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淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

木村拓哉×山田洋次×藤沢周平の、映画「武士の一分」。ラストは秀抜! 絶対観るべし!

2006年12月02日 | Weblog
 ちょっと大袈裟に言っちゃえば、とにかく、この映画を観ることだけを楽しみに生きていたといっていい。特に、ここ一週間は。
 あの、藤沢周平の原作である。これまでの「たそがれ清兵衛」、「隠し剣 鬼の爪」、そして「蝉しぐれ」。そのどれもが素晴らしい作品だった。

 特に山田洋次監督作品としては、「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」に続く、時代劇3部作の最終章ということにもなる。そして主演がキムタク。原作は「隠し剣秋風抄」所収の「盲目剣谺(こだま)返し」。
 前評判も高かった。もう観たくて、観たくて、12月1日の封切りを心待ちにしていたのである。

 三村新之丞(木村拓哉)は、東北のある小さな藩に仕える三十石の下級武士だ。
剣術の覚えもあるけれど、現在の勤めは殿様の毒味役に甘んじていて、張り合いのない役目に不満を持ちながら、美しく気立てのいい妻・加代(壇れい)と平和な日々を送っている。
 ところがある日、毒味の際、貝の毒にあたり、一命は取り留めたものの、結局、失明してしまう。
 そのことに深く絶望し、自ら命を絶とうとする新之丞を、加代は懸命に思い留まらせる。しかし、武士としての勤めを果たせなくなった以上、藩の沙汰次第では生きていくことさえも叶わないのだ。
 親戚縁者が集まり、今後の身の振り方を相談する席で、加代は、嫁入り前からの顔見知りだった、藩の上級武士である島田藤弥のことを話し、その人に相談を持ちかけるよう説得される。このままでは、明日の米代にも事欠く有様なのだ、もうほかに頼る者はない。
 そして、それが悲劇の始まりとなる・・・。

 確かに、前半は単調に推移するかもしれない。
 「隠し剣 鬼の爪」や「蝉しぐれ」のような、物語の急展開やお家騒動が持ち上がるわけでもない。実に淡々と、夫と妻、そして使用人の暖かな触れ合いが語られてゆく。
 時には軽いユーモアさえ出しながら。

 後半、映画は一気に動き出す。
 その後半が、生き生きと瑞々しい「動」をみせるのは、この映画の前半部分における「静」があってこそ。
 
 木村拓哉、檀れい、笹野高史、桃井かおり、大地康雄、緒形拳、坂東三津五郎。すべての役者がいい味を出している。
 特に、檀れいと、笹野高史。はっきり言って演技賞ものである。と言うか、この二人、今年度各映画賞の、助演女優賞と助演男優賞の最有力候補なのではないか。

 勿論、欠点もある。いささか性急過ぎる展開がないわけではない。
 ゆったりとした前半と、先を急ぎすぎる後半との乖離に、少し違和感を覚える人もいるだろう。

 しっかし、ラスト数十分!
 こう来たかという感じで、思わず唸る。
 最後の「落としどころ」には、迂闊にも泣いてしまった。もう、涙がボロボロ零れ落ちて、帰りのトイレで鏡を見たら目が真っ赤に腫れていた。

 ラストは秀抜である!
 こういうラストこそが、映画の醍醐味だ。
 絶対、観るべし!!


 
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