今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

生命・きずなの日

2008-05-17 | 記念日
今日(5月17日)は、「生命・きずなの日」。生命の大切さ、生命の絆について考える日。
日本ドナー家族クラブが2002 年から制定。この日を契機にドナー及びドナーファミリーへの社会の理解を高める努力をこれからも続けていこうというもの(詳しくは、以下参考に記載の「日本ドナー家族クラブ 」の”生命・きずなの日について”参照)。
日本においては、1956(昭和31)年に腎臓、1964(昭和39)年に肝臓移植が初めて行われた。
そして、日本初の心臓移植札幌医科大学付属病院胸部外科で和田寿郎教授によって行われたのは1968(昭和43)年8月8日未明のことであった。世界初の心臓移植が南アフリカ共和国で行われてから8ヶ月後、世界で30例目であり、移植患者は83日間生存した。ただし、この心臓移植は、レシピエント(、ドナーから臓器を受け取る人)の死後、それまでくすぶっていた疑惑が一気に噴出。それは、海で溺れ心臓を提供することとなったドナーに関するもの、移植を受けたレシピエントにまつわるものなど、胸部外科が発表した全ての事実を否定するほど多岐にわたるものであり、1968年12月、和田心臓移植は大阪の漢方医らによってついに刑事告発されることとなったが、1970(昭和45)年夏に捜査が終了し、告発された殺人罪、業務上過失致死罪、死体損壊罪の全てで嫌疑不十分で不起訴となった。札幌地検はこの捜査のために、3人の日本を代表する医学者達に、各一人ずつ1つの項目について鑑定書作成を依頼したが、それらは終始曖昧で決断を下しかねているような論調で、全ての鑑定人に対する再聴取が必要なほどであったという。医の倫理と、個人の功名心とのせめぎ合いの中、貴重な二つの人命が生体実験によって奪われたとの厳しい意見も出ているが、「2つの死より1つの命を」という和田教授の言葉の説得力の方が当時としては説得力があったとも言え、又、後に、同じ札幌医大の内科の宮原光夫教授は林田教授にドナーとなった人は「僧帽弁を人口弁と取り換えて欲しい」と以来した患者だったのに、和田教授は「心臓の弁は3つが3つとも、箸にも棒にもかからない絶望的な状態だった」と発表し、著書にも表した。このことについて、宮原教授が控えめに批判的な発表をしたのは翌年・1969(昭和44)年5月のことであり、それは、専門誌「内科」の特集「臨床医のための生死の判定」という依頼原稿の中にそっと滑り込ませる形でかかれていたと言う。それが、新聞に大きく書かれたことで、同教授は大学の中で、辛い立場に立たされ、失意のうちになくなったという。仲間うちを批判することが最大の不道徳とされるそんな時代背景でもあった〔朝日クロニクル「週刊20世紀」)のだ。そのような日本の閉鎖的な大学病院の体質の中、真実は今もって闇の中にあるようだ(詳しくは、「和田心臓移植事件」及び『和田心臓移植事件に対する日弁連の警告」参照)。
古来、日本における一般的な人間のの概念は、心臓の停止であり、(拍動の停止、 自発呼吸の停止、対光反射の消失・瞳孔散大の状態(3徴候死)によって判定されてきた。 
1979(昭和54)年、「角膜及び腎臓の移植に関する法律」(昭和54年法律第63号)が成立し、心臓死移植に関する法律が整備された。この法律によって、家族の承諾により、死後の腎臓および角膜の提供が認められるようになった。以後、心臓死下の腎臓移植が毎年150~250件、角膜移植が1600~2500件行われるようになったという( Wikipedia)。しかしながら、日本では脳死を人の死と認めない傾向が強かったため、その後はもっぱら心臓死移植のみが行われ、脳死移植は長期に渡り行われることがなかった。
しかし、1997(平成 9)年7月16日「臓器の移植に関する法律」が施行され、本人が脳死判定( 第6条の規定による。以下参考に記載の「※臓器の移植に関する法律」参照)に従い臓器を提供する意思を書面により表示しており、かつ家族が脳死判定並びに臓器提供に同意する場合に限り、法的に脳死が人の死と認められ、脳死移植が可能となった。そして、同法による臓器移植による脳死判断の初適応は、1999(平成11)年2月28日のことであり、日本で2人目の心臓移植が大阪大学付属病院で行われた。「脳死状態で臓器提供する」とドナーカード(臓器提供意思表示カード参照)に記した女性の死(脳死)をめぐり、「プライバシー」と「情報公開」をめぐって意見が衝突。激しい報道合戦が展開された。
