Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

雪先生の提案

2014-06-28 01:00:00 | 雪3年3部(偽物への警告~疎いライオン)
河村亮は一人、モジモジと居心地悪そうに佇んでいた。

ここはA大学の図書館前。



亮はA大生ではないが、雪にお願いして図書館に入れるよう取り計らってもらっているのだった。

雪は関係者と暫し交渉を重ねた後、亮に向かって手招きした。どうやら中に入れてもらえるようだ。

 

亮はホッと息を吐いて、雪の後に続いて図書館の入り口をくぐった。

二人は手頃な場所を見つけて着席し、各々の作業に取り掛かる。



今日で中間考査も三日目。この日は試験があるわけでは無かったが、雪は勉強の為に登校して来たのだった。

しかしそれよりも、隣に座る亮は一体何をしているのだろうか‥?

 

彼が棚から取ってきた本を横目で盗み見てみると、

ニュープライム、国語辞典‥。どうやら何か文章を書いているらしい。

「何してるんです?」



周りに迷惑を掛けぬようこっそりとそう口にした雪だったが、亮はビックリしてヒッと息を飲んだ。

「い、いやなんでもな‥」



笑顔で誤魔化そうとする亮がこちらを向いた瞬間、雪はパッとそれを取り上げた。

亮は焦ってそれを取り返そうとするが、雪は図書館に亮を通してあげた恩を盾に返さなかった。

「一体何‥」



そして目にしたその紙には、ぎっしりと文字が書き込まれていた。

一番上に、”反省文 河村亮”と書かれている。



志村明秀教授様‥

ごめんなさい。全部オレが悪かったんです。勝手に休んですいませんでした。

そして病院は本当にさぼらないのです。でも生計を立ててる中で、たまにはそんなこともあると思います。

また、頑張って失いというのは正直ちょっと大げさじゃないですか。

オレすげえ頑張ってます。一度見に来てほしいです。つみもないのに誤解されてくやしいです。

とにかく‥これからはもっとサボって、隊惰にはしません。

オレはピアノを弾くとき、胸のどきめきがいっぱいになって、気分が超マジで良いです。

こんなオレがマジメじゃないなんて、道行く犬も笑うようなこと(*)です。

これからはもっと頑張ってリハビリして、絶対早くってみせます。

最後に、教えてくれていつも感謝してます。いやマジで。



(*下線部は誤字の箇所です)(*「道行く犬も笑う」=とんでもないナンセンスという意味。韓国の諺だそうです)


ざっと文章全体に目を通した雪は、目を丸くした。

その文は礼儀もへったくれも無く、とても26才の成人男性が書いたとは思えないシロモノだったのである。



亮は溜息を吐きながら、反省文を書かなくてはならなくなった顛末を話し始めた。

「いや~前に教授が風邪引いて来なかった時、オレもちょっとサボっちって‥。

んで、反省文を書いてこいって言うわけよ。そんで超イカしてる文書いて持ってったのに、殴られて追い出されてよぉ!

高校生の時以来、3行以上の文なんて書いたことないオレだぜ?」




亮はブツクサと愚痴るようにその顛末を話した。そしてこの反省文を修正して持っていくまで、

ピアノ室を使わせてやらないと教授から言い渡されているらしい。



何で亮がこれを見せたがらなかったのか、雪は納得しながら頭を抱えた。

とにかく修正しなければならない。敬語や文章の構成の修正は二の次にして、まずは誤字を直すのが先決だ。

「ここ‥ここをちょっと見て下さい‥」



雪が修正箇所を指差すと、亮は「直してくれんのか?」と言って嬉しそうに飛びついた。

雪先生の授業の、始まり始まりである。

まず雪は、「そして病院は本当にさぼらないのです」という箇所を指差して言った。

「まずここ。この部分が矛盾してるんじゃないですか?」



結局病院をサボったのかサボらなかったのか分からないし、助詞との繋ぎも悪い。

雪は亮が自分からその間違いに気づいてくれることを期待してそう質問してみたが、亮はキョトンとした顔で聞いてきた。

「”矛盾”って何だ?」






‥亮は間違った箇所はおろか、”矛盾”という言葉自体が分からないようだった‥。

雪は「それは後で説明します‥」と小さく返し、数々の訂正箇所を指摘して行った。

(以下、韓国語を交えて説明します。

「‥そして胸のときめきという意味の”ソルレイム”という所‥。これは間違いですね。”ソルレム”ですよ」

「え?でもソルレイムってアイスあんじゃん」「それとこれとは全くの別物!



