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今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

重ね正月、一夜正月

2009-02-01 | 行事
「月日の経つのは早いもの」は、私など年をとった者の口癖であるが、今年もあっと言う間に正月(1月)が過ぎ、今日はもう2月1日である。
万葉集の巻第五 815大弐紀卿(だいにきのまえつきみ)の歌に以下のようなものがある。
「 正月(むつき)立ち春の来らばかくしこそ梅を招きつつ楽しきを経(へ)め 」
訳すと”正月になり、新春を迎えたら、こうやって梅を見ながら楽しい一日を過ごしましょう。”(以下参考に記載の「万葉集に親しむ」より)
日本では旧暦1月を睦月(むつき)と呼び、現在では新暦1月の別名としても用いられている。睦月という名前の由来には諸説あるが、最も有力なものは、親族一同集って宴をする「睦び月(むつびつき)」の意であるとするものである。他に、「元つ月(もとつつき)」「萌月(もゆつき)」「生月(うむつき)」などの説がある。
正月とは本来、その年の豊穣を司る歳神をお迎えする行事であり、また、その神様は家族が元気で暮らせる約束をしてくれる神様でもあった。それが、お盆と同様の「先祖をお祀りするようになったが、仏教の影響により、お盆は仏教行事の盂蘭盆会と融合して先祖供養の行事となり、正月は歳神を迎えてその年の豊作を祈る「神祭り」として区別されるようになったと考えられている。(以下参考に記載の「日本文化いろは事典-正月」参照)
数え年では、1月1日に歳を1つ加えていたことから、正月は無事に歳を重ねられたことを祝うものでもあったが、満年齢を使うようになってからは、単に年が変わったこと(新年)を祝う行事となった。
正月に年令が変わるが、2月1日は、正月後最初の日(さくじつ =陰暦で、毎月の第一日)であることから2度目の正月として、厄年(やくどし)の人に仮に1つ歳をとらせ、早く厄年をやり過ごそうとする風習が広く行われていたそうで、この日を「重ね正月」また、「一夜正月」などと呼んでいたようだ。
厄年のルーツを探ると、その起源は古代中国に生まれた自然哲学思想、陰陽五行説を起源とした陰陽道(おんみょうどう)にあるようで、それが、日本では天文・歴学・卜筮(ぼくぜい)などの知識を用いて吉凶・禍福を占う呪術の体系として独自の発展を遂げた。これを平安時代に広めたのが陰陽師である賀茂忠行(かものただゆき)・賀茂保憲(かものやすのり)親子並びにその弟子である安倍晴明(あべのせいめい)らである。やがてこの陰陽道をもとに日時や方位の吉凶が定められるようになり、それと同時に災いを招きやすい年である厄年ができたようだ。
陰陽道の書「口遊(くちずさみ)」には、厄年の具体的な年齢が書かれているそうだが、この書は、平安時代の貴族・源為憲(みなもとのためのり) が、藤原為光の子のために作った初歩教科書だそうだ。この書は貴族の子弟に要用の諸教材を口に唱えて憶えやすい形に編集し、十九門に分類して収録してあるという。余談だが、現在も使われている「九々」も含まれており、ここでは現代とは逆に「九九八十一」から記されているようだ。又、「いろはにほへと(色は匂へど) ちりぬるを(散りぬるを)・・・」で有名なすべての仮名を一度ずつ使った歌「いろは歌」(「いろは」で始まる四十七字の歌)と同様に、すべての仮名を重複させず網羅した歌としては、他に「あめつち」「たゐに」の歌があるが、そのうちの「たゐに」も 「口遊」に収められているそうだ。(以下参考に記載の「大為爾の歌 - Wikipedia」参照)
元に戻るが、源為憲の「口遊」で「厄年」は、十二支占いを参考に算出され、12年に一度となっており、満年齢に1を足した数字、例えば、13、25、37、49、61、73、85、91歳などとなっており、これには、男女の区別はなかったようだ。
源氏物語」には、藤壺が37歳のときに厄にあたり、心労で苦しむさまが描かれ、あげく、冷泉帝への後見を源氏に感謝しつつ崩御している。
これが時代と共に年齢も変わってきて、現在、一般的に男性と女性の厄年は異なり、本厄は男性の場合は、数え年で25歳、42歳、61歳、女性の場合は19歳、33歳、37歳とされているが、この厄年の年齢が定着したのは江戸時代になってからのようで、当時の百科事典である「和漢三才図会」には、7歳から始まって9を加えた年が厄年と書かれた後に「いまは俗に男25、42、61、女19、33、37、男は42をもって女は33をもって大厄となす。其のよってくる所を知らず、男42の前年を前厄、翌年を挑厄(はねやく)といい、前後3年を忌む」というただし書がある。このような年齢の変化にはいろいろな説が考えられているようだが、42歳は四二(死に)、33歳は三三(散々)、19歳は十九(重苦)といった語呂合わせ説もある。それはともかく、厄年というのは、人生の節目のあたる年でもあり、その年は肉体的にも精神的にも変り目の年だから気をつけるようにとの警告であって、長い間に培われてきた生活文化ともいえるだろう。
