やっつけ映画批評!

主に映画を
あらすじを1行で!
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簡潔に魅力(たまに罵詈雑言)を!
お伝えするやっつけ映画批評!

ワンダー君は太陽 80点 2018

2018-11-28 01:13:06 | 映画



顔に障害がある少年が、中学校から学校に通い始める...





ウォールフラワーの
スティーヴン・チョボスキーが監督をつとめます


すみません!
先に謝らせてもらうと
観る前は

邦題の通り、
障害を持つ少年ひとり
に周囲が感化されてくだけの
化学調味料満載のワンパターンお涙頂戴映画と思っていましたが

そうではなく
日本版タイトルの、君は太陽、
というのが非常に良くて

太陽だけの話ではなくて
太陽があることで生じる影の部分に
スポットを当てた繊細な群像劇でした


もちろん
醜い顔の少年の幼いフィルターを通じて
ストーリーが展開されますが

それと並行して
姉ちゃん、クラスメイト、
姉ちゃんの友達などの
視点、フィルターを通じて

太陽が知ることの出来ない影の姿を浮かび上がらせる脚本はホントにお見事でした


醜い顔の中学生
彼を弟に持つ高校生の姉
そして母父の両親と

各世代を跨いでの
デリケートな心境の変化が
どれもロジカルで
深く共感、感動を覚えました


セリフに頼らない子役の表情の変化や
むしろ人間らしい唐突な回想、
子どもの成長を助ける大人達の姿勢、
冒頭の現実逃避と終盤の対比などなど


褒めるとこだらけ
涙腺刺激するところだらけと
隅々まで楽しめました

映画に出てくる劇のセリフとかね〜
あざとく
きいてくるんですよね~



迂闊に障害者ものとして敬遠せずに
万人が深く共感できる
素晴らしい群像劇映画でした

レディバード 65点 2018

2018-11-26 00:51:59 | 映画



残り少ない高校生活をなんとかしようと
もがくシアーシャ・ローナン...




透明感抜群美少女だった
シアーシャ・ローナンが痛々しいJK役を
好演しています


20センチュリーウーマンにも出ていた
グレタ・ガーウィグ
女性の監督です


親から貰った名前ではなく
レディバードという名前を名乗り


きっと何かを成し遂げられるし
イケてる彼氏を作れるし
都会の大学に行けるし
こんなダサい田舎町から出ていける

という誰しもが抱いたことのある
根拠の無い自信を推進力に

少しずつ自分の置かれている
見たくない現実を
親、親友、彼氏らとの交流を通じて
まざまざと見せてくれます


自分を大きく見せようと
不用意についてしまう小さな嘘や隠し事が

後々になってめちゃくちゃ
面倒な事になるのとか
すげー共感できましたし


オナニートークとか早漏ギャグとかの下ネタ
きっちり笑わせていただきました


けれど
やっぱり文化の違いで
プロムとか受験とか進学とかの
時系列、タイミングだったり

田舎レベル、大学のレベルも
よくわからないもんで
少し理解に苦しむところもありました


それでも
今まで気が付かなかった

親も通ってきただろう
「ワダチ」に気が付き
その道を頼りに未来へと
羽ばたこうとする彼女の姿には

うるうる来てしまいました

あのワダチ演出は
女性監督ならではの
温かみ優しさのようなものを感じました


昨年の
スウィート17モンスターには
見劣りしますが
存分に楽しめる17歳映画でした

三尺魂 65点 2017

2018-11-20 09:39:51 | 映画


三尺魂 65点 2017


集団自殺に集まった男女4人...






かとうよしお監督脚本作品です

あとでちょっと言及しますが
あるSF風味の仕掛けがされた
密室会話劇としてなかなか楽しめました

おっさん、青年、おばさん、JKと
年齢性別をバランス良く配置し

自殺するまでに受けた
お互いの痛みと人生を知り
会話をして

知らず知らず互いの痛みが和らいでいく
という展開は

ときに残酷に
ときに痛ましく
とても生々しい演出もあって

あの血が滴るあたりとか、
すごく胸がくるしかったです

生々しい演出もあって
なっとくの自殺動機だなと感じられました

なんですが

冒頭に触れた
SF風味の設定が消化不良で

観客がもしあの状況になった場合に
やるであろうことを
色々と試してくれないので

なんでそれやってくれないのっていう
ストレス、常にありましたし


その痛みはセリフで説明しちゃうんだ、とか
発射用の筒どうしたのとか
ハンカチ長く使いすぎじゃね?とか
そこは顔合わせちゃうんだ、とか

細かいけど、大きなツッコミどころ、
不満もあって
伏線回収、
パズル的要素を優先しすぎてる感
もありました


個人的にはもうすこし苦味のあるエンドも
見たかったですが、
93分という上映時間も見やすい
密室人情会話 映画でした~


孤狼の血 80点 2018

2018-11-17 10:47:59 | 映画


孤狼の血 80点 2018


昭和63年
広島のヤクザと渡り歩く役所広司(警察)




凶悪、
日本で1番悪い奴らの
白石和彌しらいしかずや監督

原作は
柚木裕子の同名小説です


ど頭から

指切ったり、
大便してる豚の肛門写したり
超攻めまくりの
ギンギンの任侠モノでした


ヤクザ同士の一触即発な抗争状態を
未然に防ごうと画策する
広島弁の役所広司の演技と

生々しい暴力描写は
とても見応えがありました


明らかに違法な取り調べや
ヤクザとのズブズブの関係は

ディテールの細さもあって
リアルな熱が伝わってきました


松坂桃李演じる若手刑事の
観客と同じ倫理観、
正義感溢れる目を通しながら

役所広司の黒い正義感、
存在、目的が

果たして何なのかを徐々に知る
濃厚な展開は


コンプライアンスの名のもとに
いまでは失われてしまった
義理人情、人と人との繋がりの大切さを
僕らにも教えてくれてる気がしました


人探しをベースにした
白い正義感よるパラーバランスの崩壊、
痴情のもつれによる抗争
といったわかりやすいストーリー

も情報量豊富で楽しかったですし



ライター、ノート等の小物を活かした
上手な伏線も

出てくる役者全員素晴らしかったです


白いだけの正義感では
決して捌けない


たくさんの血と汗が染み込んだかのような
黒いシャツに身を包んだ
役所広司の黒い正義感に酔いしれる

超力作!任侠映画でした〜