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目の前にあるやるべきことを、まずはひたすら着実に。
さざ波が押し寄せてくる予感は感じながらも、雪はとりあえず真面目に授業を聞く。
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教授の話を聞き、テキストを読んで、ノートを取る。
体に染み付いたその形が、今の自分にシックリと馴染んだ。
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飾らない自分、何気ない日常、刻々と流れる時間。
チャイムが鳴り、授業が終わり、そしてまた次の授業へと向かう。
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抜け切らない疲労を抱えて、欠伸を噛み殺しながら秋の道を歩いた。
今ここにある平和な時間は、嵐と嵐の間のほんの僅かな時間かもしれないけれど。
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青空を見上げ、雪は思った。
長い夢を見て、また戻って来た様な感じがする。
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どこか遠くへ行っていたような気がするが、どこへ行ったのかは思い出せない。
そして元の世界に戻ってくると、そこには色々な人が様々な思いを抱えて生きていた。
周辺はそのままながら、また各々の問題を抱えて、再び繰り広げられる。
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会社で仕事をしているであろう先輩、どこかへ駆けて行く亮の姿、決別した四年の先輩達。
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社会人として頑張る萌菜、どこか掴めない太一、複雑な思いを抱える聡美。
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名前は知らないけれど、構内を歩く学生達の一人一人に物語があり、歴史がある。
その各々の人生に思いを馳せると、どこか途方も無い気分になるようだった。
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そしてまだ雪は知り得ないが、暗闇に立ち尽くす一人の女が居た。
河村静香だ。怒りのあまり微かに震えている。
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彼女の怒りの波もまた、じきに雪の元へと押し寄せてくるだろう。
けれど今はとりあえず、目の前にあるやるべきことを、まずはひたすら着実に‥。
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何かは思い出せないが、ふと暗いイメージが脳裏に浮かんだ。
冷たくて固い重荷が、しなだれかかってくるような‥。
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「?」
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雪は首元へ手をやりながら、その正体が思い出せずに首を捻った。
感じるのはただ、疲れの抜け切らない重い身体の感覚だけだ。
そして、私の肩はいつだって重い。
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嵐と嵐の間の僅かな時間。
物語と物語の間の僅かな幕間に、雪は佇んでいた。
色々な波がこれからまた押し寄せるまでの、ほんの少しの平和な時間‥。
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<幕間>でした。
セリフ無し、モノローグのみの短い回となりました。
雪ちゃんが首元に手をやる癖は、おばあちゃんのことで背負った重荷を無意識に感じていることから来てるんですかね?
だとしたら壮大な伏線ですよね‥。ブルブル。
次回は<張子の虎>です。明日更新します~
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雪ちゃんの身に起こる出来事が大変すぎて、漫画といえど同情しちゃいますよね‥。
こんな大学生活嫌だ‥(TT)