とにかく亮は文字を書き慣れないようで、音を文字に起こす際に誤ってしまうようだった。

スペルミスを連発し、最後は問題箇所「これからはもっとサボって、隊惰にはしません」を雪にボロクソに言われた‥



亮はワケが分からなくなり、思わずその場で大きな声を上げる。

「ぐわあああ!頭が爆発するぅぅ!!」



静かな図書館に、亮の叫びがこだました。(雪は内心「うるさい」と思って顔を顰める)

そして亮は雪の方を睨むと、グチグチと彼女の振る舞いに不満を垂れた。

「頭いてーじゃねーかオイ

お前はA大生でオレが高校中退だからって、オレのこと見下してんじゃねーだろーな?あぁ?!」




「またこの人は‥こんなの中学生でも間違えませんよ?」

雪がそう言い返すと、亮は更に言葉を続けて来た。

「おいダメージヘアー、何度も悲しくなるようなこと言うんじゃねーよ。

ただ直せばいーんだよただ直せば。嫌なのか、あぁ?」




少し教えてあげたと思いきやこの態度‥。雪は彼から顔を逸らしながら一人青筋を立てた。

すると不意に、携帯が震えた。聡美からだった。

後方5時方向にイタチ発見。写真を撮る



また始まった‥と呟きながら雪はそのメールに視線を落とした。

亮もそのメールを覗き込んだ後、後方5時方向に一体何があるのかと振り返る。

「何だそれ?戦争ごっこか?」「あっ駄目!」



雪は咄嗟に亮の腕を引き、再び前を向くように促した。

雪は前を向いて座った姿勢のまま、口だけ動かして説明をする。

「河村氏が足で蹴った、この前のアイツです。ずっと動向を追ってこっそり証拠を集めてるんです。

知らないフリをして下さい」




亮は納得出来ないながらも、とりあえず雪の指示に従ってそのまま沈黙を保った。

静かに座る二人の後ろ姿を見て、横山は顔を顰めて舌打ちする。

くっそ‥チャンスだと思ったのに太一と一緒かよ。出直すか‥

 

若干の勘違いをした横山はそのまま図書館を去り、それを確認した聡美は雪にメールを送る。

行ったよ の文字を見て、ホッとしたような表情を浮かべる雪。



亮はそんな雪の隣で、口を噤んだまま一人思案していた。俯いた雪の方に視線を流す。

心配してた静香は大人しくて、マジでイッちまってる奴がまたコイツを追い回してるってのか?



胸の中に、ドス黒い苛立ちが泡立ち始める。

しかしそんな亮の隣で雪は、横山のことではなく亮のことを考えていた。

ピアノの大きなコンクールには今後出ないって言ってたし‥。河村氏は今25才くらい‥



何かを深く考え込んでいるように見える雪を前に、亮は心の中で強く思う。

捕まえりゃ、オレがギッタギタにしてやんのに‥



あの夏休みの日のようにまたあの男が雪を困らせるなら、再起不能になるまで痛めつけてやろうと亮は思った。

あの時はその拳を外してやったが、今度はもう逸らさないー‥。



熱い思いを噛み締めていた亮だったが、不意に雪が「河村氏、」と声を掛けてきた。

突然名前を呼ばれた亮はビックリ仰天し、「何だ?!後ろ見てねーぞ?!」と言って当惑する。



雪は激しいリアクションの亮を不可思議に思いながらも、先ほど考えていたことを彼に打ち明けてみた。

「あの河村氏、高卒認定試験を一度受けてみてはどうですか?」



突然の雪の提案に、亮は目を剥いた。

「えっ?」「実は前から家の両親も薦めていて‥ちょっと考えてみません?」 



亮は口をあんぐりと開けながら、いきなり提案されたその内容に驚愕した。

まさか雪が試験を受けてみないかと言っている相手が、この自分だなんて‥。

「はぁぁ??」



亮は自らを指差して、尚も驚愕の表情を浮かべた。

雪先生の提案は、亮が「高校卒業」の資格を手に入れてはどうかということだったー‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<雪先生の提案>でした。

今回はCitTさんに亮の反省文の訳を頂きました~!!ありがとうございました!!

多謝です、マジで。(亮風に)

そして亮さんの勘違いしていた「ソルレイム」



亮さんはこの商品名が「胸のときめき」だと思っていたわけですね‥。ぷぷぷ‥。



そして亮さん‥中のシャツの柄と色が変わってマジコーです(^^;)

  


次回は<カップル誕生>です。


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