
2024年に突入して、自分なりに取り決めたことが3つある。まあ、どうってことない自らに課しただけの単なる決め事なんだけど・・・。
まず一つ目は、「フルマラソン大会に2回以上出場して4時間台でゴールすること」。二つ目は「小説を最後まで書き上げてその作品を応募すること」。そして三つ目が「月に10冊以上の本を読むこと」だ。
ところが今月1月、まだ2冊しか読んでない。困ったものだ。でも、そりゃあそうだろう、毎晩毎晩テレビで「ネツトフリックス」や「Disney+」や「Amazonプライム」を真夜中近くまで観続けているわけで、読書をする時間なんてあるわけない。だめだだめだ。本もちゃんと読もう。
でも・・・あと9日間で8冊・・・。
というわけで、まずは読み終えたのが長編ミステリー小説。
アメリカのミステリー作家であるロス・トーマス(すでに亡くなってしまったけれど)が1970年に発表した長編小説「愚者の街」が去年初めて邦訳され、その長編ミステリーは、「このミステリーがすごい! 2024」の海外編で第4位に選出された。その上下巻を読んだのだ。

上巻は、物語の主人公である、「セクション2」と呼ばれるアメリカ秘密情報部のエージェントが組織から解雇され、ある人物から、腐敗し切った南部の小さな街をさらに腐敗させて新たに再生してほしいという荒唐無稽なプロジェクトの依頼を受けるところから始まってゆく。
そしてその本筋と並行して描かれるのが、主人公の悲惨な過去と、秘密情報部のエージェントとして働くことになる経緯なのだが、様々な伏線が張られながらも、壮絶な生い立ちや過去のエージェント時代がかなり丁寧に描写されるから、ここだけは少し我慢のしどころだ。
なので、最初読んでいって、「早く本筋に入ってくれよ」と苛々したのだが、そこから下巻へと続く辺りから俄然面白くなってゆく。
暴力描写がかなりリアルで、加えて、終戦直後の混乱期を懸命に生きる子ども時代が一編の別な小説のように描かれていて、二重三重の小説構造となっている。
後半は予測不可能な展開に終始し、さすが犯罪小説の王だと唸ってしまった。
なんでこれが、50年以上にもわたって翻訳されてこなかったのか、まったくもって不思議でならない。
ロス・トーマスの「愚者の街」上下巻、確かに読みごたえがあります。