高知のドナー(臓器提供者)は、くも膜下出血で高知病院に入院していた40歳代の患者であった。2月28日、脳死と確認された後、家族が臓器提供に同意、心臓、肝臓などが全国5ヶ所の病院に運ばれた。心臓の提供を受けた大阪大付属病院では、待機していた医師が高知から大阪空港まで「心臓」をヘリコプターで運び、さらに車で、吹田市の病院まで運ばれ、同夜47歳の男性が移植手術を受けた。この高知のケースでは臓器提供者の家族がプライバシーの保護」を同意の条件に挙げた。しかし、まるで、「死」と「生」の間を「臓器」がモノ扱いされながらめまぐるしく移動し、それが、大々的に報道された。しかし、その後、報道の自粛が始まった。救命治療から脳死判定、臓器配分から移植ーーと続く一連の作業は,今や厚生省の手にほぼ完全に委ねられ、メディアは官製の報告を待つだけの存在となっった。そして、社会の関心も薄れている。「脳死移植とは命を落す人を待つ悲しい医療」ともいえる。脳死と移植という「新しい死と生」の問題をどう受け止めたらよいのか?日本人が生々しい事実を通して具体的に問いかけられた、最初で最後の貴重な機会だった。初の脳死移植の後、朝日新聞の歌壇に登場した短歌2首。
何機ものヘリコプターに後追われ 臓器通れり阪大への夜道(小松千恵)
吾の心臓が運ばれゆく いのちなき胸に疼痛ゆめのなか(山口克昭)
「脳死は死」、「心臓は交換可能な人体部品」、と思い切れずに逡巡し続けてきた日本人の身体感覚を象徴している歌である(朝日クロニクル「週刊20世紀」)。
臓器移植による治療には、脳死者が臓器を提供し、はじめて成立する。しかし、「脳死」は本当に人の死といえるのか?。「脳死」と宣告されてからも長期間を生存する例が多くあるといい(以下参考に記載の「「脳死」・臓器移植に反対する関西市民の会」の「脳死」でも意識あり、生きている!など参照。)、この脳死判定に関してはさまざまな問題があるようだ。
現行法には、法の施行後3年を目途に見直しを行うとの条文があり、その後、臓器移植法改定案が再度にわたって国会の上程されており、現行法では「移植の場合に限り、脳死を人の死」と認め、「本人の提供意思の表示と遺族の同意」を条件に臓器提供が行われてきたが、改正案では、「脳死を一律に人の死」とすることを前提に「本人の意思表示なしでも遺族の承諾だけで臓器提供できる」ことなどが検討されているという。
確かに、臓器移植を受けたいレシピエントの立場からすれば、一日も早く移植をして回復したいと願う気持ちは痛いほどよく判るし、治してやりたい医師の立場も理解できる。又、中には、そのような気の毒な人達のためにドナーとなっても良いとする人も大勢居ることだろう。しかし、日本人には、死んだからといって、自分の臓器を身体から摘出し、知らない人に移植するということを良しとしない人も大勢居るだろう。脳死の問題は日本人の人の死ついての「死生観」にかかわる問題でもある。だから国会議員たるものは、国民の合意なしで、古来からの日本人の「死」の問題を軽々には扱わないようにしてもらいたい。
ただ、心臓移植については、心臓が動いているのに死亡している提供者(脳死者)の存在が必要不可欠である。自分の臓器を「あげたい」人、「あげたくない」人、どちらの気持ちも同じように大切にされなければならない。ドナーカード(「臓器提供意思表示カード」)はそのような臓器提供の意思を生前に示すことができる。提供したい人は手続きをして提供の意思を表示されると良い。しかし、「提供したくない」人の場合は、わざわざ書類を取り寄せ、提供したくないと意思表示するのは、ちょっと、気後れするよな~。でも、改正案が通ると・・・・。
(画像は、「脳死は本当に人の死か」 梅原 猛 〔著〕単行本)
日本ドナー家族クラブ
http://www.jdfc.net/
※臓器の移植に関する法律
http://www.ron.gr.jp/law/law/zouki.htm
臓器移植について
http://www.novartis.co.jp/edu/mokuji.htm
(社) 日本臓器移植ネットワーク
http://www.jotnw.or.jp/index.html
ドナー - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%8A%E3%83%BC
トランスプラント・コミュニケーション
http://www.medi-net.or.jp/tcnet/
医学用語解説
http://www.yume-net.ne.jp/dome/worldpl/13_yougo/cgi-bin/namazu.cgi.exe
「死者の人格権」の可能性/宮崎真由
http://www.kinokopress.com/civil/0402.htm
「脳死」・臓器移植に反対する関西市民の会
http://fps01.plala.or.jp/~brainx/
[PDF] 社団法人 日本看護協会 ニュースリリース
http://www.nurse.or.jp/home/opinion/newsrelease/2005pdf/20050427-2.pdf
立正佼成会が「臓器移植法改正案に対する提言」を発表、自民、民主両党に提出(2005年03月11日)
http://www.kosei-kai.or.jp/news/2005/03/post_227.html
死生観 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E7%94%9F%E8%A6%B3
人工弁ドットコム
http://www.jinkouben.com/index.html