クマが森を作るという事ではないけれど、豊かな森が熊を生かすという事。
自然の保護、自然と人間の共生は一口で簡単に語られるようなものでは決してない。
しか、無関心であってはならない。百年後、千年後を考えた取り組みでなければならない。
しかし、現代日本でそれが行われてきたかというと否であろう。
明治以降植林事業が行われてきたという。
そして、記憶にあり実際に見てきたが昭和30年代から40年代にかけて植林が盛んにおこなわれた。
若いころよく通った浅草岳の豊かな原生林の山麓もブナの大木が伐採され杉が植林された。
新たな道路が作られ、作業用の建物さえ作られた大規模な事業だった。
昨年のクマの大規模な出没を山の木の実、ブナ、ナラ(どんぐり)の不作を原因とする向きも多い。
しかし、そんな風に一口では片付けられない、奥深い原因事情があるのです。
必要以上の針葉樹の植林が豊かな生態系を破壊してきたことは紛れもない事実です。
しかも、国策が海外からの木材の輸入が主流となり、植林した森の手入れは全くなされていない。
WHO‘S BAD?本当に考えなくてはならないことです。
この本は一昨年手に入れたもので前にも紹介していますが、なかなか奥深い内容です。
江戸時代以降人の手による開墾などにより奥山に追いやられた大型野生動物が戻ってきている。
いえ、戻るばかりではなくて新規に人間の生活域に入り込んできています。
我が家の裏山も過去に、聞いたことさえなかったカモシカが定住しました。
そして、これも聞いたことのなかった日本鹿の姿さえ目撃証言が相次ぎます。
国策、日本の林野行政の貧しさが大型野生動物の生息域に大きな影響を与えています。
昨年の台風19号でも、今度は植林した森林の皆伐で山が崩れ問題になっているようです。
コストだけ考えて外材に頼った結果、無駄になった人口森林を乱暴に処理しているようです。
これは、日本だけではなくて外国での森林伐採も大きな問題を生んでいます。
現代日本の姿はすべてが、コストだけを優先し、先を見ない事業だけが優先されている。
紹介した二冊の本は、それらの大きな問題を語ってくれているように思えてなりません。