<遊去の話>

「遊去の部屋」「遊来遊去の雑記帳」に掲載した記事と過去の出来事についての話です。「遊去のブログ」は現在進行形で記します。

ミノムシの道路横断

2022-11-21 14:46:12 | 「遊来遊去の雑記帳」
ミノムシの道路横断   <2004.6.20>

 ミノムシは、普通、木の枝に吊り下げられた小さな袋の中に住んでいます。そのミノムシが、先日、どういうわけか道路を横切ろうとしているところに出くわしました。朝の散歩をしているときのことですが、幅3mくらいのアスファルトの農道をせっせと移動しているのです。小さな木の枝をつけた3cmくらいの袋から黒い体を5mmほど外に乗り出して這っています。ところが後ろに袋の家を引きずっているためか一回の動作で1mmくらいしか進みません。これで道を横切るのは楽なことではありません。農道とはいえ、道ですから車も時々は通ります。私はちょっと手を貸してやろうかなと思いましたが、やはり自然のままに任せた方がいいだろうということで手を出すのは止めました。
 散歩しながら考えました。ミノムシの体は3cm、道幅が3mということはちょうど体の100倍の距離に当たります。私の身長は170cmなので、話を自分に置き換えてみると幅170mの道を横断しようとしていることになるわけです。しかも匍匐(ホフク)前進で、一回に6cmくらいしか進まない。そこに車がやってきたら、タイヤの幅を20cmとすると、これは何と11m以上あるのです。目の前を11mくらいのローラーが凄い勢いで転がっていく…。
 コロと散歩をしながら私はミノムシの健闘と無事を祈りたい気分でいっぱいになりました。生きものたちはすさまじいことを普通にやっているんだなあと思いました。
 いつものコースを一回りして30分後、もう一度ミノムシのいたところに行きました。もうミノムシの姿はありません。道路の上をよく見ましたがどこにもミノムシの潰れた痕はありませんでした。お陰で私もすがすがしい気分になり、もう少し頑張ってみようかなと思ってみることができました。

★コメント
 幼虫が蛹(サナギ)になるときにはそれまで暮らしていた植物を離れる必要があるのでしょうか。前にアゲハ蝶の幼虫が庭で地面を這っているところを見たことがあります。ミカンの木にでもいたのでしょう。それが木を離れて地面を一直線に這っていくのです。目標地点が見えているみたいです。その延長線上にはブロック塀があります。どうするのか見ていると突き当たったところで塀を上り始めました。そして途中で止まり動かなくなりました。そこで蛹になるのかなと思って私はその場を離れたのですが後で見に行くといなくなっていました。
 家の外壁で蛹を見つけたこともあります。だけどミカンの木で蛹になっているのは見たことがありません。キャベツの葉にも青虫はいるのですがそこで蛹になっているのも見たことはないのです。いったい何処で蛹になるのだろうか。不思議です。畑の中では塀のような場所はありません。畑にはモンシロチョウもたくさんいるのだからそれらは蛹から羽化したわけで、それなら何処かに蛹の抜け殻があるはずです。どうなっているのでしょうか。
 初夏の頃だと思うのですが、堤防の道路を夥しい幼虫が一斉に横切って行くのを見たことがあります。河畔林から出てきたのでしょう。道路の反対側は水田地帯です。やはり蛹になるための場所を求めての行動でしょうか。だけど道路の上は車に轢かれた夥しい死骸で溢れています。何という凄まじい光景、しかもこれは毎年です。生きることは厳しいなあと思います。
 先日、映画「史上最大の作戦」を見ました。TVの世界名画劇場で録画したまま一度も見ていなかったのですがようやく見る気になりました。実は、この映画、小学生の時に学校から映画館に連れていかれて見たのです。驚きました。それ以来一度も見たことがないのに殆どの場面に記憶があるのです。やはり子供時代の記憶力は大人になってからとはまるで違うようです。そして映像から受ける感覚も子供時代とは違うと思いました。海岸で兵士が銃で撃たれて倒れていく場面で今は痛みを感じますが、子供のときにはそれはなかったような気がします。こんな形の突撃が実際にできるのだろうかと思いました。戦闘は今も世界各地で起きているわけで、何とか回避できないものかと心が痛みます。堤防道路で死んでいく虫たちも哀れですが、人間も哀れです。
2022年11月21日

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