庭
絵本 ノアルの手紙(オオサワ チカ 絵 天沼春樹 文) を読みました。図書館でこの絵本を手に取ったのは、ノエルの秘密 という絵本を以前に読んでいて、何を読もうかなと思って本棚を眺めていて「ノアル」という言葉が眼に飛び込んできたから。ノエルとノアルが似ているから。
内容は、故郷のアルゼンチンから遠く離れた場所に住む内気なカラス・ノアルが村に馴染んでいく姿を描いています。
なんだか不思議なお話だ。
まず、絵が少し独特だ。ユーモラスで親しみやすそうで、でもどこか素っ気無く、暗い世界のようにも思える。大人が見ると何か心の奥の秘密の場所を覗いているような感じもしてくると思います。
内容は、これも微笑ましいのだけど、でも単純ではない。何も動きがないようなストーリーでありながら、いつの間にかノアルの状況は変わっています。
例えば夜に夢を見るとき、夢はどんなにいいお話でも、どこか暗いものが漂っています。この絵本はそれに似ているかもしれない。暗いと言っても、ネガティブな意味ではありません。ただどこか、表面的な愉しみや幸せとかを越えた世界を、絵本全体が現しているのです。絵や文が明示的にそのことを語っているわけではありませんが、読んでいくうちに、心の深層の動きを見せられているような感じになります。
絵本について書いていると、いつものことですが、自分が感じたことをうまく説明するのが難しいです。