保つくらいのことはしてもらいたいと思います。それが、荷物を吊り下げ過ぎたヘリコプターのように、風に揺れる荷物に振り回されてふらついているようでは困るのです。
 そんなことを思いながらカミキリ虫が飛んでいるのを見ていると、カミキリ虫は空中を大きく旋回してセイタカアワダチソウの林の方に向かって行きましたが、そのまま、垂直に立ったアワダチソウの茎に激突。と思ったら見事に着地(着茎?)していました。もともと腹が垂れ下がった格好で飛んでいるので、真っ直ぐ立っているものに対しては着地しやすいスタイルになっていたのです。いちいち体勢を変える必要なく着地できる飛び方だったというわけです。
 これはこれは、カミキリ虫さん。どうも、お見それ致しました。

★コメント
 この頃はカミキリムシとの間に利害関係はありませんでした。それで呑気に観察していますが、今は畑にイチジクの木があって、これがカミキリムシにやられています。カミキリムシの幼虫は木に潜り込んで内部を食べます。そのため木はボロボロになって折れてしまい、弱って実も成りません。そうなるとイチジクは新しい枝をどんどん伸ばし、地面を這うように広がるので場所を取って困るのですが、さて、どうしたものか。みんな命のあるものばかりです。ここが思案のしどころでしょうか。
 大きく見れば自然の中のすべての生き物は何らかの役割(存在理由)があるはずです。カミキリムシにもそれはあるはずで、そう考えると何もできなくなってしまいます。同様にイチジクにもそれはあり、イチジクが枯れてしまえばカミキリムシはよそへ行くでしょう。そうなるとこのイチジクの存在に意味はあったのでしょうか。そんなことなら初めからここに来ないでほしいというのが私の希望です。しかしイチジクもしぶといからそう簡単には枯れません。それで広がって場所を取られると他の野菜が作れなくなるので私が困ります。
 以前、カミキリムシの幼虫は貴重なタンパク源でした。焼くとキャラメルコーンのような味がして、かなりおいしいそうです。と聞いてはいるもののあまり食べる気はしないですね。子供の頃、アマゾンで暮らしたいと願っていた人間がこんなことを言って情けない話ですが、今のところはイチジクを小さく剪定してカミキリムシを見つけやすくして取り除くしかなさそうです。実際、私に必要なイチジクの量はほんの少しです。ジャムを作るだけあればいいのですから。
2021年2月27日

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