ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

EUって、未来ではなかったのか?

2016年07月03日 | 日記

都会の水辺にセリに混じってオモタカを見つけた。めずらしいので描く。

 イギリスが国民投票によって、EU脱退が可決したことは、世界中に大きな反響を呼んだ。著名人も各人各様、またメディアもたいそう、とりあげている。それだけ衝撃的な出来事だった。

 しかし、私にはいずれのコメントにも聴くべきものがない。

 なぜなのか。それはEUが私たちの来るべき未来だったことに、まったく触れていないからである。

 国家が国家の枠を超えて人類として共同化すべき未来への第一歩を踏み出したのがEUだったはずだ。特に社会主義、共産主義の理念が崩壊してして以来、先進社会の行くべき方向を示す理想が、ここに掲げられていた。最初は市場の開放として、そして金融の統一としてのユーロ、さらに特許権などの調整と、ドイツ・フランス・イタリアといった主要国から、東欧、中東まで幅広く統合する勢いだった。当初、傍観していたイギリスもそうした動きに加わざるをえなくなって、EUは理念だけでなく実質性を積み重ねてきたように見えた。だから、今回のイギリスの離脱騒動は、その理想のどこが問題で、なぜ停滞してしまったのか、を問うているはずなのだ。

 情報などによると、結局、各国は自国の利害をお互いに押し付けあって、中東の崩壊による移民・難民に対処できなくなったということが大きな理由のようだ。大量の移民・難民はどんな国でも受け入れは困難にちがいない。だから表面的には移民や難民の発生、その対処の方法が問題となっている。そういう面から言うと中東は火薬庫であり、しかも国民国家というものが成立しておらず、部族が国家を代替している。あるいは特定部族が専制化している。そこに巨大な石油利権が絡む。危なかしいことこのうえないのだ。

 人類の未来のはずである国家統合が、移民・難民問題を経済的、思想的に組み込むことができなかった、つまり統合とは名ばかりで、国家を超えることができなかったということが、今回の最大の問題なのだ。国家を超えるためには通貨の統一などでは解決されないことなのだ。

 今日の資本主義は、階級対立といった古典的な課題から、生産経済から消費経済に移る時の社会的、経済的な課題を解決できずに流浪している。そこから格差という問題が生ずる。アメリカに限らず経済の活性化を進める手段が、依然として国家主義的な金融緩和というインフレ政策しか提示出来なのもそのせいである。このことに石油問題が重なっていることは衆目の一致するところである。

 とはいえ、消費社会であろうがなかろうが、未来は依然としてEU的な方向にしかないのは、私には明らかなように思えるのだ。【彬】

コメント
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