それにしても、随分とゆったりとした映画である。
織田裕二の、妙に深刻ぶった顔だけが印象に残ってしまう。
最初、この「アマルフィ 女神の報酬」映画化のニュースを聞いた際には、原作が真保祐一だと知らされ、それなら大丈夫と期待したのが悪かったのだろうか。
少し期待し過ぎたかもしれない。
主人公の黒田(織田裕二)が、駐イタリア日本大使館一等書記官として赴任される。
彼は、口数の少ない寡黙で冷静さを失わない男なのだが、それが逆に組織の中に溶け込めない部分でもあった。
ちょうど、イタリア本土では、G8の開催に向けて各国首脳陣たちが大挙押し寄せている状況下で、日本大使館もまた外相のイタリア入りに向けて大混乱を来たしていた。
そこに突然、日本人の女の子の失踪が告げられる。
母親の矢上(天海祐希)はその突然の失踪に取り乱し、イタリア警察と一緒に動く日本大使館は、担当として、黒木を指名する。
そこに、誘拐犯と思われる男から身代金の要求が告げられるのだが・・・。
主人公である黒田康作というキャラクターは、確かに使えるかもしれない。
007とまではいかないが、世界を飛び回り、日本が絡んだ国際的な事件に関与してゆくという物語性に、外交官はフィットするだろう。
このキャラを上手く使えたら面白いドラマが出来る。
ただ、今回の「アマルフィ 女神の報酬」、テンポが余りにもゆったりし過ぎる。
美味しい話なのに、まるで動きがない。
誘拐までのサスペンス、犯人とのやり取り、イタリアの優雅で歴史あるロケーションを使い込めば、そのサスペンスはもっとハイスピードで進むことが出来るというのに、画面は動かず、織田裕二と天海祐希の深刻ぶった顔だけが映し出されてゆく。
ラスト付近、サラ・ブライトマン本人が登場して歌い上げる「Time To Say Goodbye」も、本来なら、最高潮に達する緊張感と相俟って活きるはずなのに、それさえない。
監督の西谷弘、前作の「容疑者Xの献身」は、まあまあだったのに、またTVドラマっぽい映画を作ってしまったようだ。
彼の映画には、どこか華がない。何となく安っぽく見えてしまう。何故だろう。
映画制作側としては、この黒田外交官というキャラクターを使って、これからも映画を作り、出来たらシリーズ化を図りたいという意向があるようだ。
それは否定しないし、冒頭述べたように、使い方によっては面白いキャラになると思われる。
なのであれば、あとはそのキャラを生かしきるための練った脚本と、演出者の力量が問われてゆくことになる。
今回は、失敗だった。
織田裕二の、妙に深刻ぶった顔だけが印象に残ってしまう。
最初、この「アマルフィ 女神の報酬」映画化のニュースを聞いた際には、原作が真保祐一だと知らされ、それなら大丈夫と期待したのが悪かったのだろうか。
少し期待し過ぎたかもしれない。
主人公の黒田(織田裕二)が、駐イタリア日本大使館一等書記官として赴任される。
彼は、口数の少ない寡黙で冷静さを失わない男なのだが、それが逆に組織の中に溶け込めない部分でもあった。
ちょうど、イタリア本土では、G8の開催に向けて各国首脳陣たちが大挙押し寄せている状況下で、日本大使館もまた外相のイタリア入りに向けて大混乱を来たしていた。
そこに突然、日本人の女の子の失踪が告げられる。
母親の矢上(天海祐希)はその突然の失踪に取り乱し、イタリア警察と一緒に動く日本大使館は、担当として、黒木を指名する。
そこに、誘拐犯と思われる男から身代金の要求が告げられるのだが・・・。
主人公である黒田康作というキャラクターは、確かに使えるかもしれない。
007とまではいかないが、世界を飛び回り、日本が絡んだ国際的な事件に関与してゆくという物語性に、外交官はフィットするだろう。
このキャラを上手く使えたら面白いドラマが出来る。
ただ、今回の「アマルフィ 女神の報酬」、テンポが余りにもゆったりし過ぎる。
美味しい話なのに、まるで動きがない。
誘拐までのサスペンス、犯人とのやり取り、イタリアの優雅で歴史あるロケーションを使い込めば、そのサスペンスはもっとハイスピードで進むことが出来るというのに、画面は動かず、織田裕二と天海祐希の深刻ぶった顔だけが映し出されてゆく。
ラスト付近、サラ・ブライトマン本人が登場して歌い上げる「Time To Say Goodbye」も、本来なら、最高潮に達する緊張感と相俟って活きるはずなのに、それさえない。
監督の西谷弘、前作の「容疑者Xの献身」は、まあまあだったのに、またTVドラマっぽい映画を作ってしまったようだ。
彼の映画には、どこか華がない。何となく安っぽく見えてしまう。何故だろう。
映画制作側としては、この黒田外交官というキャラクターを使って、これからも映画を作り、出来たらシリーズ化を図りたいという意向があるようだ。
それは否定しないし、冒頭述べたように、使い方によっては面白いキャラになると思われる。
なのであれば、あとはそのキャラを生かしきるための練った脚本と、演出者の力量が問われてゆくことになる。
今回は、失敗だった。