凍えるような寒さ。朝起きて、着替えようとパジャマを脱いだら鳥肌が立ってブルブル震えてしまった。
新幹線に乗るために、歩いて「青森駅」へと歩いて向かった。雪が10数センチ積もっている。獣道のような狭い導線が出来ていて、すれ違うたび雪藪を漕ぐ羽目に。
なんでこの街はこうやって、雪が降り積もって住人たちを苛め抜くんだろう。ほとほと嫌になる。
「青森駅」にはバスを待つ高校生やサラリーマンたちで行列が出来ていた。みんな体を縮め、不機嫌そうな顔で、やって来ないバスを恨めしそうに待っている。
弘前行きの普通電車に乗り込んで「新青森駅」へ。
今日と明日、某商工会議所の某部会による先進地視察があって、それに参加するためにみんな駅で待ち合わせをして、「東北新幹線」に乗って東京へと向かうのだ。
実は先日切符を買いに「みどりの窓口」に出向いたら、すべて座席は埋まっていますとの非情なお答え。どうしても午後2時までに調布市まで辿り着かなければならず、仕方がないのでグリーン車のチケットを買うことにした。
新幹線は定時に出発。
ゆっくりとシートに寛ぎながら新聞を読んでいたら、仙台駅から乗り込んで隣の席に座ったケバイお姐さんが、長い髪を掻きあげてこっちの頬を何度も叩くわ、足を組んでこちら側の座席まで堂々と入り込むわ、買ってきた弁当をガサゴソ音を立てながら食べまくるわ、完全にキレそうになる。
なんとか我慢して大宮駅で下車。それにしても参った。
気を取り直して「埼京線」に乗る。
新宿に出てそこから「京王線」。「仙川駅」で下車して、駅から某大手企業の視察場所までの道を歩いて向かった。
それにしてもなんという気持ちのいい青空と眩しいばかりの太陽なんだろう!
あのさっきまで居た、吹雪舞う厳寒の地はなんだったんだろう?
一緒に同行していた某企業のトップの方がぽつり溜息をつきながら、「天国と地獄だな・・・」と呟いた。
事務局の若手職員が、スマホを開いて「今、青森市内の積雪、25センチです」と大声を上げた。
ああ。気持ちいい。どこまでも綺麗な青空が広がっている。
帰りたくない。このままずっとこの街にいたい。
このあまりにも穏やかで気持ちのいい初冬の風景を見てしまったら、もう引き返すことなんて出来ないって・・・。