戦死公報(聞き書き) (その2終わり)
「ふーん。戦地って何処でしたか」「支那、今の中国だったてー」
「そうですか」「俺がやー、預かり物を持って家に行くとのう。戦死の公報が先に届いていたんさー。
切なくて、何言って良いか分からんくてのう」私もしばらくは返事も出来ない。
しばらく間を置きやっと話した。「骨を折ったんだのう。
オラーお蔭様で楽な生活が出来たんだのう」「うん、色々戦地ではあったよ。
人間同士が殺し合うんだもん、おっかねえもんだったぜ」
「はい」「向こうの兵隊はこっちからいくら機関銃を撃っても、平気で向かって来るんさ。
こっちが怖くなったなー。」「宗教観の違いもあったんだろの」
「そうだろうな、でもこんな話をしたって今の若い者は分からんこてや」
「そうだの。はい、お待たせしました。着きましたよ」
おじいさんみたいな人たちのおかげで、今日の日本があり、自分達がいるのだ。
おじいさん有り難うの。切ないけれどためになるお話でした。
(終わり)