joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

ブラジル戦

2005年06月23日 | スポーツ
サッカー好きの方はご存知のように、日本対ブラジルは2-2の引き分けで、決勝トーナメント進出はなりませんでした。しかし観戦された方はご存知のように、Exciting!!!!!としか言いようのないゲーム内容でした。

このブラジル戦であらためて確認されたのが、日本の中盤はやはり世界レヴェルだということです。ゴール前でのフィニッシュでは世界に水をあけられていますが、中盤に限れば一人一人が周りを敵に囲まれても針の穴を通すようなパス交換ができるということです。

今日のゲームでは前半10分にブラジルにゴールを入れられます。このように早い段階で、強豪国にスピードとテクニックを駆使されて点を決められ、おっかなびっくりするのは、年代を問わず日本代表のいつものパターンです。1999年のワールドユース決勝のスペイン戦。2001年のフランスとの親善試合。2004年のオリンピックでのパラグアイ戦。同じく昨年のワールドユースでのブラジル戦。そして先日のワールドユースでのオランダ戦。もう見飽きたぞ。

それからもブラジルのグランド全体を使ったダイナミックな攻撃に何度もゴール前を脅かされ続けました。

しかし中盤での創造性という点では日本も負けませんでした。点を取られてもボールをつないでいき、ついに中村のエクセレンット!なミドルシュートが決まります。ホントに芸術的なゴール。

しかしその後にまたゴール前でワン・ツーで崩されてゴールを決められます。足の速いブラジルの選手はあっという間にカウンターを決めます。

そう、ブラジルというのはじつはカウンターを得意とするんですよね。個人技がすごいので攻撃的なチームという印象があります。たしかにディフェンシヴとは言い難い国ですが、機械的に攻めまくるオランダのようなチームとも違う。後ろや中盤でゆっくりボールを回したり、中盤でのインターセプトをきっかけに怒涛のようにゴール前に選手が攻め込んでくるのです。

それでも日本は後半に入ると最初から大黒を投入。もうこの大黒がキレキレのプレーを連発。オフサイドぎりぎりで相手の裏に抜ける動きを繰り返します。その危険度は日本人FWではダントツです。

その大黒という目標ができた日本は、積極的にブラジルに攻め込みます。もちろんそのリスクの結果としてブラジルにも何度もゴール前まで攻められますが、これも(ポストにも助けられて)なんとか防ぎます。

そして後半40分すぎ。ペナルティエリア前の絶好の位置でフリーキックを得ます。蹴るのは中村。この誰もがゴールを願うプレッシャーバリバリの状況で中村のキックしたボールは見事なスピードと角度でゴールへ。しかしなんとそこにはポストが。鋭い音を立ててボールはフィールドに跳ね返ります。しかしがっかりする間もなくそのボールに大黒が詰め寄りゴールを決めます。朝の5時過ぎに一人でテレビの前でガッツポーズを何度もしてましたよ、わたしは。

その後もめちゃくちゃおしいシュートもあったのですが、結果は引き分けに終わりました。


それにしても、ギリシャ戦から導入した、ディフェンスの枚数を減らして中盤を厚めにすることでこんなにチームががらりとかわるとは。アジア相手にもっさもっさとしたサッカーをしていたあのチームと同じとはとても思えません。やはり後ろを少なくすることで、中盤から前へと早くパス回しをする意識づけが選手の間に浸透しているのでしょう。

ただ、この素晴らしい現在のチームをみて、複雑な気持ちにもなります。

世界レヴェルの中盤をそろえ、それを生かすフォーメーションを採ることで、今回の日本代表は華麗なパス回しとサイドの崩しで相手ゴールを脅かす危険なチームに変貌しつつあります。

しかし中盤でどんなに華麗にダンスをしようが、サッカーはゴールを決めて何ぼのスポーツ。そのゴールを決められる選手がやはりいない。いないと言うといいすぎだけど、絶対的に信頼できるFWがまだいないのです。

ジーコは日本の選手のフィニッシュの弱さを、「心理的な問題」と言っています。彼らはゴール前で落ち着いてプレーできない、と。これはトルシエも指摘していたことです。それが指導法に由来するのだとしても、ともかく歴史によってあけられた強豪国との差なのかもしれません。そんな歴史に由来する差を1年で埋められるのだろうか?

しかし、化ける可能性のあるFWが日本にたくさんいるのも事実。大黒・大久保・田中あたりは、スピードを生かしてがんがん攻め込みます。

ともかく大黒の登場でFW争いは俄然激しくなりました。柳沢・高原・久保・大黒・大久保・田中・玉田・鈴木あたりが代表経験者ですが、残れるのは4人ぐらいでしょう。しかし1年もあるわけですから、Jで他の選手の台頭があるかどうかも楽しみです。

中盤は、強豪国と当たった場合、やはりボランチを守備の強い選手を2枚にして中田英を前にあげるべきなのかな?ベンゲルは今日そうすべきだと言い、ジーコもそうしてきた。

でも同時に、中田英のボランチもこの大会で光っていた。DFからはつねに彼にボールが集まり、また彼から前へと的確にボールが供給されていく。そのプレーはとてもインテリジェンスにあふれていて、うっとりしてしまいます。

ともかく、今日のジーコ・ジャパンはすばらしい試合を見せてくれました。おそらくこのフォーメーションをジーコは発展させていくだろうし、またそうして欲しい。つまりゆっくり後ろでボールをまわすのではなく、後ろも中盤もつねに前へ前へとボールをまわすことで相手の攻撃を回避し、同時にそれによってこちらが攻撃を仕掛けるプレッシング・サッカーです。本気モードのブラジルを相手にこれだけやれたのだから、これを続けない手はないよ。

ありがとう、日本代表!


涼風