水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

新テスト(2)

2016年10月22日 | 大学入試

 

 大分前の記事だが、新共通テストの最終報告案をまとめた専門家会議の座長を務められた方のインタビューがリンクされていたのを読んだ。
 最初から最後まで、どの言葉をとりあげても反論したい(笑)お言葉ばかりだった。
 たとえば、こんな一節。


 ~ 「採点の公平性が保たれるのか」という指摘がありますが、そもそも大学入試を受けるまでの段階で公平なのか考えてほしいと思います。家庭の所得格差が学歴格差の要因になっている。トップレベルの大学の入学者には高所得層の家庭の子どもが多いという状況もあります。そうした中で、新テストの記述式問題の採点部分だけを取り出して公平性を問うのは違和感を覚えます。機会均等の面から入学者選抜や評価に関する公平性をとらえる必要があります。 ~


 大丈夫でしょうか? このおじいさん。
 そもそも今の教育は不公平なものなのだから、大学入試の公平性が保たれなくてもかまわない、と。
 本気か?
 「家庭の所得格差が学歴格差の要因になっている」面があることは、誰もがわかっている。
 お金がないから教育が受けられない状況をつくらないにしようとするのが近代国家の使命だ。
 貧しくても、学問を積むことで人生を変えれる(変えられるだっけ?)世の中を、みんなでつくろうとしてきたはずだ。なんか大きな話になってしまったけど。
 でも日本もそういう国を目指してきて、ボロい着物きてても、青っぱな垂らしてても、試験で点数さえとれれば東大に入れる社会を作ったのだ。
 たしかに、現状は変化している。だからといって「高所得者層の家庭の子どもが多い」のだから、採点の不公平性もしょうがないと言うのはおかしい。そもそも全く次元のちがう話だ。
 慶應義塾の塾長まで務められた方が、なにゆえこの程度の粗雑な思考力しか持ち合わせていらっしゃらないのうだろう。
 むしろ、大学入試をめぐる環境の公平性が揺らいでいるからこそ、試験の採点ぐらい公平にしてあげるべきでしょ。貧しくでも、見た目が暗くても、自己主張ができないタイプでも、勉強して点数とれたら大学に入れる試験を大人が作ろうとしなかったら、若者たちはますます努力に意味を見いださなくなる。

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