
12月26日は、朝から雨が降っている。
昨日の夜、家の前を除雪車が通って行ったけど、どうせ玄関先に重くて硬い雪の塊を残していくだけだろうと思い、外に出て雪処理はしなかった。除雪車が雪を浚っていなくなったので、こっそり玄関先に出てみたら、思ったほど雪の塊は残っていなかったので、それだけ少し片づけて、すぐにまた部屋へと戻った。
雪片付けどころじゃない。あまりにも凄い映画を観ていたその途中だったので、すぐに休止ボタンを解除して観ていた映画を再開した。

映画は韓国映画、「ソウルの春」だ。
韓国国内でこの「ソウルの春」は大ヒットを飛ばし、日本における反響や評価ももの凄く高かった。なので、絶対に観たかった映画の一本だった。
それにしても、何度もおんなじことを繰り返して恐縮だけど、つい先日映画館で上映されていた映画が(もちろん全ての作品じゃないけれど)、直ぐに「ネットフリックス」や「Amazonプライム」や「Disney+」や「ユーネクスト」で配信されるので、その点、映画好きにはたまらない。
それでもやはり劇場までちゃんと足を運んで映画を観る、この主義だけは基本、変えることは生涯ありませんが。

1979年10月。
それまで韓国の独裁者と呼ばれていた大統領が側近に暗殺されるという衝撃的なニュースが飛び込んでくる(実際、このニュースが日本国内に伝わった時も、かなりびっくりしたことを今でも覚えてる)。
混乱が続く政府機関、そして軍内部。
ところが暗殺事件の合同捜査本部長に就任した狡猾なチョン・ドゥグァン保安司令官(役を演じているファン・ジョンミンの演技がとにかく素晴らしい)は次なる独裁者の座を狙い、自らが造り上げた陸軍内の秘密組織「ハナ会」(実際も「ハナ会」と呼ばれていたらしい)の一部の将校たちを率いて、12月12日、大規模なクーデターを決行する。
しかしその一方、真面目で周りの評価が高く、軍人として信望の厚い首都警備司令官イ・テシン(演じるチョン・ウソンの演技もまた素晴らしい)は、そのクーデターの野望を阻止すべく、大規模な反攻作戦へと打って出ようとするのだが・・・。

「粛軍クーデター」「12.12軍事反乱」とも呼ばれた、韓国現代史を揺るがした事件を題材にしたドラマなので、圧倒的な緊張感をもって観る側へと迫って来る。
監督が「アシュラ」のキム・ソンス。上手い。スピーディで重量感溢れる演出だ。
監督が「アシュラ」のキム・ソンス。上手い。スピーディで重量感溢れる演出だ。
ファン・ジョンミン演じる独裁者の座を狙う野心家の男と、チョン・ウソン演じる国家を守ろうとする律儀な男との、手に汗握る攻防戦が描かれ、映画はあっという間の140分間だった(途中、除雪車が来たのでちょっとだけ中断しましたが)。
ただし、ラストに爽快感やカタルシスはまったくない。重いテーマを引き摺ったまま、エンドロールが始まるだけだ。
しかしそこがまた、史実の重さが観る側へも真摯に伝わって来る。
映画「ソウルの春」、個人的にだけれど、今年度のベストテン入り確実です。