淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

フランス映画「タイピスト」を「シネマ・ディクト」で観る。凡庸だけど確かにあったかいと思う。

2013年12月26日 | Weblog
 今日は12月26日木曜日。
 あと今日を入れて6日で、2013年も終わってしまう。

 朝起きて空を見たら(どういうわけか起きてすぐにその日の天気を確認しないと気が済まないんだよね)、太陽が輝き青空が広がっていた。
 うーん。
 この朝の眩しい光、たまりません。曇った日や雪降る日とは全然気分が違う。

 外に出たら、冬の陽光に残雪が溶けていた。
 あくまでも今の時点での感想だけど、降っては溶け、降っては溶けるので、今年は効率がいい。

 歩きながら空を見上げたら、薄い雲が申し訳ない程度に流れていて、まさに冬の清々しい晴れ間が広がっている。
 風が冷たいけれど、とても気持ちがいいのだ。
 空気がひんやりと澄んでいて、大気を思い切り吸い込むと、身体の奥まで冷たい感覚が染み込んでゆく。

 フランス映画の「タイピスト」も、そんな感じがする。
 よくあるスポ根+ラブ・コメ映画ではあるけれど、ひねくれたところが一つもなく、とにかくピュアでストレート。
 凡庸ではあるけれど、こういう映画もまた捨てたもんじゃない。

 映画「タイピスト」の舞台は1950年代フランス。
 まずタイトルバックが洒落ている。
 イラストが50年代っぽくて、これだけで映画の雰囲気がよく分かる。

 退屈な田舎町で暮らす事に飽き飽きしていたローズは、ある日、故郷を捨てて街へと出る。厳格な父親からは田舎の名士の息子との結婚を勧められていて、その強要もローズは嫌だった。

 父親は小さな雑貨屋を営んでいて、そこに飾ってあった一台のタイプライターを夜中にこっそりと叩いていたローズは、あこがれの秘書になるために保険会社に面接を受けに行くのだが、そこの若い経営者からタイプライターの速さを認められて就職を果たす。
 ところが出社してすぐにクビを宣告されてしまう。

 若いイケメン経営者のルイは、クビを免れる条件として、彼女の唯一の特技であるタイプライター早打ち大会へ出場し、そこでトップに立つ事を提案する。
 実はローズ、右手と左手の人差指だけでタイプを早打ちしているのだが、指全部を使うことで更にタイプのスピードが増すからと、ルイは、昔の恋人だった友人に頼んでピアノレッスンまで施すことに。

 猛特訓の末、フランス大会で地元のライバルたちを蹴落とし初優勝に輝いたローズだったが、少しずつ若いイケメン経営者のルイを意識し始め、2人はやがて愛し合う。
 ところがルイは、マスコミから大注目を浴び始めたローズの今後のためを思い、真意ではない酷い言葉を浴びせ、彼女の元から姿を消してしまうのだ。

 失意の中、いよいよニューヨークでの世界タイピスト大会が開かれる・・・。

 主役のローズ役は「ある子供」のデボラ・フランソワ。
 「ある子供」とは全然イメージが違っている(当たり前か)。
 ただ、あんまり魅力的には映らない。もっと華やかでキュートな女優だったらもっと映えたのにとは思う。
 そしてそれは、相手役の若いイケメン経営者ルイ、ロマン・デュリスにも言える。

 来日インタビュー記事を読んでたら、新人監督であるレジス・ロワンサル、50年代の名作映画にオマージュを捧げる意味で、小津安二郎の名作「お早う」やヒッチコックの「鳥」から拝借したシーンが多々あったのだとか(まったく気付かなかった・・・)。

 50年代のノスタルジックな雰囲気はよく映画に出ていたし、ラストのニューヨークでの早打ち世界大会も中々よかったように思う。

 それに、なによりもケレン味のない純朴な演出、とても好感がもてた(そういう意味で、二人が結ばれる濃厚ベッドシーンは、あえていらなかったのに・・・)。
 まるで、混じりっ気なしの、冬の澄み切った青い空という感じがしないでもない。
 すんごく真っ当な映画で、ストーリー展開も先の先まで読めちゃうんですけどね。ごくごく当たり前のラブ・コメ映画ではあるけれど、この正直で真面目な演出は悪くない。

 フランス映画「タイピスト」、素直過ぎるとの批判はあるかもね・・・。






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