
朝から雨混じりの霙が降っている。
憂鬱な空、凍える大気、底冷えする街・・・。
毎年恒例となる音楽雑誌の「年間ベストテン」発表。
いつものように定期購読している「ミュージック・マガジン」1月号を捲って、「ロック アメリカ/カナダ」、「ロック イギリス/オーストラリア」、「ロック 日本」、「Jポップ/歌謡曲」と、それぞれ部門別に10位までがランクされた「ベスト・アルバム2023」の記事を読んでゆく。

まずはロックのアメリカ・カナダ部門で年間第一位だという「ボーイジーニアス」の「The Record」というアルバム。
全然知らなかった。もちろん一度も聴いたことがない。年間のベスト・アルバムなんだぁ・・・。ネットを見てみたらグラミー賞にもノミネートされている女性3人のスーパー・グループらしい。アルバムは全英第一位だという。これまた知らなかった。
とにかくアルバムを聴いてみることにした。
うーん・・・ガレージ系のインディ・ロックっぽい感じがして知的な雰囲気もある。でも、これが年間ベスト・アルバム?
聴いているうちに、もう俺って古い感性しか持ち合わせていないのかもと、軽い絶望感さえ抱いてしまった。

続いて聴いたのが「ロック イギリス/オーストリア」部門の第一位に選出された、「コリーヌ・ベイリー・レイ」というUKソウル女性シンガーによる「ブラック・レインボウズ」というアルバム。
このアーティストも、そしてアルバムもまったく知らなかった(「ミュージック・マガジン」等には掲載されていたのだろうけど)。
選者らは絶賛していて、「鮮烈」だとか「音楽的イメージを一新させた」とか激賞している。彼女はレッド・ツェッペリンの大ファンだという。
聴いてみる。
うーむ・・・。
これまたよく入り込んでこない。こっちの耳が衰えてしまったんだろうか、不安が募る。「ロック イギリス/オーストリア」部門の年間ナンバーワン・アルバムって・・・。
うーむ。

今度は、日本の「J-ポップ/歌謡曲」の2023年年間第一位、あのDaokoを中心に結成されたスーパーバンドだという「QUBIT」のファースト・アルバム「9BIT」を聴く。
確かに昔のDaokoの匂いが薄っすらと感じられるけれど、特にこのアルバムが特に素晴らしいとは思えない。日本語のラップに乗ってマシンガンのように繰り広げられる展開だけど。
マジかぁ・・・もう今の潮流にはついていけなくなってしまったんだろうか。
焦る。不安になる。

どのベストワン・アルバムに対しても魅力が感じられず、今度は「日本/ロック」部門で目についた第三位「cero」のアルバム「e o」を聴いてみた。
「cero」なら「サマソニ」でも触れているし、前のアルバムも持っている。これだと安心か・・・と思って聴いてみたけれど、このアルバムもなんかイマイチ。すとんと落ちない。
これが日本の年間ロック部門の三位なの?

もう今が旬だという各部門のナンバーワン・アルバムを聴いても心の奥底までは染み込んで来ない。どうしよう。
諦めて、エリック・クラプトンの6枚組ボックス「THE DEFINITIVE 24 NIGHTS」とピーター・ガブリエルの21年ぶりとなる最新アルバムを改めて聴いてみた。
そうなんだよ。これだと分かるし、しっくりくるんだよなあ。古巣に帰った気分。
それにしても、ベストワンだからいいとか悪いとかじゃないけれど、現在最先端を行くと認知されている音楽が、こっちの心にほとんど響いてこない・・・これって、ある意味問題かもしれない。いま巷を席巻している音楽のムーブメントが全然把握できてない。
うーん。
どうする?
