淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

映画の文体を壊そうとする試みは買いだ!トニー・スコット監督の「ドミノ」。

2005年10月24日 | Weblog
 映画「ドミノ」。
 実在した女性で、しかも賞金稼ぎ、いわゆるバウンティ・ハンターの物語である。
 全米でも鳴り物入りで公開されたけれど、思ったような興行成績は上げることができなかったようだ。つまり、コケた。
 主演がキーラ・ナイトレイ。あの「パイレーツ・オブ・カリビアン」に出てた女性ね。それからミッキー・ローク。「シン・シテイ」でも怪演していたけれど、ここでも中々渋い演技をしている。長い低迷期をやっと脱出したっていう感じ。
 しかしそれよりも、この映画の本当の売りはやっぱり監督のトニー・スコットだろう。
 スタイリッシュな映像というのはこの監督のためにあるようなものだが、辛辣な映画評論家の中には、それが鼻に付く人もいるようで、ええカッコしいとか、ミュージック・クリップだとかの批判もあるにはある。
 でも僕は好き。
 「トゥルー・ロマンス」も「エネミー・オブ・アメリカ」も、これまで監督した作品は、どれも全部好きだ。
 何か、ここまで居直られると小気味いいのである。

 ただ、今作の「ドミノ」にはあんまり食指がのびなかったのも事実。
 予告編がキツかった。脂濃くて濃厚な仕立てに思えたのである。で、観るのを躊躇った。
 それでも監督はトニー・スコット。重い腰をあげて映画館への道を急ぐ。

 この映画、ドミノ・ハーヴェイという実在する女性にスポットライトを当てている。
 本人は映画の完成する直前に、自宅の浴室で謎の死を遂げたらしいけれど、父親が有名な俳優、母親がスーパーモデルという超セレブな環境に育ちながら、「賞金稼ぎ」という凄まじい選択をした、その過程もこの映画はきちんと描かれている。
 そして何よりこの映画に新鮮さをもたらしているのは、時間軸を打ち壊し、センテンスごとに瞬間瞬間の凝縮性を注ぎ込んだ点である。
 つまり、映画の文体を壊しちゃえってことが、観る側にもはっきりと伝わってくるのである。
 勿論、映画の文体を壊した映画なんてそんなザラにあるものではない。そこまで志の高い映画でもないし(低いとか高いとか短絡的に言ってるんじゃなくて)。
 言いたいのは、トニー・スコットが創ったこの「ドミノ」というバイオレンス映画の中に、少しその思いが見え隠れしているということだ。
 それだけで十分ではないか。
 その思いのほんの一欠片があるだけで、何か嬉しいではないか。映画をいい意味で壊して欲しい。その1000分の1ぐらいがこの映画にはある。

 って書くと、そんなに素晴らしい作品なの?ってくるわけだ。たぶん。
 いやいや。
 単なるバイオレンス・アクション映画です。でもなかなか濃厚な映画です。
 って言うしかないんだよな。
 とりあえずは。はいっ。

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