(CNN) 私の最も幼いときの思い出の一つは、宇宙飛行士たちがハワイに帰還する際、祖父に肩車をしてもらい旗を振っていたときのものだ。これは我々が月面上に足を踏み入れる何年も前のことであり、火星に探査機を着陸させる数十年前のことだった。国際宇宙ステーション(ISS)からの写真がソーシャルメディアのフィードに現れるようになる1世代前のことだ。
私は今でも子どものときと同様、我々の宇宙プログラムに対し感嘆の念を抱いている。宇宙プログラムは我々の個性の本質的な部分を体現している。それは、好奇心や探求心、技術革新や創意工夫、可能なことの領域を広げ、そして、それを誰よりも先にそれを行うといったことだ。我々が勝利した宇宙開発競争は、計り知れないほど重要な技術的・医学的な前進につながっただけでなく、米国が宇宙開発の先頭にあり続けるために必要とされる素質を持った新世代の科学者や技術者を触発もした。
私が米大統領としての国民への最初の演説の中で、科学を正しい場所に戻すと誓った背景には、一つにはこうした理由があった。私の政府は政権に就いてから最初の数カ月で、米国史上最大規模となる基礎研究への投資を行った。また私はケネディ宇宙センターに行き、太陽系をより広く探査し宇宙をより深く見つめるため、宇宙プログラムの再考と再活性化を求めた。
これ以来、我々は米航空宇宙局(NASA)における技術革新に再び活気を与え、ISSの運用期間を延長したほか、宇宙産業の手つかずだった潜在力を活用することにより米企業が民間セクターの雇用を創出するのを支援してきた。
NASAは昨年だけで、火星に液体状の水を発見し、木星の衛星の1つに氷が存在する証拠も見つけた。また我々は、地球から30億マイル(約48億キロ)以上離れた冥王星の地形を高解像度で撮影して地図化した。各種の宇宙望遠鏡により、遠くの恒星を周回する地球に似た惑星の数々も新たに発見された。我々はさらに、小惑星と接触するための新たなミッションを推進している。これは小惑星衝突の脅威から地球を守る方法を学ぶうえで助けとなる一方、地球上における生命の起源についても得るところがあるだろう。我々は太陽系内のすべての惑星をフライバイ(接近通過)した――他のどの国も成し遂げたとは言えないことだ。そして我々は、税金を負担する人々のため、宇宙探査のコストを低下させ続けている。
我々は今週、米国をリードする科学者や技術者、技術革新に携わる人たちや学生の一部をピッツバーグに集める。我々のこれまでの歩みを踏まえ、次のフロンティアを探すための方法を夢見るためだ。わずか5年前、米国の企業は世界の商業打ち上げ市場に参入できていなかった。NASAの職員が地ならしを進めてくれたおかげで、今日では米国企業が市場の3分の1以上を占めている。ほぼ50州すべてにまたがる1000社以上の企業が、民間での宇宙開発に取り組んでいる。
我々は、宇宙における米国の物語の次の1章を開くのに不可欠な明確な目標を設定した。2030年代までに人類を火星に送りこみ、安全に地球に帰還させるというものだ。究極的な目標は、いつの日か火星に長期間にわたり滞在することだ。火星に到達するためには引き続き、政府と民間の技術革新者との間で協力していくことが求められるだろう。我々は既にかなり前進している。2年以内に、民間企業が初めてISSに宇宙飛行士を送りこむ見通しだ。
次のステップは地球の周回軌道の外にまで到達することだ。私は気持ちの高ぶりとともに次のことを発表する。深宇宙での長期間の任務に宇宙飛行士を送りこみ、任務中の飛行士を支えることを可能にする新たな生活環境の建設のため、我々は商業企業と連携した取り組みを進めている。こうしたミッションにより、地球から遠く離れた場所でどのようにして人類の生活が可能になるのかが分かるだろう――これは火星への長い旅に出るうえで我々に必要な知識だ。
米紙ニューヨーク・タイムズで月面着陸を報じたジョン・ノーブル・ウィルフォード記者は後に、火星は「重力よりも強い力でもって」我々の想像力を引っ張っていると書いた。そこまで行くには大きな飛躍が必要になるだろう。だが、火星世代とも言うべき学生たちが毎日、教室に入っていくとき、その最初の小さなステップが生まれているのだ。科学的な発明はスイッチを切り替えるようにして生まれるものではない。長年にわたる試験の実施と忍耐、国を挙げての教育への取り組みが必要だ。
アイゼンハワー大統領はこれを知っていた。彼は1958年、NASAを設立したのとほぼ同時期に、科学と数学の教育に多大なリソースを割いた。STEM(科学・技術・工学・数学)教育で我々が重要な節目を通過したことを私が誇りに思っているのも、これが理由だ。米国の学校では史上初めて、毎年10万人以上の技術者が卒業している。また、新たにSTEM教育に携わる質の高い新しい教師を10年間で10万人育てるという私の目標も、達成に向かっている。
米国のアポロ宇宙船に搭乗していた飛行士らが宇宙から振り返ったとき、その任務は月を探査することであったにもかかわらず、彼らは「実は地球を発見した」ことに気付いた。もし我々の宇宙における今世紀のリーダーシップを前世紀よりさらに強固にすることができれば、我々はエネルギーや医学、農業、人工知能といった関連分野での進展を享受するだけなく、環境や我々自身についてよりよく理解し、その恩恵にあずかることになるだろう。
私はいつの日か、自分の孫たちを肩車したい。有史以来、人々がそうであったように、我々もやはり感嘆の念をもって星々を見つめることだろう。だがそのときは勇敢な冒険者たちの帰還を待ちわびるのではなく、今日の我々が下した選択の結果、飛行士たちが宇宙に向かったのは一時の訪問のためではなく長期滞在のためであり、そしてそれを通じ、我々の地球上での生活を向上させるためだと分かっていることだろう。
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バラク・オバマ氏は米国の大統領です。この記事は米CNN.comに掲載された英文記事を翻訳したものです。
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♫コメント欄にこの記事を紹介してくださった方がいました。ありがとうございます。
この記事を読むと、何をバカなことを、と思われる方もいると思います。
火星への移住計画はアメリカの会社で始まり、なんだか移住だけをアピールするもので、火星がどのような惑星なのかは、NASAからは情報がでていません。
それなのに、このようにして、移住に乗り気の人が世界中からかなりいるということですね。
火星へは、アイゼンハワー元大統領の孫がYOUTUBEの動画で、火星で宇宙人に会ったといっています。
このような話は、噂の範囲ですが、鳩山由紀夫夫妻もオバマも火星へ行ったそうです。ですがこれらは、別のルートで行っているようですよ。
ロケットではなく、テレポテーションのような物らしいのです。
時間空を一っ跳びして、火星まで20分だとか。
ロケットを利用して火星に移住するなんて、火星の詳しい情報もないのに、どうして移住できるのでしょう?
もしかしたら、移住しようとする人達は火星の状況をわかっているのでしょうか?
コメント欄にあるように、逃げ場を探しているというのも、もしかしたら、有りえるのでは?