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コラム】成果主義がうまくいかなかった最大の理由

2010-09-05 08:13:32 | Weblog
成果を上げればこれまでより給与や賞与が上がり、昇格もするが、成果が上がらなければ
これまでより下がる、つまり「成果によって処遇の差を広げますよ」という仕組みにすれば、
多くの人がより高い処遇を目指してやる気になったり、処遇が悪くなることに危機感を抱いたりして
頑張るのではないか、結果として全体の業績も上がっていくのではないか、というのが
成果主義にかけられた期待でした。しかし、そうはならなかった。

ほとんどの企業で見落とされたのは、「成果を上げる人はいつも成果を上げ、成果が上がらない人は
いつも成果が上がらない」という場合に、処遇を成果に連動させる仕組みが従業員にどのように
受け止められるのか、という観点です。

出来る人はいつも何をしても出来る。そうでない人はいつもうまくいかない。評価が高い人と
評価が低い人が大体決まってしまっているとどうなるか。学校の通知簿と同じで、
高い評価を得るたびにどんどんやる気になることも、低い評価をされるたびに危機感が
増していくこともありません。給与が何倍にもなったり、クビになったりするほどの差があれば別ですが、
そうでもない限りは、評価や処遇が良いにしろ悪いにしろ、それにすぐに慣れてしまい、
毎度のこととして無感動・無関心になっていってしまいます。

つまり、成果主義がみんなの頑張りにつながらなかったのは、「評価結果が固定化してしまっている」ことが原因です。
「成果を上げる人はいつも成果を上げ、成果が上がらない人はいつも成果が上がらない」のであれば、
処遇の格差を多少広げたって、その差はいつものことであってやる気にも危機感にも大した影響がないのは当然です。

逆に言うと、評価がその度ごとに良かったり悪かったりして入れ替わり、その結果が処遇差となって
反映されるのであれば、給与が上がったり下がったりして競争が起こり、やる気や危機感が醸成されやすく、
成果主義は当初の狙い通り機能したのではないでしょうか。

ではなぜ、評価結果が固定化してしまっているのか。それは、「人材レベルに変化がないから」
「能力や意識、意欲における個人差を放置してしまっているから」ではないかと考えます。
それぞれの強みや弱みが、時間が経過しても変わらず放置されている状態。
学ぶ機会も風土もなく、成長に乏しい状態。だから、評価の結果がいつも似たようなものになる。

だとすると、成果主義が機能しなかった理由は、育成とセットで処遇システムを導入・運用しなかったこと
ではないかと考えます。配置換え、役割の見直し、研修、日ごろの指導などを通じた人材育成への取り組みを
軽視したままなので、評価の良し悪しはいつも同じようなものとなり、結果として処遇格差が動機付けとして
機能しなかったということです。

もちろん成果主義の導入当初は、より良い処遇を求めて各々が自主的に学び、成長しようとするのではないか
という期待もありました。しかし、給与が何倍にもなったり、クビになったりするほどの差が付くわけではないので、
そうはならなかった。

「人材育成の仕組みや注力度合いを変えずして、処遇システムだけ変えたことが問題ではなかったのか」というのが私の考えです。
(一部略)

川口雅裕
イニシアチブ・パートナーズ代表

BusinessMedia誠
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1008/25/news009.html

 結局、成果を数値化しやすいところ、個人プレーで結果を出し易いところには一定の効果がありそうなこの制度。それ以外のところには弊害bかり目立っていたのではなかろうか。

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