江戸時代に入ってこの厄年の風習が民間に定着すると、神社やお寺で厄祓いをするのが流行りになる。
厄年における厄祓いの時期は、地域によって異なるものの、「年の節目である新年正月元旦に行う」ケース(一番祈祷)【和田神社の正月一番祈祷参照】、「年の節目を旧正月と考え、厄年の区切りも旧正月からとし、節分にあわせて行う」ケース(厄払い節分祭など)[節分祭・長田神社古式追儺式(鬼追い)と節分行事参照]、「年始から節分までに行う」ケースが多く見られる。
尚、厄年、厄日というと悪いイメージばかりを抱きがちだが、もともと“厄年の「ヤク」とは「役目」の「役」の」ことで、共同体の中で重要な役割を担う年齢のことであった。特に神事に関わる役目を担うことから、厳重な物忌みなどが求められたが、次第にもとの意味を失い、身を慎む習慣が残ったという説もある(以下参考に記載の「神戸・須磨]多井畑厄除八幡宮: 厄年の意味)参照。
本来は七五三も厄払いが起源であり、その意味では広義の厄年には七五三も含める場合もある。この場合男性女性ともに厄年の最少年齢は3歳(数え年)になる。
厄年を無事乗り切るために祈願するということが厄祓いの本質であるため、その時期を越えてしまったからといって厄祓いをできなくなるわけではなく、厄よけの時期は「思い立った日が吉日」だとも言え、いつでも良い。節分は立春(毎年2月3日ごろ、うるう年は2月4日ごろ)の前日のことを指す場合が多いが、その場合今年(2009年)の立春は2月4日だから節分は、2月3日と言うことになる。未だ節分まで2日あるね。
(画像は、2008年1月7日の神戸・勝福寺の追儀式。この寺では、毎年1月に追儀式が行われる。】
参考:
Category:年中行事- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/Category:%E5%B9%B4%E4%B8%AD%E8%A1%8C%E4%BA%8B
万葉集に親しむ
http://www.h3.dion.ne.jp/~urutora/manyou.htm
日本文化いろは事典-正月
http://iroha-japan.net/iroha/A01_event/01_shogatsu.html
厄年 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%84%E5%B9%B4
左左右右・[神社神道の豆知識]人生儀礼の記事
http://blog.tennjinn.net/Category/43/
藤壺 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E5%A3%BA
万葉集に親しむ
http://www.h3.dion.ne.jp/~urutora/manyou.htm
源氏物語 総合索引
http://www3.ocn.ne.jp/~mh23/gennziinndex.htm
源氏物語の世界 再編集版
http://www.genji-monogatari.net/
和漢三才図会 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%8C%E6%BC%A2%E4%B8%89%E6%89%8D%E5%9B%B3%E4%BC%9A
藤原為光- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E5%8E%9F%E7%82%BA%E5%85%89
大為爾の歌 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E7%82%BA%E7%88%BE%E3%81%AE%E6%AD%8C
九九 そろばんの歴史
http://shuzan-gakko.com/rekishi/5kuku.html
厄年研究所
http://www.ongahachiman.org/
兵庫県の節分祭・節分の豆まき/兵庫観光名所風景写真集・壁紙写真集
http://kobe-mari.maxs.jp/shrine_temple/setsubun.htm
神戸・須磨]多井畑厄除八幡宮: 厄年の意味
http://www.tainohatayakuyokehachimangu.or.jp/year.html
角館町観光協会: 厄払い(やくばらい)
http://72.14.235.132/search?q=cache:nwqM_Cpj6uoJ:kakunodate-kanko.jp/blog/2007/02/post_324.html+2+%E6%9C%881%E6%97%A5%E3%80%80%E5%8E%84%E6%89%95%E3%81%84&hl=ja&ct=clnk&cd=12&gl=jp