若い頃からいろいろ飲んできました。老境に至ると、あまり飲めなくなり、いろいろなお酒の思い出だけを楽しむようになります。
好きな銘柄も年齢とともに次第に変わって行きます。
ビールは昔は札幌ビールや恵比寿ビールが好きでしたが、年を取るにしたがってそれらの味が重苦しくなってきました。
ドイツに住んでいた頃は苦みの効いたドイツビールに感激して沢山飲みましたが現在は美味に感じません。
最近では、さっぱりした味の軽い発泡酒を愛用しています。
日本酒も灘の銘柄のものが美味しいと思っていましたが、次第に富山、新潟、秋田のような日本海側のお酒が好きになりました。日本酒本来の味が濃厚で楽しかったのです。
しかし老齢になると日本酒も重く感じるようになり最近は眺めて楽しむだけになりました。
ワインもドイツに住んでいたこともあって、ドイツワインだけが好きでした。フランスのワインもイタリーのワインも好みではないと心の中で呟きながら飲んでいたものでした。しかし老人になった現在はワインは重すぎて、甘過ぎていけません。もう飲まなくなりました。
ウイスキーもオンザロックにしたり、水割りにしたり、ハイボールにして随分と飲みました。若い頃は国産のサントリーやニッカを飲んでいましたが、最近ではスコッチが格段に安くなりましたので国産のものは一切飲みません。
ジョニーウオーカーの黒ラベルは贅沢過ぎるので、赤ラベルものを有難がって飲んでいました。たまにオールドパーをご馳走してくれる先輩がいました。高貴な味がしたものです。
そんなことを思い出しながら、最近は格安のスコッチを見つけて飲んでいます。
カティサークとマックイーンという銘柄です。700cc瓶が999円と799円です。
スコッチは無名の銘柄ででもどれもが本物のウイスキーの味がします。上品でイギリス文化をいろいろ連想させる独特な香りがするのです。
カティーサークはインドから紅茶を運んだ高速の帆船の名です。ヨットが趣味なので、帆船を刷ったラベルに誘われてつい買ってしまいます。
昔、瀬戸内海で、あるヨットに招ばれた時、キャビンの柱にこのカティサークの瓶が逆さに固定してあり、下に氷入りのグラスを置き、小さな蛇口をひねるとスコッチがコボコボと良い音を立てながら流れ出た事を思い出しました。
今日もマックイーン・スコッチを買いに行って、日本酒や焼酎や洋酒の広い陳列棚を飽くこともなく眺め、それぞれのお酒を一緒に飲んだ人々を懐かしく思い出して、楽しんで来ました。
それにしても、国産のウイスキーよりも格段に安価でいろいろなスコッチ・ウイスキーが買えるようになったことをしみじみ幸せに感じます。日本が経済成長したお陰なのです。
下にそのような写真を示します。是非無名のスコッチ・ウイスキーを試めしに飲んで見て下さい。
上に写っているマリーボーンもマックイーンもグレンメイビスもどれも本物のスコッチです。有名ではありませんがジョニ赤と遜色がありません。
上のカティサークがお薦めです。下の段のアメリカのバーボンも美味しかったですが、年を取ると合わないと感じるようになりました。
上の段のジョニ赤とオールドパーは間違いなく美味です。予算に余裕のある方へお薦めです。
上は昔ながらの日本酒の味を楽しみたい方へお薦めの酒です。
新潟県、魚沼地方の名山の八海山の麓の酒蔵で出来る「八海山」という銘柄の酒です。
私が日本酒を止める頃、気に入って飲んでいた銘柄です。「八海山」にもいろいろありますが、高級なものより普通のものがサッパリしていて素晴らしい日本酒でした。
現在はこの棚の前に立って思い出を楽しむだけになりました。
こんな話をしていると終りがありませんでこれくらいにして失礼します。(終り)