秋雨前線の影響で曇りの日が多く、なかなか姿を見せてくれない紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)だが、台風通過後の10月2日早朝になんとか観察できそうである。平日で仕事がある日なのであまり夜更かししないように撮影予定地の富士川町林道に夜8時ごろに到着する。3台のカメラをセットしてそのうちの1台は簡易赤道儀に乗せて追尾撮影を試みるのだが、北極星が見えない位置だったので極軸合わせに四苦八苦し、セッティングが終わったのは10時を過ぎてしまった。
富士川町林道に行く前に高下に立ち寄ってみる。やや霞んではいるが天候は良好である。
明朝の撮影予定地からの富士山。左側ギリギリの視野から彗星が現れるはずである。
簡易赤道儀の極軸合わせに一苦労。再三調整して20秒間追尾でやっとプレアデスがこのくらい撮れるまで調整が出来た。センサーにゴミが・・・
目覚まし時計を未明4時にセットして車中泊する。睡眠薬を飲んで11時ごろには眠りについた。未明4時に起きて景色を見に行ってビックリ仰天である。想定外に雲が多い。これで写ってくれるのか?
未明4時ごろの景色。低空に雲が出て星が見えない。
4時半ごろの景色。低空の雲が晴れてきた。もうすぐ彗星が現れるはずである。
そして遂に左端の低空にオレンジ色の彗星が姿を見せてくれた。
雲に隠れ始めた彗星。広角レンズの視野ではあっという間に彗星は朝焼けの空に吸い込まれてしまった。
200㎜望遠レンズで捉えた紫金山・アトラス彗星。バッチリ写ってくれた。
雲を抜け出て輝く彗星
夜明けの明かりに飲まれて尻尾が見えなくなってきた。
こちらが400㎜望遠レンズで簡易赤道儀で追尾した画像。右側に大きなゴミが入ってしまった。
トリーミング画像。長い尾を引いている。追尾開始が遅れたうえにインターバルタイマーのセッティングを誤って連写は出来ていなかった。
朝焼けの雲間を舞った紫金山・アトラス彗星
朝の光に吸い込まれてもはやこれまで。
1週間ほど前から天候が良くなるのを待ち望んでいたが、ようやく今回お目当ての彗星の姿を拝見することが出来た。長い尾を引いており、明るさは2~3等級くらいなのではないだろうか。朝焼けの光の中で肉眼では確認出来なかったが双眼鏡を使うと簡単に見ることが出来た。明日からはまた天候が崩れ始め、今後この彗星は高度を下げて見えなくなってくるため、早朝の姿を見るのはこの日が最後になるであろう。10月12日頃から今度は夕暮れの西の空で観察できるようになってくる。天候と時間が許せば富士山の上を舞うこの彗星の姿を捉えてみたい。