「子は生後三年間の可愛らしさを親に見せることにより、一生分の親孝行を終える」と、アベ・ジョージの小説中の人物が言っていた、と、サワキ・コータローのエッセイに書いてありました。
先代の三遊亭金馬の落語では「七つ八つは憎まれ盛り、可愛い盛り二つ三つ四つ」という都都逸が紹介されていたのを覚えています。
どうも子供はある程度成長してしまうと、可愛くなくなってしまうらしい。
自己紹介の欄にありますように、私の娘は重度の自閉症という知的障害を被っており、今までも、そしてこれからも自立はほとんど不可能な困ったちゃんであります。
彼女は現在15歳ですが、まだ満足に言葉も話せません(例えば、父親である私を「ダディ」と呼ばせようとしても、どうしても「ダんディ」になってしまいます。あえて訂正しないダンディな私です)。
知的に極めて幼いせいか、生後15年を経た現在でも、彼女は幼児の可愛さを維持しています。そして、ありがたいことにこの可愛さが今後も続いてくれるんです。
永遠の幼児。
褪せることなく持続する「子の可愛さ」。
親としては、かなり得していると思えるのですが、こういう気分、知的障害児を持った親じゃないとわかんないだろうなぁ。